「ロシアにウクライナを占領する意図はない」
– 2022年2月25日、日本外国特派員協会にて、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使
近く離任するロシアのミハイル・ガルージン駐日大使が2月に日本外国特派員協会(FCCJ)で会見し、ロシアにウクライナを占領する意図はないと約束してから、以下のことが起こっている。ロシア軍は子どもを含む6000人以上のウクライナ市民を殺害した。ロシア政府は数百カ所の病院、学校、教会を爆撃した。ロシア軍は、ウクライナ市民に対して、拷問、身体の切断、性的暴行を行い、住まいを略奪した。ウクライナの4州を違法に併合しようとするプーチンの試みを、世界の大多数の国が拒絶した。何十万人ものロシアの優秀な人材が国外へと脱出している。ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアも署名している国連憲章への違反行為だ。
ガルージン大使が民主国家日本の権威ある機関であるFCCJで再び会見を行うにあたり、我ら署名者一同は、離任する大使がロシアのウクライナ戦争について責任を果たすのを目にしたいと期待している。我々は、大使が少なくとも以下に挙げた5項目の、広範囲にわたる一連の問題に対応するのを見たいと望んでいる。そして、その答えは誠実で事実に合致するものでなければならない。ロシア政府が自国民を扱うのと違い、FCCJでは欺瞞や偽情報は受け入れられない。我々のような自由で開かれた社会は、ロシア政府の自国民への扱い以上のことを期待している。
- ロシア政府は、この戦争の目的はウクライナおよび(図らずもユダヤ人である)ウクライナ大統領の非ナチ化にあると主張してきた。これらは全く根拠のない主張であり、ナチズムの犠牲者を侮辱するものである。
- ロシアの大統領は、ロシア軍は民間人を標的にしていないと主張しているが、国連人権高等弁務官は、402人の子どもを含む6430人のウクライナ市民の死亡を報告している。ウクライナに関する国連独立調査委員会は、ロシアの残虐行為が「甚大」であり、その残虐行為には、拷問、はびこる性的暴行、子どもへの暴力が含まれると文書で報告している。ブチャ、マリウポリなど複数の都市では民間人が虐殺され、ウクライナ全土で集団墓地が発見されている。我々は、このような戦争犯罪の責任者は国際法廷の場で責任を負うべきだと改めて表明する。
- ロシアは北大西洋条約機構(NATO)が一定の範囲内にとどまることを望んでいたが、今やフィンランドとスウェーデンが加盟申請した。ロシアはヨーロッパの一部になることを望んでいたが、欧州連合(EU)はロシアとのビジネスや投資を打ち切っている。ロシア経済省は、今年の国内経済が5%縮小したと報告した。ロシアが信頼できるエネルギー供給者として見られることは、今後二度とないだろう。ロシアは超大国としての地位を示すことを望んでいたが、今では軍用装備品をイランと北朝鮮に頼っている。ロシアは、自軍が掌握すらしていなかったウクライナの4州を違法に併合しようとしたが、国連総会は143対5で反対する決議を採択した。賛成票を投じた5カ国は、ロシア、シリア、ニカラグア、北朝鮮、ベラルーシであった。
- 2022年1月、ロシアは核兵器を保有する5カ国首脳との共同声明に署名し、「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」ことに同意した。だがそれ以降も、プーチンはウクライナ戦争で戦術的核兵器の使用を臆することなく議論し、原子力発電所を人質にして、住民を恐怖に陥れている。文明国は核のホロコーストを、そのように軽々しく考えてはいない。ロシアは、ウクライナを占領する意図はないと言ったが、実際は占領した。ロシアは、核兵器は決して使用されるべきではないと述べたが、今ではそれについて公然と議論している。言葉は重要だ。ロシアの言葉の整合性が試されている。
- 30万人以上のロシアの優秀な若者が、できるだけ早く自国を脱出し、カザフスタン、キプロス、セルビアなど数十カ国に逃げていることが十分に裏付けられている。このような若者は未来を見通すことができ、ロシアを全体主義国家にするプーチンの構想は絶望的で無益であることを認識している。このような人材流出は、自らが目指した技術・経済・軍事超大国とはかけ離れており、ロシアを単なる頼りにならない石油とガスの経済国にしている。
国際社会は、ロシアのウクライナに対する理不尽で違法な戦争非難で一致団結している。プーチンの代弁者たち―それが駐日ロシア大使であろうと、また世界のどこかで別の役割を果たしていようと―これ以上嘘を流布することは決して許されない。
Rahm Emanuel
Ambassador of the United States of America
Jean-Eric Paquet
Ambassador of the European Union
Gjergj Teneqexhiu
Ambassador of the Republic of Albania
Peter Roberts
Chargé d’Affaires a.i. of Australia
Elisabeth Bertagnoli
Ambassador of the Republic of Austria
Roxane de Bilderling
Ambassador of the Kingdom of Belgium
Marieta Arabadjieva de Descalzi
Ambassador of the Republic of Bulgaria
Ian G. McKay
Ambassador of Canada
Dražen Hrastić
Ambassador of the Republic of Croatia
Charis Moritsis
Ambassador of the Republic of Cyprus
Martin Tomčo
Ambassador of the Czech Republic
Peter Taksøe-Jensen
Ambassador of the Kingdom of Denmark
Väino Reinart
Ambassador of the Republic of Estonia
Tanja Jääskeläinen
Ambassador of Finland
Philippe Setton
Ambassador of France
John Fritz
Ambassador of the Federated States of Micronesia
Clemens von Goetze
Ambassador of the Federal Republic of Germany
Dimitrios Caramitsos-Tziras
Ambassador of Greece
Stefán Haukur Jóhannesson
Ambassador of Iceland
Damien Cole
Ambassador of Ireland
Gianluigi Benedetti
Ambassador of Italy
Sabri Kiçmari
Ambassador of the Republic of Kosovo
Zigmārs Zilgalvis
Ambassador of the Republic of Latvia
Aurelijus Zykas
Ambassador of the Republic of Lithuania
Pierre Ferring
Ambassador of the Grand-Duchy of Luxembourg
André Spiteri
Ambassador of the Republic of Malta
Peter van der Vliet
Ambassador of the Kingdom of the Netherlands
Hamish Cooper
Ambassador of New Zealand
Goran Cekov
Ambassador of the Republic of North Macedonia
Inga M.W. Nyhamar
Ambassador of Norway
Peter Adelbai
Ambassador of the Republic of Palau
Paweł Milewski
Ambassador of the Republic of Poland
Vítor Sereno
Ambassador of Portugal
Alexander Carter Bing
Ambassador of the Republic of the Marshall Islands
Ovidiu Dranga
Ambassador of Romania
Manlio Cadelo
Ambassador of the Republic of San Marino
Marián Tomášik
Ambassador of the Slovak Republic
Tina Vodnik
Chargé d’Affaires a.i. of the Republic of Slovenia
Fidel Sendagorta
Ambassador of Spain
Pereric Högberg
Ambassador of Sweden
Julia Longbottom
Ambassador of the United Kingdom
Sergiy Korsunsky
Ambassador of Ukraine