日本記者クラブにおけるハガティ大使の講演と質疑応答

*下記のハガティ大使の発言および英語での質問は、英語のトランスクリプトを翻訳したものであり、正文は英文です。日本語での質問は、日本語のトランスクリプトを掲載しました。

2017年11月17日
日本記者クラブ

ハガティ大使:杉田(弘毅)さん、土生(修一)専務理事、ありがとうございます。皆さん、こんにちは。

本日は、トランプ大統領の日本訪問と、日本の私のチームの取り組みについてお話しします。本日、皆さんにお伝えしたい重要なメッセージは、大統領の訪日が大成功だったということです。大統領の日本滞在中、両国は安全保障と貿易問題で大きな成果を挙げました。日米関係はかつてないほど緊密です。私は今後の両国の関係を楽観視しています。

初めに、大統領のアジア歴訪の目的と成果についてお話しします。今回の歴訪の包括的な目的は、第一に、北朝鮮の非核化に対する国際社会の決意を強化することでした。大統領と安倍首相は、北朝鮮がもたらす、前例のない安全保障上の課題に対処する決意を新たにしました。大統領は、日本が防衛力を強化するにあたり、先進的な防衛装備品を提供する意思を強調しました。横田基地での米軍兵士や日本の自衛隊関係者に向けた演説、また安倍首相との共同記者会見で強調したように、大統領は日本国民を守ると約束しました。またそれに関連して、大統領夫妻は、北朝鮮による拉致被害者のご家族と面会しました。

歴訪の第二の目的は、自由で開かれたインド太平洋地域の推進です。米国と日本は、安全な環境の推進と高い基準の策定により、インド太平洋地域の繁栄と発展を促す決意を互いに再確認しました。また、私が特にうれしく思ったのは、私が1月から支持してきた取り組みが、11月7日に米国大使公邸で大きく一歩前進したことです。その日、海外民間投資公社が日本のパートナー機関と、インド太平洋全域において日米の質の高いインフラ投資オプションを提供する覚書に署名しました。日米両国は、東南アジア、南アジア、サハラ以南のアフリカにおいて、安価で確かなエネルギーへの普遍的なアクセスを促進するため、日米戦略エネルギーパートナーシップを開始しました。11月6日には、米国の貿易開発庁と日本の経済産業省が、インド太平洋地域における質の高いエネルギーインフラ・ソリューション提供に関する協力覚書に署名しました。これらは、今回の大統領訪日によりもたらされた具体的な成果であり、貿易関係における真の前進です。

第三の目的は、米国の繁栄と貿易の促進です。トランプ大統領は、米国の繁栄と貿易を推進しました。これには、何千もの米国人の雇用につながるこの地域からの新たな投資も含まれています。メディアの報道にもかかわらず、貿易は大統領訪日の大きなテーマのひとつでしたし、今後の上級レベル会合でもそうあり続けるでしょう。トランプ大統領と安倍首相は、強い内需主導の成長と、さらに均衡のとれた貿易をもたらす公正で互恵的な貿易慣行を促進する決意を再確認しました。大統領は、均衡の取れた貿易と日本による市場参入の機会向上の取り組みの必要性について、公共に向けた明確なメッセージを送りました。どうしたらこれを実現できるでしょうか。両首脳は、自由貿易協定を含む、あらゆる貿易分野の選択肢について議論しました。また第2回国際宇宙探査フォーラムや、次回の宇宙に関する包括的日米対話など、宇宙における協力を継続する意思を確認しました。さらに、サイバー空間において被害が次第に大きくなる破壊行為の脅威に対抗するため、日米サイバー協力を強化することを確認しました。

次に、大統領の日本訪問時の主な出来事に触れ、舞台裏についてお話ししたいと思います。しかし、大統領訪日の詳細についてお話しする前に、その直前のイバンカ(・トランプ大統領補佐官)来日についてお話しします。トランプ大統領補佐官は、安倍首相と国民にとても歓迎されました。彼女は国際女性会議WAW!で、非常に有意義な基調講演をしました。私の2人の娘も講演を聞き、彼女のメッセージに大変刺激を受けました。彼女の行動によって、日本国民の皆さんの心のなかに大統領来日のよいイメージが広がりました。

大統領は来日の初日、横田基地で米軍兵士と日本の自衛隊員に感謝の意を表しました。大統領は演説の中で、日米同盟と日本を守る米国の揺るぎない決意を強調しました。

皆さんもご存知の通り、ゴルフも行われました。安倍首相とトランプ大統領が一緒にプレーしたことで、両首脳の他に例を見ない親密さが際立ちました。ラウンドにはプロゴルファーの松山(英樹)さんも参加しました。大統領は、この日本の素晴らしいアスリートをこの上なく賞賛し、松山プロの将来にも楽観的でした。

株式会社ミキモトは、メラニア大統領夫人のために素晴らしい文化的イベントを主催してくださいました。メラニア夫人、安倍昭恵首相夫人、佐々江信子駐米日本大使夫人、そして私の妻・クリシーは、お茶をいただきながら、日本の素晴らしい真珠の文化について学びました。海女さんともお会いし、日本の真珠養殖産業の革新的な歴史について説明していただきました。

訪日2日目の最初のイベントは、駐日米国大使公邸での日米経済人との会合でした。このイベントは大成功でした。大統領は、米国市場についてこの上なく楽観的な見方を示しました。そして現在米国で進行中の規制改革について話しました。また現在、連邦議会で審議されている法人税改革について楽観しているとも述べ、米国は成長を続ける開かれた市場であり、実際に日本企業が投資するのに世界で最も魅力的な市場であると強調しました。

大統領は、米国で大型投資を行った日本人経営者の皆さんの名前を挙げて感謝の意を示しました。実際、日本企業は4000億ドル以上の対米投資を行っています。1年で9%の増加をみており、85万人の米国人を雇用しています。日本企業の米国での業績は好調で、株主にとって高い利益を生み出し、自らの産業に成長をもたらしています。

さらに、日本でビジネスを展開する多くの米国企業も参加しました。ここ日本でもこうした米国企業による雇用創出が期待できるでしょう。

またトランプ大統領は、貿易に関する懸念も強調しました。米国は長年、日本との貿易赤字を抱えてきました。日米は協力して日本の市場をさらに開かれたものにしなければなりません。日米両国が提供する医療の研究開発支援を多くの国々がただで利用しているなか、医薬品と医療機器の技術革新を支援するためのグローバルなパートナーとしての日本の継続的な役割を維持しなければなりません。また世界の市場を悪用し、不公平な競争をする国々に対抗する同盟国としての日本の役割も維持しなければなりません。

次にトランプ大統領夫妻は皇居を訪問し、天皇、皇后両陛下にお目にかかりました。その後、迎賓館赤坂離宮で、素晴らしい昼食会に続き日米の2国間会合が行われました。

その後、トランプ大統領、メラニア夫人、そして私は、北朝鮮に拉致された被害者のご家族と面会しました。私たちはご家族から痛ましいお話を伺いましたが、北朝鮮による途方もない人権軽視の実態が語られました。実際、今週の水曜日(11月15日)で、横田めぐみさんが拉致されてから40年が経過しました。私たち全員が忘れることのできない悲劇的な事件です。

その夜、安倍首相が迎賓館で夕食会を主催してくださいました。首相と昭恵夫人は素晴らしいホストでした。日本の経済、文化、政治など幅広い分野を代表する方々が参加されました。トランプ大統領とメラニア夫人は、麻生副総理、菅官房長官、河野外務大臣、小野寺防衛大臣、谷内国家安全保障局長など多くのゲストの方々と楽しい時間を過ごしました。

中でも最も楽しかったのは、プロゴルファーの青木功さんのお話でした。1980年の全米オープンでのジャック・ニクラウスとの有名な対決のお話は、私たちを楽しませてくれました。この対決についてトランプ大統領は「これまでにない素晴らしいパッティング技術が発揮された」と語っています。

日本を離れるためにエアフォースワンに搭乗するとき、トランプ大統領は最後に私にこう言いました。「日本にはとてつもなく大きなチャンスがある。それを確実に実現するように」と。

さて、次に、トランプ大統領のアジア歴訪における日本以外の部分の成果について手短にご説明したいと思います。最初に、米国人労働者への投資です。トランプ大統領はアジア歴訪中、米国に投資を呼び戻し、米国人労働者の雇用増につながる新たなプロジェクトと取引を成立させました。

2番目に、トランプ大統領は、公正で互恵的な貿易を強調しました。あまりにも多くの米国人を置き去りにしてきた、長年にわたる一方的で不均衡な貿易に終止符を打つため、大統領は、米国とアジアのパートナー諸国との間の公正な貿易を前進させました。

3番目は北朝鮮の非核化です。トランプ大統領は、北朝鮮に対する世界の圧力を最大限にする取り組みを優先課題とし、北朝鮮に非核化を余儀なくさせるよう全ての責任ある国々に呼びかけました。

4番目に、自由で開かれたインド太平洋地域の促進があります。トランプ大統領のアジア5カ国訪問は、既存の関係を強化し、地域の発展と繁栄を可能にする高い基準を促進しました。

5番目は、米国のアジアへの積極的な関与です。トランプ大統領は3つのサミットに出席し、米国のアジア太平洋地域への関与を再確認し、強化しました。

ここまで、米国とアジア諸国との関係における画期的な出来事とも言えるトランプ大統領のアジア歴訪について説明してきました。次に、日本における2国間関係強化に向けた在日米国大使館の継続的な取り組みについてお話ししたいと思います。トランプ大統領から、主に3つの分野を中心に取り組むよう指示を受けています。第一に日米同盟の強化です。揺るぎない日米同盟は、アジア太平洋地域における平和、繁栄、自由の礎です。米国のあらゆる軍事能力を用いて日本を防衛する米国の決意は、確固たるものです。アジア太平洋地域の安全保障環境がますます厳しいものになるなか、米国はこの地域におけるプレゼンスを強化し、日本は日米同盟においてより大きな役割と責任を担います。この目標の遂行に向けて、私は個人的に、頻繁に日本の政治、防衛分野の指導者の皆さんにお会いしております。両国関係は非常に強固であると確信しております。

私は沖縄県訪問から戻ったばかりですが、この訪問で、沖縄が地域の安全保障の強化に大きく貢献しているという認識を深めました。

この目的達成に向けた1つの目標は、日本の能力と相互運用性を高めながら、ときとして最新の防衛技術の導入を遅らせる複雑な行政手続きを削減することです。

2番目の目的は、日米の経済関係を深めることです。トランプ大統領の下、米国は、日本との経済関係強化に向けて強い決意で臨んでいます。70年以上にわたって両国は貿易パートナーであり、国民同士を結びつけ、日米両国で何世代にもわたり成長と繁栄を生み出してきました。

私が日本に着任して以降も、ペンス副大統領と麻生副総理のリーダーシップの下、2国間経済対話への取り組みを深めてきました。先月、私はワシントンでの経済対話第2回会合に参加しました。また先週は、経済的な結びつきを深め、長く続く貿易赤字問題に取り組むトランプ大統領と安倍首相の詳細な議論に立ち会いました。我々は、自由貿易協定を含む、貿易分野のさまざまな選択肢について協議しました。

3番目の目的は、人と人との結びつきを深めることです。日米同盟と2国間関係は、両国民の深い絆に根ざし、支えられています。両国間の人と人との結びつきは2国間関係を支え、強化しています。

この中には、スポーツ外交も含まれます。故郷ナッシュビルにメジャーリーグ・サッカーチームを誘致する取り組みを主導した経験から、私は、スポーツを愛する共通の気持ちにより地域社会が一体になることを学びました。私の着任直後に行ったイベントの1つは、PGAツアーチャンピオンズに関係するものでした。ゴルフというスポーツを愛する共通の気持ちは、全ての人に日米両国間の緊密な絆を思い出させてくれます。

私は食を通じた外交も楽しみにしています。例えば、現在、日米のウィスキー・テイスティングのイベントを計画しています。両国のトップクラスのウィスキーメーカーの代表を招待し、ウィスキーを愛する互いの心をたたえたいと思います。

さらに、日米の学生交流の奨励・支援も続けていきます。

日米共通の目標を達成するため、皆さん、そして日本国民と協力することを楽しみにしています。今回のトランプ大統領の来日で、私は、安全保障、貿易、人と人との関係に関する主要な目標を、それぞれ前進させる大きな機会を得たと思っています。

結論として、今回の日本訪問において、トランプ大統領は安倍首相との緊密な関係を強化し、安全保障と貿易問題の両方に関してその関係を前進させました。長期間の大統領の東アジア歴訪は、この地域が米国の政策にとって極めて重要であることを示しています。日本における私のこれまでの経験から、日米関係は「磐石」であると言うことができます。

今後の日米関係について私は非常に楽観的です。世界で最も重要な関係の1つである日米関係について日本の皆さまにお伝えするため、報道関係者の方々と協力していくことを楽しみにしております。

ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

司会:ハガティ大使ありがとうございました。大変前向きで、日米関係の将来が明るいという印象を受けました。もうすでにいくつか質問をいただいていますので、この中から共通する質問について私の方から伺いたいと思います。1つは、大統領のアジア歴訪の焦点である北朝鮮の問題です。このところ、9月初旬以来、北朝鮮によるいわゆる挑発的行動、つまりミサイルの実験あるいは核実験というものが行われておりません。この間トランプ大統領は訪日において、大変強いメッセージを出しました。今日たまたま中国共産党の特使がピョンヤンを訪れるという動きもあります。今、一連の動き、特に大統領の北朝鮮に向けてのメッセージを受けて、北朝鮮情勢は今どういう状況にあるのか、これから米朝間の話し合い、対話の方に向かって動きが進むという状況にあるのでしょうか。そこについて伺いたいと思います。

ハガティ大使:杉田さん、ありがとうございます。政策的な観点から言えば、北朝鮮情勢に変わりはありません。我々の目標・目的は、朝鮮半島の非核化です。トランプ大統領の訪日が成功を収めたことにより、この目標に向け大きく前進しました。まず、大統領は日本を訪問し、日米同盟が強固であることを示しました。また安倍首相と共に、日米が朝鮮半島の非核化を実現したいこと、そして各国に対して国連安全保障理事会の制裁実施に向け支援を呼びかけたいことを明確に示しました。我々が前進するなかで、私も北朝鮮の行動を認識しています。北朝鮮は沈黙を保っていますが、私は、我々の目標に変更はないという事実以外、この行動から何らかのメッセージを読み取るつもりはありません。中国の特使がピョンヤンを訪れていることについては、私も楽観視していますが、成り行きを見守る必要があります。とはいえ、我々の目標は北朝鮮への圧力を強め、国際社会の決意をさらに固め、北朝鮮に攻撃的な挑発行為などの行動をやめさせ、協議の場に復帰させて交渉が可能になるような適切な態度を取らせることです。

司会:ありがとうございました。2問目の質問は、これも大使のご発言の中で重要なポイントであった日米間の貿易の問題です。私の質問はおそらく2つの部分に分かれると思うのですけれども、 1つは北米自由貿易協定(NAFTA)のリネゴーシエーション(再交渉)というのをやっております。日本企業はメキシコに大変多く展開していますので、日本企業の立場からすると、NAFTAの交渉によって利害が大いに失われるのではないかという強い懸念があります。これは、日本の経済団体もアメリカ政府にメッセージとして伝えていると思います。このNAFTAの交渉において、そういった日本企業あるいは外国企業の利益というものは全く考慮されないということになるのでしょうか。

2つ目の質問は、日米の自由貿易協定(FTA)ですけれども、いわゆるTPP 11が最終合意に向かって近づいているわけですけれども、一方で日米のFTAについては非常にいろいろな問題があり、なかなか見通しがたっていません。大使は先ほどのお話ですと、麻生大臣とペンス副大統領の対話の場にも参加していらっしゃるということですが、日米FTAは果たして実現可能性としてどのくらいあるのか、それはいつ実現すると見ていらっしゃるのか。貿易についてはその2問を伺いたいと思っています。

ハガティ大使:杉田さん、ありがとうございます。貿易問題は複雑です。まず、NAFTAに関する質問からお答えいたします。私は、北米で事業を展開し、NAFTA再交渉が持つ意味合いを危惧する日本企業と数多くの会合を持ち、再交渉が日本企業の供給網に与える影響について、かなり突っ込んだ話をしてきました。この懸念を、ライトハイザー米国通商代表に直接伝えたところ、ライトハイザー代表は、再交渉により先行きが見通せないなか、供給網を管理しようとしている日本企業が、このような不安を抱えていることを十分に承知し、理解しています。同時に、私は、NAFTAが米国のためになっていないことを強調いたします。米国の対カナダ、メキシコ貿易の赤字は拡大しています。今日使われている原産地規則は、時代遅れで、その本来の目的を達成していません。そこで、大統領は当然ながら、「この協定は米国を利するものになっていない」と訴えてきたのです。大統領が望んでいるのは、全ての当事者にプラスとなるよう協定を再構築することです。しかし、私は、NAFTA再交渉の場で、影響を受ける日本企業の利害を反映させ、理解してもらえるようにする特別な役割を担っています。

2問目のTPP11に関して、トランプ大統領と安倍首相は、貿易および日米双方の利益の推進について、有意義な議論をしました。TPP11交渉は前進していますが、米国抜きです。はっきりと言います。米国が、現在の条件の下でこの協定に復帰することはありません。大統領は、発効は米国にとって重要な問題だと明言しました。米国は、高い水準の順守に前向きな国であれば、インド太平洋地域のどの国とも交渉する用意があります。しかし、我々は、発効が明らかで、かつ可能な環境の下で交渉したいと考えています。ですから、大統領は非常に高い基準を持つ2カ国間協定を求めているのです。よって、米国市場がTPP11の一部となることはありません。ですから率直に言って、発効は難しくなると思います。なぜなら、多くの企業がTPP協議に参加したのは、TPPが巨大で開放された米国市場へのアクセスを提供していたからです。しかし、FTAであろうと、相互利益を推進する別の枠組みであろうと、米国が日本や他国との交渉に前向きであり、交渉する用意があることがお分かりになると思います。

日米FTAの可能性については、私は可能だと思いますが、スケジュールは全くの白紙です。トランプ大統領と安倍首相は、米国の対日貿易赤字をある程度是正する手段として、これについて協議しました。率直に言って、非常に不均衡な状況に目を向けると、例えば、肉類では、米国産牛肉に50%の関税がかけられる一方で、オーストラリア産牛肉への関税はわずか28%です。この不均衡を是正する必要があります。農産物の日本市場へのアクセスを巡るその他の問題、医療および医薬品開発に関する問題、日本市場への公平なアクセスがない他の貿易分野で定められた高い基準に関する問題など、たくさん問題があります。我々は大きな前進をみると思います。

司会:大統領は安倍総理との共同記者会見で、貿易赤字の問題の中で日本はアメリカの防衛システム、武器を、大統領の表現ですと「massively」に買えば貿易赤字は解消されるというようなことをおっしゃいました。これは具体的にはどういった兵器システムのことを、大統領は発言するときにお考えだったのか。日本は必要な兵器を計画通りに買っているというような判断だと思うのですけれど、具体的に、さらにこういった兵器が必要であるというようなお考えがあれば、お教え願いたいと思います。

ハガティ大使:杉田さん、この質問を取り上げてくれてありがとうございます。というのも、トランプ大統領の目標に関して、少し混乱が生じているかもしれないからです。大統領は、我々の包括的な目標は、日本の(防衛)能力および相互運用性を高めることと明言し、安倍首相も合意しています。我々の包括的な目標とは、安全保障・防衛のための目標であり、貿易赤字是正のためではありません。より多くの先進的な技術を日本に提供し、我々の相互運用性、率直に言えば、日本とこの地域を防衛する我々の実効性を高めるような方法でその技術を導入していくことが目標です。この目標の副産物として、貿易赤字にある程度のプラスの影響が生まれるかもしれないことは事実です。しかし、それは目標ではありません。目標は、安全保障の観点、技術および相互運用性の観点から、我々の実効性を高めることにあります。それについて、日米首脳は一致しています。

司会:それではフロアをオープンして皆さんからの質問を受けたいと思います。時間が限られていますので、質問は簡潔にお願いします。それからご所属とお名前をお願いいたします。一人一問ということでお願いします。

問:TBSテレビ「報道特集」の金平です。大使はこれまでになく「磐石」という言葉をお使いになりましたが、磐石という言葉に異議を申し立てている県民がいるということを申し上げておきたいと思います。私の質問は、沖縄のアメリカ軍基地に関してです。大使はこれほど長期な、これほど根強い反対運動が、新しい基地を建設するということについて存在するということについて、どのような評価をお持ちでしょうか。辺野古が唯一のオプションであるというような、日米の両首脳がすでに繰り返し言っているようなお答えを期待しているわけではありません。このような反対運動が継続して、それを無視した形で建設を強行した場合、アメリカ軍のプレゼンスにとって将来的にはマイナスになるというようなお考えはありませんでしょうか。ありがとうございます。

ハガティ大使:金平さん、ご質問ありがとうございます。私は、今週初め、沖縄を訪問しました。着任3カ月で2回目の訪問となります。私は、沖縄訪問中、沖縄がこの地域の安全保障の向上に多大な貢献をしていることに対し、深い感謝の気持ちを持つようになりました。これについては、私だけでなく、米軍、トランプ大統領、もちろん安倍首相も感謝しています。月曜日には、金平さんの質問にある辺野古を視察しました。というのも、沖縄の貢献については認識していましたが、それを実際に目で見る最初の機会となったからです。そして、普天間の場所に問題があることがはっきりと分かりました。この地域では人口が著しく増加しています。これまでに交渉された現在唯一の解決策は、キャンプ・シュワブを辺野古周辺に移設することです。ゆえに、これは、日本政府、沖縄県民および米軍の間で今日進めている唯一の選択肢です。沖縄を訪問して、大きな進展がみられることに気づきました。また、普天間訪問後には、この施設の移転が必要であることがよく分りました。私は、沖縄でさらに進展があり、県民の皆さんと緊密に協力し、混乱や影響を最小限にとどめるような形で行いたいと考えています。しかし同時に、この地域の安全保障に対する北朝鮮政権からの圧力が強まっている、特にこの重要な時期に、即応力を維持することも願っています。ありがとうございました。

問:ハガティ大使、ありがとうございます。ニューヨーク・タイムズ紙のモトコ・リッチです。大使は協議の場にいらしたので、FTAの提案に対する安倍政権の反応についてもう少し詳しくお話ししていただけますか。我々の理解では、日本側は2国間FTAに関心がないようですが。

ハガティ大使:我々の協議は、非常に率直かつ単刀直入なものとなりました。包括的な目標は、何十年にもわたり続いている貿易赤字の縮小にあります。FTAは、そのために用いるかもしれない手段の1つです。安倍政権は現在TPP11の交渉に専念しています。それは理解できます。しかし一方で、米国は貿易赤字の縮小に高い関心を持っており、FTAが取り組む必要のあることの1つであるならば、我々はその方向に進んでいくでしょう。我々が協議した他の分野には、FTAなしで取り組むことができるものもあります。ペンス副大統領と麻生副総理が主導する日米経済対話が進展するなかで、協議の対象となる項目が多数あることが分かってくるでしょう。FTAはその1つであり、特に農業分野で継続しているいくつかの問題に取り組むことができます。しかし、エネルギーの輸出・輸送や、より広範な地域のインフラ開発など、協力できる分野についても話し合うつもりです。検討する要素はたくさんありますが、我々は、日米の経済関係を拡大・深化させるだけなく、この継続する貿易赤字に取り組むため、あらゆる方法で注力していきます。ありがとうございました。

問:朝日新聞の尾形聡彦です。先日は弊社のインタビューに応じていただきありがとうございました。2つ質問があります。1つは北朝鮮について、もう1つは杉田さんの質問に関しての補足です。まず、北朝鮮についてですが、トランプ大統領が最近、北朝鮮に対する語調を和らげたのかどうかについてお伺いします。というのも、ハワイから東京、横田(基地)に向かう途中に北朝鮮について聞かれた際に、大統領は、北朝鮮国民は、皆が思っている以上に素晴らしく、勤勉で、温かい人たちだと述べました。同時に、全て上手くいくように願っているとも語りました。東京での記者会見でも、同様の表現を使われました。今までの発言と比較すると、大統領は北朝鮮への語調を変え、外交努力により力を入れている印象を受けます。そして中国は、特使を北朝鮮に送ると発表しています。大使は大統領の日本滞在中、行動を共にされましたが、この語調の変化についてどのように感じていらっしゃいますか。2つ目の質問は、大使が先ほど触れられた防衛装備品の購入に関する質問です。水曜日、トランプ大統領はホワイトハウスで、次の発言をされました。「日本もまた、米国納税者が負担する費用を返済し、自国の防衛に多く投資することで、日米共同防衛についてより多くの負担を担おうとしている。これには、戦闘機から何十億ドルもするミサイル防衛システムにいたる、米国の最先端の防衛装備品の購入が含まれる」。トランプ大統領と安倍首相の首脳会談では、新たな合意事項があったのでしょうか。つまり、イージス・アショア陸上配備型ミサイル防衛システムやF-35戦闘機、SM-3ブロック2Aなど、以前合意していた購入品目以外の合意があったのでしょうか。日米首脳会談で、先に合意していた装備品購入以外に新たな要素があったのか、教えてください。

ハガティ大使:ありがとうございます。まず、最初の質問、北朝鮮への大統領の発言に関してお答えします。大統領は、我々の包括的な目的は朝鮮半島の非核化であると明言し続けています。極めて明確だと思います。大統領が安倍首相と共に行ったのは、これを実現するため域内からの支援を確保することでした。北朝鮮への制裁拡大および制裁実施の点において、我々の見解に同調する国が増えていることは明らかです。日本は、北朝鮮と取引のある組織を孤立させ、制裁を課すという点で、米国と行動を共にしています。これは、今回の訪問中に実施されました。尾形さんが耳にされているのは、大統領が北朝鮮にさらなる圧力をかけて方向転換をさせ、より正常な方法で世界と付き合うようにさせようとしていることだと思います。北朝鮮がそうするのであれば、大統領は受け入れる用意があります。

大統領の懸念は、北朝鮮国民に対してではありません。大統領は、北朝鮮国民に同情しています。大統領が懸念しているのは、人権侵害を続け、核能力を追求して世界を脅かし、人質に取ろうとする北朝鮮政権です。これは受け入れられません。大統領も、安倍首相もこう発言していますし、直近では、中国の習近平国家主席もそう言っています。ですから、私たちが見ているのはさまざまな感情だと思います。大統領と各国首脳は、北朝鮮に対して非常に厳しい姿勢で臨んでいますが、同時に北朝鮮国民を心配しているというメッセージを世界に向けて発信しています。ですから、これは変化と言うよりはむしろ、大統領の考えの全体を示していると思います。

次に貿易ですが、これは杉田さんの質問に戻ることになります。私も協議の場に参加していましたが、安全保障に関する協議の方がはるかに多くなりました。協議は、具体的な兵器のプラットフォームではなく、より多くの米国の先進的な防衛技術を日本に提供するという原則に集中していました。

2つ目として、我々は日本に防衛装備品を提供する手続きおよび手順の改革についても協議しました。現在の手続きは日本側、米国側双方とも非常に複雑です。新たな技術が迅速に利用できるようにするため、私と私のチームは、大統領から、こうした手続きを改善する方法を見つけるよう指示されています。

これにより、副次的に貿易赤字にプラスの影響があるかもしれません。しかし、それは、この措置の主要な目的でないと断言します。ありがとうございます。

問:ロイターのティム・ケリーです。先の質問と、それに対する大使の回答について、引き続きお伺いします。大使は、より多くの先進技術を日本に提供することについてお話になりました。私は、日本が欲しいと思っているけれども、まだ日本に提供されていない米国の技術について、具体的な例を挙げることができます。それはおそらく、新イージス・レーダーシステム「Spy-6」でしょう。米国は、この配備を2020年に予定していると思います。日本はこのレーダーを、イージス・アショア・プラットフォーム用に、またイージス艦用にも欲しいと考えています。しかし、これについて、米国側から何の確約も得られていません。これは、米国が日本に提供する先進技術の一例となりますか。

ハガティ大使:ケリーさん、ご質問ありがとうございます。先ほどの質問でもお答えしたように、トランプ大統領と安倍首相の協議は、原則に基づいたものでした。特定のプラットフォームや特定の兵器システムの提供に関する議論はありませんでした。しかし、我々の包括的な目標は、より多くの先進技術を日本に提供することにあります。ですから、ケリーさんのお尋ねの件を排除することはしませんが、特定の項目について協議することはありませんでした。

問:日本経済新聞の木寺と申します。2つ伺います。先ほどのフォローアップになるのですけれども、1つ目、FTAについてなのですが、首脳会談でFTAについてどの程度具体的な話が出たのでしょうか。FTAという名前に言及があったのでしょうか、というのが1つです。もう1つはハガティ大使の今後のメディアへの発信方法について伺いたいのですけれど、今後もこのような記者会見を定期的にというか、折に触れてなさるようなお考えはありますか。

ハガティ大使:ご質問ありがとうございます。まず、安倍首相とトランプ大統領の貿易に関する協議ですが、貿易赤字是正のために活用できる、あらゆる手段について話し合いました。それには、FTAも含まれます。

2つ目の質問、私と報道関係者との交流の頻度についてですが、特に日本記者クラブのような権威ある、大きなメディア団体に関しては、とにかく今日無事にこなせることを願うばかりであり、今回の会見がどのような結果になるかを見てからと考えています。しかし、本日、職を解かれるような、へまをしていないと仮定すれば、私はメディアとのやり取りを楽しみにしています。そしてメディアが果たす役割は評価いたします。

日米は、他に類を見ない素晴らしい機会に恵まれており、私はチームと一丸になり、日々、共に日米関係の前進に努めていくつもりです。この地域は固有の脅威にさらされていますが、この脅威がどのようなものであるかについては日米で一致しています。我々には、日米の経済関係を深化させる確かな機会もあります。私が今まで見てきた中で最善の機会だと思います。皆さんご存知の通り、私は25年以上前に日本に住んでいました。その当時を振り返ってみると、日米の通商関係は非常に難しい状況にあり、多くの摩擦が見られました。今日は協調の空気が感じられます。安倍首相とトランプ大統領が表明した、より広大なインド太平洋地域を目指す視点は、日米がリーダーとして手を結び、世界人口の半数以上を擁するこの地域全体で、両国の利害を推進する素晴らしい機会を創出すると思います。

私は、日米が担うリーダーシップの役割は独特なものであり、自由のために不可欠であると考えます。メディアの皆さんは、そのお手伝いができる、その話を発信できると信じています。私は、いつも正しいわけではありません。私たちは、どこかで間違えるかもしれません。しかし、私たちが進む方向は明白であると思います。メディアの皆さん、我々が進む方向を誤ったり、また改善が必要な場合、時には教えていただければ助かります。しかし、私は、在日米国大使館・領事館の全職員と共に、我々の共通の利害を推進しようとしていることをご理解いただきたいと思います。そうする絶好の機会だと思っています。

問:ネットメディアのデモクラシータイムズというところにおります山田と申します。トランプ大統領が日本に入られたときに、なぜ横田基地から入られたのでしょうか。少なくとも、国賓ではないとしても、天皇陛下にも会うし、日本と友好をつくらなければならないこの局面に、なぜ日本の玄関口である羽田ではなく、横田の地から入り、かつ米軍への演説を一番最初にされたのか、これがアメリカ・ファーストということなのでしょうか。警備上の理由というのはよく挙げられるのですが、日本の警察の警備では不安だったということでしょうか。基地問題は沖縄だけでなく、日本で微妙な問題があり、今の政権を支える人たちの間でも戦場下の記憶というのはあります。そういうことをお分かりになっている大使が、このような措置を取られたのは、どういう理由だったのでしょうか。これはホワイトハウスの意向でしょうか。よろしくお願いします。

ハガティ大使:ありがとうございます。横田基地を使用する決定は、私も個人的に大いに支持しました。その理由は、大統領の安全や日本の警察警備を信頼していないなどということではありません。実際、私は、警視庁の方々と警護担当の方々に感謝を申し上げたいと思います。見事な仕事ぶりでトランプ大統領を警護し、その訪問を支援してくださいました。横田基地の使用は、トランプ大統領が、横田基地にいる米軍兵士と自衛隊員に会う必要があったという事実と関係しています。よく考えた上での、大統領と米軍兵士、自衛隊員の面会だったのです。

今年、日本とこの地域の防衛態勢を整えるなかで、20人の米国人の生命が失われました。イージス駆逐艦ジョン・S・マケインの兵士10人を失いました。彼らの遺体が戻ってきたとき、私もそこにおりました。嘆き悲しむ家族と一緒におりました。さらにイージス駆逐艦フィッツジェラルドの事故ではさらに7人失いました。オスプレイの事故で3人を失いました。加えて、今年は自衛隊もその隊員を失いました。米軍、自衛隊双方が、この地域を守り防衛する態勢を整えるなかで、究極の犠牲を払ったのです。そしてトランプ大統領は、彼らの努力が高く評価されていることを知らせたかったのです。だからこそ横田基地に最初に降り立ったのです。それは、この地域を守るため日々命をかけている人たちに我々の感謝の気持ちを示すためでした。米軍兵士と自衛隊員です。横田基地を選んだのはそういう訳です。

司会:ありがとうございました。ちょっと時間をオーバーしましたけれども、大使には大変幅の広い我々の質問に、きわめて丁寧に、しかも率直にお答えいただきまして、大変感謝しております。またメディアとの関係にも大変前向きであるというお答えをいただいたので、これを機にこれからも何度も、このジャパン・ナショナル・プレスクラブにお越しいただいて、こういったメディアとの会見の場に臨んでいただければと思います。それが日米関係の深化・強化にもつながるのかなと思っております。

最後に、先ほど貴賓室で、大使に揮毫(きごう)をいただきました。これはきわめて前向きな日米関係の言葉なんですけれども、大使の方から何か説明されることはありますか。

ハガティ大使:(ゲストブックについて)杉田さん、説明させていただけるのは光栄なことです。読んだ方がよろしいでしょうか。ここにこう書いてあります。本日は皆さんとご一緒でき大変光栄に思います。ある元大統領の言った勇気の湧く言葉をお伝えしたいと思います。ここからが引用です。「我々は、あえて偉大であろうとしなければならない。そして偉大さは、労苦と犠牲と大きな勇気が結実したものであることを忘れてはならない」。セオドア・“テディ”・ルーズベルト元大統領の言葉です。そしてこれこそ、私が日々私のチームに伝えようとしている言葉です。我々は一生懸命働かなければなりません。我々は自らを犠牲にします。我々が前進するなか、日米関係の発展に全力で取り組むなか、トランプ大統領が私に日本で実現するよう促した機会を実現していくなかで、私は最大限の勇気を奮うよう促します。私はとても楽観的です。日米関係はこれまでにない最高点に達しました。そして日米がインド太平洋地域のリーダーとして協力すれば、共通の目的を進めるために、これまでになく多くのことができます。この引用が、こうした私の楽観的な考えを伝えてくれることを期待します。