ファクトシート ― 日米の2国間協力

*下記のオバマ大統領の発言および英語での質問は、英語のトランスクリプトを翻訳したものであり、正文は英文です。安倍首相の発言および日本語での質問は、在日米国大使館報道室で作成した日本語のトランスクリプトを掲載しました。

2014年4月24日、東京・赤坂迎賓館

米国と日本は、未来志向の近代的で多面的な同盟関係を有する。2014年4月、オバマ大統領と安倍首相が東京で会談し、両国民にとっての繁栄、安全 保障、福祉を促進するために取るべき将来の道筋を示した。両首脳の会合は、以下の分野における日米の2国間協力の深さと幅広さを示すものである。

相互の繁栄の促進

米国と日本は強固で生産的な経済関係を共有している。両国の緊密な経済的結び付きは、日米の企業同士の強力なパートナーシップ、および環境と気候 変動、開発、民生用原子力協力、クリーンエネルギー、イノベーション政策、サイバーセキュリティー、インターネットエコノミーなどのさまざまな分野での継 続的な経済対話に反映されている。

米国と日本は世界第1位と2位の自由市場経済を有する。2012年の財およびサービスの相互貿易は総額2900億ドルに及んだ。日本は米国にとっ て世界第4位の貿易相手国であり、対米直接投資額では世界第2位である。日米相互の投資額は2012年に総額4420億ドルを超え、日本企業は約65万人 の米国人を雇用している。このような緊密な貿易・投資関係は、両国の繁栄の拡大に貢献している。日米は、G7およびG20、アジア太平洋経済協力会議 (APEC)、ならびに世界貿易機関(WTO)などを通じ、地域および世界において、21世紀の経済ルールの推進で緊密に連携している。我々は環太平洋 パートナーシップ協定(TPP)が両国の雇用と成長を支えると認識し、高い基準の合意に向け献身的に取り組んでいる。

日米両国は共に、女性がそれぞれの社会でより大きな役割を果たせるようにするため、女性の権利の拡大を重視している。米国は、女性にとっての経済 的機会の拡大と全面的な労働参加が両国の共通の課題であることを認識し、オバマ大統領の主催で2014年6月23日に開催される「共働き・一人親家庭に関 するホワイトハウス・サミット」(White House Summit on Working Families)に日本から5人の参加者を招待することを発表する。このサミットは、企業、エコノミスト、労働組合のリーダー、政策立案者、女性の権利 擁護団体、そして一般市民が一堂に会し、共働き・一人親家庭を支援し、女性の労働参加を促す21世紀の職場を創出する方法を議論することを目的としてい る。

米国は2013年9月、「平等な未来のためのパートナーシップ」への日本の参加を歓迎した。このパートナーシップは、女性の政治・経済的参加への 障壁を打破することを世界中の国々が公に約束したものである。米国はG20で日本と協力し、世界の成長を加速させるひとつの手段として、女性の労働参加の 拡大を目指している。我々はAPECにおける女性の権利拡大の取り組み強化での日本の指導力を称賛しており、この課題を推進するために日本と緊密に協力し ていく。

安全保障の向上

日米同盟は引き続き、アジア太平洋地域における両国の安全保障政策の礎であり、21世紀における相互の安全保障のみならず、地域の平和、安定なら びに繁栄を確保するものである。我々は、現在の課題を反映するためにアジア太平洋地域およびその他の地域における安全保障および防衛協力を拡大すること、 ならびに米国海兵隊の普天間飛行場の代替施設としてのキャンプ・シュワブでの新たな飛行場の建設および海兵隊のグアム移転など、在日米軍再編を実施するこ とにより、一層強固で効果的な同盟関係の構築に取り組んでいる。日米は、日米地位協定(SOFA)を補完する合意を含め、在日米軍基地に関する環境面での 枠組みを策定中である。

米国と日本は、紛争の抑止および平和と安全の推進において、日米同盟が引き続き極めて重要な役割を担うために「日米防衛協力のための指針」の見直 しを行っており、着実な進展を見ている。新たな指針が定義する役割、使命、および能力を支援するために、日米同盟は最新技術を利用し、部隊を強化してい る。我々は米国空軍の無人機「グローバルホーク」を交代で配備するほか、米国海軍のP8対潜哨戒機や海兵隊のF-35B航空機も配備する予定である。また 新たな脅威に備え、宇宙やサイバースペースのような新たな分野での課題に対処するため、2国間のワーキンググループで協力している。

米国と日本は北朝鮮の平和的な非核化の重要性について、意見の一致をみている。この目標を達成するため、我々は、北朝鮮の挑発的行為や国際義務を 順守しない態度が、重大な結果を招くことを確保する一方で、真の意味での信頼できる交渉を追求する。我々は北朝鮮のミサイルの脅威を念頭に、日本での新た なXバンドレーダー設備の建設をはじめ、弾道ミサイル防衛での2国間協力を強化している。さらに米国は先ごろ、2017年までに弾道ミサイル防衛システム を搭載したイージス艦2隻を日本に追加配備し、防衛力を一層強化すると発表した。こうした措置には、北朝鮮による攻撃から日本と米国を守る両国の強い意志 が反映されている。

両国はまた、双方の国民の利益と安全を守るために国内法の執行の分野でも協力している。2月7日に署名された2国間の重大犯罪防止対処協定に基づ き、日本と米国は、両国民を守る法執行面での協力を深化させている。米国は、児童ポルノを犯罪とする日本の継続的な取り組みに加え、「国際的な組織犯罪の 防止に関する国連条約」(UNTOC)および同条約を補足する人身取引議定書を締結するための手続きの一環として、日本が国際組織犯罪に対処するために共 謀の犯罪化を検討していることを歓迎する。さらに、2014年4月1日には「国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約」が日本で発効した。本条 約は、不法に連れ去られ、あるいは留め置かれている子どもを、その子の常居所である国に迅速に返還したうえで、その国の管轄裁判所が子どもの最善の利益に 基づき、親権と子どもへの接触について決定を下せるようにする法的枠組みを提供している。米国は、ハーグ条約に加盟した日本の決断を歓迎し、親による国際 的な子の奪取に関する既存または将来の事案を解決するために両国が緊密に協力していくことを期待している。

世界各地の安定と繁栄の確保

米国と日本の関係は地球規模である。両国は共通の価値観に根差し、世界各地で政治的、人道的、および安全保障面でのさまざまな課題に取り組み、より安全で安定した公正な世界の構築に向け協力している。

米国と日本は、民主主義と経済的発展を追求するウクライナ国民の取り組みを支援している。米国と日本の首脳はハーグで、他のG7諸国の首脳と共 に、ウクライナの主権、領土の一体性、および独立への支持を再確認し、ロシアが引き続きウクライナ情勢を悪化させる場合には、ロシアに対して各種の制裁措 置を行うことを約束した。

日本と米国は、中東の安定、安全保障、および繁栄を促進する。この地域への人道援助の最大の供与国である米国と共に、日本は統一された民主的なシ リアを支持し、紛争の影響で住居を失ったシリア国内の避難民だけでなく、シリア人難民やその受け入れ国にも4億2000万ドル近い援助を提供してきたほ か、シリアが備蓄する化学兵器の破壊と除去も支援する。米国と日本はまた、アフガニスタンへの民生支援の主な供与国でもあり、すでに2016年末まで支援 を継続することを約束している。

さらに、米国と日本は、特にパレスチナの経済成長と制度構築への援助を通じて、中東和平を一貫して支持してきた。米国はパレスチナ自治政府への最 大の資金供与国であり、1990年代半ば以降、2国間援助に拠出してきた金額はおよそ50億ドルに上る。同時期に日本はパレスチナ自治政府に14億 4000万ドルの援助を提供し、東アジア諸国の専門知識と資源を結集してパレスチナを支援しようと取り組んできた。

日米は、衛生、農業、医療、産業、および電力の分野での原子力エネルギーの平和利用の恩恵を、不拡散義務を果たす国々に拡大する国際原子力機関(IAEA)の活動を強く支持するとともに、IAEAの平和利用イニシアチブの2大支持国である。

日本は、米国と協力して、イランの核開発計画に対する国際社会の懸念に対処するよう同国の説得に努め、イラン産原油の輸入を大幅に削減するとともに、共同行動計画の実施を支持している。

先端技術分野での協力

科学技術分野での日米パートナーシップは、両国と国際社会が直面する幅広い複雑な課題に取り組んでいる。日米科学技術協定の下で、米国と日本は 25年以上にわたり、新エネルギー技術、危機管理、スーパーコンピューター、希少材料などの分野の科学研究で協力してきた。オバマ大統領と安倍首相はこう した成果を認識し、この2国間の科学技術協定をさらに10年間延長すると発表した。

米国と日本は共に、開かれた、相互運用可能な、安全で信頼性の高いサイバースペースの実現に取り組んでいる。この取り組みを一層強化するために、 両国は複数の利害関係者によるインターネット統治システム(multi-stakeholder system of Internet governance)の促進、インターネットエコノミーの発展、サイバースペースにおける国家安全保障問題への取り組み、サイバー犯罪対策、そしてサイ バーセキュリティー、特に重要インフラのサイバーセキュリティーの強化において、2国間および国際的な協力を強化してきた。「インターネットエコノミーに 関する日米政策協力対話」の第5回会合で、米国と日本は、特に途上国での情報の自由な流れとグローバルなインターネットエコノミーのさらなる発展を促進す るために、インターネットに関する政策課題の国際的な議論での協力を決めた。第2回日米サイバー対話では、サイバー政策に対する両国共通の認識と取り組み を再確認した。特に、重要インフラのサイバーセキュリティーについて、政府全体での2国間の関与を深化させること、そして国家の行動に関する国際規範およ びサイバースペースに対する実効的な地域の信頼構築措置を制定することを決定した。

米国と日本は宇宙の平和的探査・利用の分野において、 強固で互恵的な協力を維持している。2014年5月にワシントンDCで開かれる予定の「宇宙に関する包括的日米対話」の年次会合では、環境調査、科学的発 見、国家および国際的な安全保障、経済成長を目的とする宇宙利用での両国の協力を促進する。日本は、国際宇宙ステーションの成功に大きな役割を果たしてい る。2014年1月にワシントンで開催された初の国際宇宙探査フォーラム(ISEF)には、日本から、複数の政府機関の代表で構成される実務的な代表団が 出席した。米国は、次回ISEFを主催する日本を支援したいと考えている。また、まだ継続中のプロジェクトについて記載した50近い文書には、米国航空宇 宙局(NASA)と日本の協力が明確に示されており、NASAが開発し2014年2月に日本のH-2Aロケットで打ち上げられた全球降水観測衛星はその一 例である。日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、NASAが有人宇宙飛行、地球科学、宇宙科学、宇宙技術、航空学研究といったすべてのミッション分 野において協力している、数少ない国際宇宙機関のひとつである。

この1年間に、日本と米国は、災害時の対応に向けたロボット工学分野での2国間協力の促進に向け、かつてないほど多くの文書に署名してきた。 2013年12月には、災害用ロボットの技術開発を競う国防高等研究計画局(DARPA)主催の競技会「ロボティクス・チャレンジ」で、日本のチームが1 位となった。2015年の大会にも日本からさらにいくつかのチームが出場する予定である。日米の協力により、難しい地形での移動能力と、天災・人災から生 じた危険な環境に人間と共に対応する能力が向上したロボットシステムが生まれるであろう。

米国と日本はまた、先進医療の研究開発の分野でも協力している。日本の国立がん研究センターと米国の国立がん研究所は最近、がんの予防と管理の強 化を目指して質の高い研究を推進および実施する覚書に署名した。また、2010年から毎年行われている日米間のワクチン政策対話(VPE)は、米国と日本 のワクチン政策の短期および長期的目標に対する理解を深める役割を果たしている。

クリーンエネルギーの将来の確保

米国と日本は協力し、現在および将来の世代のためにクリーンで信頼できる効率的なエネルギー資源を開発する技能と知識を共有している。最近では 2013年12月に開催された「日米クリーンエネルギー政策対話」は、政策および研究開発活動の協調を促進するものである。この対話を通じ、日米の研究者 は、燃料電池、太陽光発電および地熱発電技術に関する交流を追求しており、マイクログリッド・システムの共同プロジェクトでの協力を目指す日米両国政府の 計画に貢献している。この対話と併せて行われた「日米再生可能エネルギー等官民ラウンドテーブル」は、日米両国の企業がクリーンエネルギー分野の政策の進 展について話し合い、新たな事業機会を特定し、再生可能エネルギープロジェクトに対する独創的な官民融資メカニズムなどの問題について情報を共有する場を 提供している。

「民生用原子力協力に関する日米2国間委員会」は、民生用原子力エネルギーに関する2国間協力を統合・拡大し、原子力の安全と規制、福島第一原子 力発電所事故の除染作業、原子力エネルギーの研究開発、不拡散、セーフガードと保安、緊急事態への対応などの課題に取り組んでいる。この2国間委員会は、 最近では2013年11月に会合を開き、2014年3月の核安全保障サミットにおける日米協力の成功の土台となった。次回会合は2014年6月に開催され る。この2国間委員会の傘下で行われた最近の活動には、2月18〜19日に東京で開催された日米廃炉・除染福島復興フォーラムなどがある。このフォーラム には日米の企業の代表が集まり、福島の復興を支援するパートナーシップの可能性について話し合った。同じ週には、2国間委員会の民生用原子力エネルギーの 研究開発に関するワーキンググループの下、米国エネルギー省と日本の経済産業省が、確率論的リスク評価の手法と原子力の安全へのその手法の適用に関する日 米ラウンドテーブルを開催した。日本が2013年10月、「原子力損害の補完的賠償に関する条約」を近い将来、批准する計画を発表し、国際的な原子力損害 賠償制度の確立で日本のリーダーシップを示したことを、米国は歓迎する。

日本と米国は、核セキュリティーで広範囲にわたり協力している。2国間では、日米のさまざまな機関が核セキュリティーに関する9つの目標の達成を 目指し、核セキュリティー作業部会の下で協力している。また両国は、核セキュリティー・サミット、「核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアチ ブ」、「大量破壊兵器および物質の拡散に対するグローバル・パートナーシップ」などの多国間の枠組みで緊密に協力している。米国は、日本が大量の高濃縮ウ ランおよびプルトニウムを米国で処理するために撤去する計画を2014年3月に発表したことを歓迎する。また日米は、輸送における核セキュリティーについ て他の3カ国と協力しており、この3月に行われた第3回核セキュリティー・サミットでこの活動を強調した。

最後に、日本と米国は、気候変動の問題について2国間対話などを通じて協力している。両国は2015年に採択される予定の効果的、意欲的かつ永続 的な気候変動協定に、すべての主要経済国およびその他の主要排出国を参加させることを目標に、国連気候変動枠組み条約などでの緊密な協力を継続する。