言論NPO「東京会議2020」での在日米国大使館ニコラス・ヒル首席公使代理のあいさつ

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

2020年3月1日

皆さま、こんにちは。本日はお招きいただきありがとうございます。言論NPOの工藤泰志代表と関係者の皆さまに心よりお礼申し上げます。

まず初めに、現在私たちはコロナウイルス、COVID-19問題に直面していること、そしてこの状況に世界が一丸となって対応していることに少し触れたいと思います。米国政府は日本にいる米国人の健康を守るため積極的に取り組んでおります。かけがえのない協力をしてくださった日本政府に感謝いたします。私たちは引き続き日本および国際社会と連携し、この未曽有の危機に立ち向かう決意です。

米国は今年、第46回G7サミットの議長国を務めます。私たちは実務的な国民ですので、米国が議長国を務めることはG7を原点に立ち戻らせる機会だと捉えています。主要経済課題に焦点をあてること。これこそがG7の本来の姿です。

つまり私たちのG7サミットの優先事項は、G7の設立目的である経済成長と世界繁栄の促進を重視することにあります。G7サミットでは、優先項目が分かりにくい多くの問題や議題を詰め込みたい衝動に駆られることがよくあります。再度申し上げます。私たちの優先事項は明確です。経済成長と繁栄に向けての連携です。現時点でそれ以上のことを申し上げることができないので、詳細は差し控えたいと思います。近日中にホワイトハウスからG7サミットの詳細について発表があると思われますので、それに先んじて発表することはやめておきます。

当然のことながら、G7への関心のほとんどはサミットにありますが、今月下旬開催の外務大臣会合や4月開催の財務大臣会合に向けた準備も進んでいます。これらもまた重要な会合です。

本日の会議もまた重要です。皆さまが作成された提言は、ホワイトハウスに届けます。10カ国のシンクタンクの代表者が集まり、全員が同意するあるいは少なくとも受け入れることができる文書を作成する作業は容易ではありません。

G7とは、多国間主義、ルールに基づいた多国間の世界秩序、そして幅広い国際的関与について全般的に議論する場の一部です。この件に関しては昨今、多くの議論がなされ、懸念も拡大しています。皆さまも熱心に議論されています。今日私がこの場にいるのはまさにそのためです。

はっきりと言います。米国は国際社会と深く関わっており、その関わりを重んじています。私たちは議論や国際ルールも重要だと捉えています。米国とパートナー諸国が繁栄しているのはこのことに起因します。同様に、私たちは他国が国際ルールを順守することも望んでいます。私たちはこのようなルールを近代化することを恐れてはいけません。

昨今、米国および多国間体制に対する米国の取り組みについて多くの議論がされています。この場をお借りして、米国の立場をはっきりと説明いたします。

2月にポンペオ国務長官が、まさにこの件に関してミュンヘン安全保障会議で講演を行いました。その中で長官は、米国の多国間主義への姿勢を疑問視する声が民主主義国の指導者たちから最近出ていることに言及し、そのうえで米国がグローバルリーダーとしての伝統的な役割を引き続き果たしている具体例を挙げました。

例えば、私たちは対北朝鮮の国際制裁において、パートナー諸国、特に重要な同盟国である日本の機関と協力し、北朝鮮が核開発計画を継続することがないよう取り組んでいます。また北朝鮮を交渉の場に戻そうと懸命に働きかけています。

中国に関しては、不公平な貿易慣行、最近の中国共産党の強硬的な動き、途上国の主権を脅かす中国の経済支配に警鐘を鳴らしてきました。

イラン・イスラム共和国からは、外交聖域とテロ活動を扇動する財政能力をはく奪すべく努力を重ねてきました。

環境問題でも模範を示しています。世界のCO2排出量に関する国際エネルギー機関の最新報告書によると、エネルギー関連の米国のCO2排出量は、2019年に2.9%減少しました。その裏で、大きな経済成長も遂げました。かなり素晴らしい実績だと思います。

日本および欧州連合(EU)とは、世界貿易機関(WTO)の改革、産業助成金に関するWTOルールの強化、自由かつ公正で双方に利益をもたらす貿易制度に向けた市場志向条件の重要性促進において引き続き連携します。

私たちは、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョン推進にも共に取り組んでいます。これは民間の投資資金を活用して域内のインフラを整備するもので、志を同じくする同盟国と共に推し進めています。米国、日本、オーストラリアは先ごろ、「ブルー・ドット・ネットワーク(BDN)」を共同で発表しました。これは、国際的な品質基準を満たす持続可能なプロジェクトの拡大を目的としたブランド化戦略かつ認定制度です。

これらは、米国が世界でリーダーシップを発揮するためパートナー国と進めている特徴的な取り組みのほんの一例です。ここで皆さんにお尋ねします。この話から、米国が国際社会を拒絶しているように見えますか。このような米国の動きは、世界のリーダーとしての責務を放棄した行動だと思いますか。

私たちは全ての取り組みにおいて、同盟国を募っています。私たちは当然ながら自分たちの主権を大切にし、同様に全ての国の主権も大切にしています。だからこそ、私たちは多国間の枠組みの中で、自国そして隣国の主権をこれからも守っていきます。

最後に、貿易のことに少し触れたいと思います。本会議のテーマである「米中対立」は、私には少し厳しく聞こえます。米国は中国と良好な関係を築くことを望んでいます。私たち全員がそう望んでいます。米国はその目標に向け、中国と公平で互恵的な通商関係を築こうと順調に努力しています。

米中は先ごろ調印した第1段階の貿易協定で、意義と強制力のある合意に達しました。この協定は、改革を実現し、知的財産、技術移転、農産物など主要分野で中国の経済・貿易体制を変えるものです。この段階で全ての問題が解決したわけではありませんが、重要な一歩となりました。今後も交渉は続きます。これは、中国の全ての貿易相手国にとっても、また中国にとっても、良い知らせとなります。

このような前向きな形で私の話を終わりにしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。