*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
報道官室
2021年12月13日
アントニー・J・ブリンケン国務長官は12月14日、インドネシア・ジャカルタで、インド太平洋の安全保障と繁栄への米国の決意に関する演説を行った。米国は誇りあるインド太平洋国家であり、演説はインド太平洋に向けた共通ビジョンの概略を示し、その実現に向け米国が同盟国およびパートナーといかに協力していくかを説明している。
インド太平洋は、21世紀の世界の道筋を作る地域となる。この地域は、世界で最も急速に成長している。世界経済の60%を占め、過去5年の全経済成長の3分の2を生み出している。世界人口の半数以上がこの地域に住み、世界最大の経済国を多く有する。
この地域における米国のビジョンは5つの要素を中核とし、インド太平洋の多くの国と国民が共有している。
第一に我々は、問題がオープンに対処され、ルールが透明に行き届くとともに公平に適用され、物品・アイデア・人々が、国・サイバー空間・公海を超えて自由に移動でき、かつ透明で国民に呼応したガバナンスを持った自由で開かれたインド太平洋を推進する。
- 我々はパートナーと共に、民主主義と人権の問題に取り組む方法を模索している。例えば、先日開催された民主主義サミットは、国内外で民主主義と人権を擁護する新たな決意・改革・取り組みを生み出した。
- ビルマで発生した軍事クーデターへの対応で、米国は軍事政権に対して、暴力をやめ、不当に拘束されたすべての人を釈放し、人道的アクセスを無制限で許可し、ビルマの包摂的な民主主義への道を取り戻すよう求め続ける国際的な連携を強めてきた。
- オープンで、相互運用可能な、信頼できる安全なインターネットは、説明責任の手段としてのインターネットの可能性を制限し、インターネットをより閉鎖的に、そして不完全で安全性の低いものにしようとする政府の攻撃対象となっており、我々はそれを守ることで自由と開放性を推進していく。
- 同時に我々は、地域が万人に開かれ、アクセスしやすいようにするため、同盟国やパートナーと連携している。また、南シナ海水域を自由にする決意を固めるとともに、台湾海峡の平和と安定に永続的な関心を持っている。
第二に我々は、域内外でさらに強固な結びつきを育んでいく。米国は、オーストラリア、日本、韓国、フィリピン、タイとの条約同盟を深めていく。これら同盟国間の協力を拡大し、クアッドで実現したような、同盟国をパートナーと結束させる方法を模索する。
- 米政権によるインド太平洋地域への高官レベルの関与は、この地域が米国および世界にとって重要であることを示している。バイデン大統領が初めて米国に迎えた2人の外国首脳は日本と韓国からであり、先月はインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と会談した。バイデン大統領はまた、7月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳リトリート会合、3月と9月のクアッド首脳会合、10月の米ASEAN首脳会議と東アジアサミット、そして11月のAPEC首脳会議など、地域の主要な機関が開催したさまざまな首脳会合にも参加してきた。ハリス副大統領もシンガポールとベトナムを訪問し、主要パートナーとの関係を促進し、基幹サプライチェーンの強じん性の強化などの問題に取り組んだ。
- ASEANを中核に据えることは、域内構造の土台となる。強固で自立したASEANは、喫緊の課題と長期的な課題に取り組むうえで必要不可欠であることから、我々は今後もASEANとの戦略的パートナーシップを拡大していく。さらに、バイデン大統領は、近くASEAN加盟国の首脳を招き、ワシントンで首脳会合を開催する。
- 我々は、インド太平洋地域内の関係を、域外、特にヨーロッパの同盟とパートナーシップの比類なきシステムと結び付けており、それと同じように、メコン・米国パートナーシップなどを通じて、他の地域パートナーとの戦略的関係も強化している。
第三に我々は、広範囲にわたる繁栄を推進していく。米国のインド太平洋地域への直接投資額は既に1兆ドルを超えており、さらなる拡大を求める域内の要求に応えていく。
- バイデン大統領の指示により米国は、貿易促進、デジタル経済と技術、強じんなサプライチェーン、脱炭素化とクリーンエネルギー、インフラ、労働者基準などの優先課題を含む、共通の目的を遂行する包括的なインド太平洋経済枠組みを構築するよう取り組んでいる。
- 成長するデジタル経済のルールを形成し、国民に機会を開放し、データの機密性を強め、セキュリティーが確実に保持されるようにする。
- 米国は今週、オーストラリア・日本と共に、ミクロネシア連邦・キリバス・ナウルとのパートナーシップを発表し、これら太平洋諸国のインターネット接続を改善する新たな海底ケーブルを敷設する。
- また、パートナーと協力し、サプライチェーンをさらに安全で強じんなものにしていく。パンデミックにより、サプライチェーンの脆弱性、そしてマスクやマイクロチップの不足、港で山積みとなった貨物など、サプライチェーンの寸断による被害の大きさが浮き彫りとなった。
- 我々はその間、地域が求める高品質で高水準のインフラを提供していく。米国が6月にG7パートナー諸国と共に立ち上げたビルド・バック・ベッター・ワールド(世界のより良い回復)は今後、透明で持続可能な融資に数千億ドルの資金を投じていく。
- 米国はまた、域内全域で持続可能かつ包摂的な商業活動を支援している。米国とインドが10月に開催した2021年インド太平洋ビジネスフォーラムには、経済関与促進に向け2300人以上の経営者と政府高官が参加し、70億ドル近い新規民間プロジェクトが注目を集めた。
第四に米国は、さらに強じんなインド太平洋の構築を支援する。新型コロナウイルスによるパンデミックと気候危機は、この課題の喫緊性を浮き彫りにした。
- 米国は世界各地に3億回分の安全で有効なワクチンを供給し、そのうち1億回分以上はインド太平洋地域に提供した。この地域で命を救うために、個人用防護具から医療用酸素にいたるあらゆるものの支援にさらに28億ドル以上を提供した。これらは全て無償・無条件で実施した。
- コロナと闘う中で我々は、インド太平洋により優れた保健制度を再建し、次なるパンデミックの防止・検知・対応に備える。過去20年間、ASEANだけで公衆衛生に35億ドル以上を投資し、共同研究の加速、保健制度の強化、若い医療従事者の研修を進めるため、さらに数千万ドル以上を投資する計画を発表した。
- 我々は、地域全域のクリーンエネルギーおよび気候強じん性プロジェクトに対して、さらに数億ドル以上を投資し、米国およびインド太平洋全体に環境に優しい雇用を提供してきた。
- また、域内各国と協力し、進行する気候危機の脅威への抵抗力を構築し、域内のクリーンエネルギー移行を加速させる。
最後に、我々はインド太平洋の安全保障を強化する。脅威は進化しており、我々もまた安全保障アプローチを進化させなければならない。そのため、最大の強みである同盟関係とパートナーシップを頼りにしていく。
- 米国は、国力のあらゆる手段を同盟国やパートナーのものとより密接に一体化させていく「統合的抑止」戦略を導入する。
- オーストラリア、英国との拡大3カ国パートナーシップ(AUKUS)は最たる例である。AUKUSは、我々の戦略的利益を高め、ルールに基づいた国際秩序を順守し、インド太平洋で平和と安全を促進していく。
- バイデン大統領は習首席に、米中は両国間の競争が対立へと向かわないようにする重大な責任を共有していると伝えた。外交は今後もその責任を全うする最初の手段であり続け、域内の対立の可能性を最小限に抑え、制御し、最終的に抑止していくようにする。
米国は、地球の未来のほとんどはインド太平洋でつづられていくと認識している。我々のこの地域への揺るぎない覚悟、そして同盟国およびパートナーとの連携は、自由で開かれ、かつ相互に結びつき、繁栄した強じんで安全な地域を万人のために実現するのに役立つ。