G7広島外相会合 - ケリー国務長官記者会見

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ケリー国務長官:皆さん、こんにちは。広島に来られたことを大変光栄に思います。岸田外務大臣および日本政府が、ここ広島で2016年G7外相会合を開催されたことに感謝の意を表します。また卓越したキャロライン・ケネディ大使とそのチームの働きと日米関係強化への取り組みに感謝したいと思います。

各国外相と私は、2日間にわたり大変多忙な日程をこなし、集中的な協議を行いました。5つのセッションがあったかと思いますが、さらにワーキング会食も2回ありました。先ほど岸田大臣からもお話があったと思いますが、幅広い課題が取り上げられました。これらの問題について触れる前に、個人的な話になりますが、初の国務長官としてこの美しい広島市を訪問することでいかに深く心を打たれ、また光栄に感じているかをお伝えしたいと思います。すでにご存じのとおり、本日私は岸田大臣と他の各国外相の皆さんとともに、特筆すべき広島平和記念資料館(原爆資料館)を視察しました。本当に圧倒的な展示であり、魂を揺さぶる展示です。人間としてのすべての感情が揺さぶられます。戦争における選択が著しく複雑であること、そして戦争が人々、地域社会、国家、世界にもたらすものをあらためて実感します。

一個人として決して忘れることのできない展示でした。1945年8月6日に何が起きたのかを示す写真、遺品、再現展示を忘れることのできる人はいないでしょう。しかし我々は、過去にとらわれるためにここに集ったのではありません。ここに来た理由、そしてこの資料館の視察から得たものとは、過去の教訓を将来および現在に生かすことがいかに重要であるかということです。この資料館の視察を通じて、公職にあるすべての人、あるいは責任ある立場にある誰もが背負う義務の深さをあらためて痛感しました。その義務とは、平和のために尽力すること、オバマ大統領と各国指導者がワシントンに集い2日間にわたり核セキュリティ・サミットで協議した取り組みを継続すること、そして核兵器のない世界を追求し実現することです。

この資料館を視察することで、戦争は決して最初の手段であってはならないという疑う余地のない真実をあらためて認識しました。もし戦争が手段でなければならないとするならば、それはすべての外交的努力と他のあらゆる選択肢が完全に失敗した場合の、最終的なものでなければなりません。また、G7に参加する我々として、なぜこのような会合や各国間の関係、緊密な協力が極めて重要であるのかについても認識を新たにしました。なぜなら、第2次世界大戦後に築かれた平和で安定した国際システムは、当然に与えられるものではないからです。それは勝手に生まれるわけではありません。努力、投資、指導力を必要とするものです。こうした秩序は、それを設計し、またその当事者となった指導者や国々によって維持されなければなりません。我々すべてが、世界規模の戦争を二度と繰り返さないために求められる知恵と努力について理解しています。

資料館の視察後、我々は平和記念公園を訪れ、旗を振る子供たちの間を歩く機会を得ました。平和公園の静穏な地に立ち、現在もなお立ち続けている原爆ドームに歩みを進めると、広島の遺産とは再生と復元力であることを思わずにはいられません。これは人類の精神をたたえるものです。

戦後の歩みの中で、広島の人々、そして日本国民は、強力で重要な地球規模のパートナーとなる国を築き、疾病の根絶や紛争の終結、戦争の回避に貢献してきました。広島が今日のような見事な都市へと再生したのと同様に、米国と日本の関係も目覚ましい変容を遂げました。

現在、両国は単なる友好国を超えた確固とした同盟国です。数十年にわたり、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎となる協力関係を築いてきました。両国はともに、両国民の共通の価値観と幅広い利益を促進するため緊密に協力してきました。米国は、日本がG7議長国として指導力を積極的に発揮したことに深く感謝していることを伝えたいと思います。我々はこの2日間、多くの地球規模の課題について、今後進むべき道筋を話し合いました。この中には当然、核不拡散の問題も含まれますが、北朝鮮の核開発について、かなりの時間を費やしました。最近の北朝鮮による挑発行為について、参加者全員が懸念を表明しました。そして一致して北朝鮮に対し、この地域の緊張をさらに高めるような言動を控え、国際的な約束と義務を果たすために必要かつ具体的な措置を取ることを求めます。

我々は、イスラム国による世界的な脅威についても協議しました。私は金曜日にバグダッドを訪れ、アバディ首相をはじめとするイラクの指導者と有意義な会合を持ちましたが、その件について、昨日ですが他のG7外相に報告しました。G7各国はすべて、有志連合のパートナーとともにイスラム国を打倒し壊滅させるというコミットメントにおいて完全に一致しています。このコミットメントは強固かつ毅然(きぜん)としたものです。各国がこの悪に立ち向かうためにできることすべてを行うことを約束しました。また、我々の取り組みが進展を見せているという点でも意見が一致しました。もっと早急に進めたいと思いますが、外相会合の冒頭で述べたように、また本日も繰り返すとおり、いずれイスラム国を打倒すると確信しています。

我々はまた、シリアの内戦を終結させる真の意味での政治的移行を促すことが、イスラム国打倒に重要であることも理解しています。昨夜、私はロシアのラブロフ外相と電話で会談し、敵対行為の停止を継続させ、武装勢力の拠点を確認し、イスラム国およびヌスラ戦線への対処に集中し、また人道的支援を提供するため今後も可能な限りの努力がなされることを、これからどのように確保していくかについて話し合いました。(スイスの)ジュネーブと(ヨルダンの首都)アンマンには、こうした任務を日常的に遂行するためのチームが配置されており、その作業を確実にするためにさらなる努力をすることで合意しました。

ここ広島においてG7各国は、暴力を停止させ、シリア国民が望みかつ享受すべき政治的移行につながる交渉の前進を図ることを目標として、敵対行為の停止を続けるためにどのような貢献ができるかについて協議しました。しかしこれまでに出された2回のウィーン・コミュニケ、国連安全保障理事会決議2254、そしてミュンヘン・コミュニケにおいて述べてきたとおり、これはシリア国民自身が主導するシリアのプロセスでなければなりません。そして最終的にはシリア国民自身によって、自国に平和をもたらすための妥協と交渉ができる能力を示す形で決定されるものです。

シリアの内戦を終結させることは必須です。暴力行為と著しい人的被害があまりに長く続いているという理由からだけではなく、紛争を終わらせることが、イスラム国がイエメンやリビアなどの国・地域を問わず勢力を拡大しようとする能力を低下させ、またイスラム国からロシア、中央アジア、ヨーロッパ、米国に帰還し殺人を行おうとするテロリストの数を減少させるには不可欠なためです。内戦の終結はまた、世界中、特に中東およびヨーロッパでの難民の流れを止めるためにも重要です。

難民問題にはグローバルな対応が求められることに我々全員が合意しました。まさにそうした理由から、オバマ大統領は、激しい紛争や迫害から逃れてきた難民が安全と保護を得られるよう人道支援を拡大し、より長期的・永続的な機会を提供することを目的として、9月の国連総会においてハイレベル会合を開催することにしています。

我々はウクライナにおける紛争についても、ミンスク合意の完全な履行に向けた努力をするとの決意を踏まえた上で、時間をかけて協議しました。我々は、ロシアとウクライナの双方が、またロシアならびに分離派が、ミンスク・プロセスの完全履行に向けて努力することの必要性を強調しました。

また、国際的な海洋の問題についても協議しました。私は、米国が航行・上空飛行の自由、および妨害を受けることなく合法的な通商ができることを確保することにより、公海における平和、安全保障、安全を維持することにコミットしていること、そして紛争は一方的行為や軍事的手段ではなく、国際法と外交に基づいて管理されることが重要であることを繰り返し述べました。

さらに、リビアにおける政治プロセスと新しい国民統一政府(GNA)への支援の必要性を協議しました。現状に至る状況を形成することを目的とした会合をローマで開催したイタリア外相と私は、他のG7外相とともに、新たな会合を早急に開催する必要があることで合意し、可能な限り早い日程を調整する意向です。

我々はアフガニスタンについても協議しました。このことからも外相会合での議論がいかに多岐にわたったものであるかを感じていただけると思います。議論が数分で終わったテーマは一つとしてありませんでした。いずれのテーマにも時間をかけ、詳細で実質を伴った議論を行いました。広島に来る直前に訪問したアフガニスタンに関して、G7外相は、ガニ大統領、アブドラ行政長官および統一政府による、国家の安定化と国民が渇望する平和と安全の構築に向けた取り組みを支援するため、(7月の)NATOワルシャワ・サミットおよび(10月の)ブリュッセルにおいて開催される閣僚級会合の際に、国際社会が協力することがいかに重要であるかについて協議しました。

G7外相会合ではサイバーセキュリティや気候変動など、その他多くの重要な課題も取り上げましたが、皆さんからの質問に答える時間も必要だと思いますので、簡単に以下のことを強調しておきます。

どのテーマの議論においても、我々全員がG7による関与が死活的に重要であり、有用であることに留意しました。また我々が一致して声を上げることで、いかに強いメッセージが発信できるかについても確認しました。G7首脳は、来月伊勢・志摩に集まりますが、ここ広島で我々が築いた進展を土台として、さらなる成果を積み上げてくれるものと信じています。その進展とは、お手元の各コミュニケ・声明で確認できると思います。G7首脳は、各国を現在そして将来の世代にとってより安全で安定した未来へと導いていくことに、これからもコミットしていきます。

ありがとうございました。質問に答えたいと思います。

カービー国務省報道官:本日最初の質問者は、朝日新聞社の奥寺淳記者です。

質問者:ケリー長官、ありがとうございます。広島訪問を歓迎します。朝日新聞社の奥寺です。ワシントン駐在特派員です。初めに、長官は本日、第2次大戦後初の現職米国務長官として平和記念公園を訪問されましたが、原爆投下後、すでに70年以上が経過しています。長 官は、芳名録に「世界中すべての人がこの資料館の持つ力を見て感じるべきである」と記帳されました。これは長官がワシントンに戻られ、オバマ大統領に広島訪問を進言されるということを意味しているのでしょうか。大統領に対して広島での経験をどのように報告される予定ですか。

もう一つ質問です。被爆者の写真を目にし、また犠牲者それぞれの話を聞かれ、何を感じたかもう少しお話し下さい。私自身被爆2世の一人としてお伺いしたいのですが、核保有国として、そして唯一の原爆使用国として、広島や世界の人々、特に被爆者の方々にどのようなメッセージを伝えたいのでしょうか。

ケリー長官:質問ありがとうございます。今回の訪問についてさらに話すことができて、うれしく思います。まず、私の記帳を引用されました。世界中すべての人が広島を訪問すべきであると。この「すべての人」とは、すべての人を意味します。ですからいつの日か、米国大統領もこの場所を訪問できる一人となることを願っています。オバマ大統領が現職の指導者として訪問できるかどうか、私には分かりません。それはかなり早い段階から計画されなければならない大変込み入った複雑な大統領の日程に左右される問題です。大統領が広島に招待されていることは承知しています。大統領がいつの日か広島を訪れたいと考えていることも公に発言されていることであり承知しています。しかし、次回の訪問でそれが実現するか否かについては分かりません。

資料館視察の経験をどのように説明するか、またどのように感じたかですが、最も衝撃的で心を動かされたのは、(被爆前後の)広島市の様子を(CG映像で)再現した、途方もないバーチャルな円形展示です。まず広島市を概観した後、河川にボートが行き交うなど市民の生活が分かるクローズアップ映像に切り替わります。そこから映像がズームアウトして空撮に切り替わった後、投下されていく原子爆弾が突然映し出され、爆発が起こり、信じ難いほどの灼熱の炎、そしてもくもくと空に立ち昇る雲、その後の廃墟が続きます。この優れた展示物からは、極めて力強い重要なメッセージが伝わります。それは広島に投下された特定の爆弾のことだけではなく、甚大な被害を与える能力を持つ大量破壊兵器や通常兵器に脅かされる世界で起きうることについてのメッセージです。私は一個人としてこのことに大きく心を動かされました。

私にとって大きな意味を持ったのは、指導者であれば誰もが負うべき義務という文脈で先ほどお話ししたとおり、私自身も含め戦争を経験した誰もが、戦争の狂気を知っており、人命が奪われ、罪のない市民が巻き込まれるという意味において戦争というものがいかに複雑であるかということを理解しています。したがって、我々すべてが戦争を回避するために行動しなければなりません。オバマ大統領は核セキュリティ・サミットでの取り組みの中で、また核兵器のない世界を実現するための取り組みの一環として、このことにコミットしています。しかし、これが一夜にして実現できるとは誰も考えていません。複雑な問題です。紛争を解決する方法を見出さなければなりません。行動を変えなければなりません。一晩のうちに抑止力を排除することもできません。非常に多くのことを行わなければなりません。ですから最初の措置の一つとして、兵器用核分裂性物質の禁止を追求したいのです。これ以外にも多くの措置があります。目標にたどり着くための能力を築いていくには時間がかかります。

しかし平和記念資料館と広島市での会合は、我々がその目標にたどり着かなければならないことをあらためて認識させます。我々にはそこにたどり着く義務があります。そして我々にはある程度の進展も見られます。北朝鮮の金正恩の言動が、世界が希求する方向から著しく逸脱している理由はここにあります。これから質問されるかもしれない点に先に答えてしまうことにもなりますが、国を指導する立場に立とうする候補者による、核兵器をさらに製造し韓国や日本などの国に供与すべきだと示唆するような発言は明らかにばかげており、共和党であれ民主党であれ、第2次世界大戦後のすべての米国大統領が達成しようとしてきたあらゆるものに逆行するものです。

今回の視察で私が感じたのは主に以上のようなことですが、ほかにもまだまだあります。それこそが、私がこの資料館や他の戦争記念館をすべての人が訪れるべきだと記帳した理由です。なぜならばそうした施設への訪問は、外交の重要性、関与することの重要性、より良い方法でこうした問題を打開しようとすることの重要性を痛感させてくれるからです。私はこの場所を訪問したことで、そうした望ましい方法を見出すための努力をする決意を新たにし、全力を注いでいきます。

カービー報道官:次の質問者は、日本経済新聞社の吉野直也記者です。

質問者:長官、ありがとうございます。私からは2つ質問があります。

ケリー長官:どちらの?(笑)

質問者:吉野直也です。

ケリー長官:ええ、お名前は知っています、いくつ質問があると?

質問者:2問ですが…。

ケリー長官:20問ですか?(笑)

質問者:2問です。最初の質問は、初の米国閣僚として広島の平和記念資料館を訪問された印象を教えてください。二つ目は、オバマ大統領が広島を訪問される見通しについてです。

ケリー長官:すでに両方の質問に答えたと思いますが。

質問者:ええ、はい。つまり…。

ケリー長官:では、2つの質問は終わったということでいいですね。

質問者:はい。

ケリー長官:もうひとついいですよ(笑)。

質問者:(大統領広島訪問の可能性の)パーセンテージはどのくらいでしょうか。50%以上なのか、以下なのでしょうか。

ケリー長官:(笑)数字で答えられればいいのですが、答えられません。答えたくないのではなく、分からないのです。ただ、火曜日の夜にワシントンに戻り、今週中に大統領に会うことになりますから、私が広島で見たことや、いつの日か広島訪問ができるよう努力することがいかに重要であるかを大統領に必ず伝えると約束します。確かな約束です。よろしいですか。ありがとう。3つの質問にこれほど速く答えられたことはありません。いいことです(笑)。ありがとう。

カービー報道官:次の質問は…失礼しました。次の質問者は、CNNのエリス・ラボット記者です。

質問者:ケリー長官、ありがとうございます。本日の視察を終えた後でも、北朝鮮による核兵器の使用を阻止するために国際社会が十分に対応できていると確信されていますか。それとも、死と破壊が現実の世界にもたらす結末を目の当たりにし理解も深められた上で、より厳しい新たなアプローチが必要とお考えですか。また、北朝鮮が繰り返す核実験や不穏な行動を踏まえると、核兵器のない世界が実現する見通しは、より遠のいているとお考えでしょうか。よろしくお願いします。

ケリー長官:後半部分の質問は何ですか。もう一度お願いします。エリスさん、何について私がどう思うのかと質問されましたか。

質問者:つまり、北朝鮮による言動、すなわち核実験だけにとどまらず、核兵器を使用すると脅していることに鑑みると、核兵器のない世界を実現するという見通しは、核のない世界を目指す米国の取り組みにもかかわらず、より遠のいているとは考えられませんか。よろしくお願いします。

ケリー長官:失礼ながら、最初の質問である戦争が現実の世界にもたらす影響についてですが、あなたの言葉を引用するなら「理解を深める」という目的のためなら、私はここに来る必要はありませんでした。私は戦争が現実の世界にもたらす影響については理解しています。私は第2次世界大戦中の1943年に生まれた子どもとして、戦争がもたらす影響を目の当たりにしながら成長しました。ベルリンに住む少年として、焼け落ちる帝国議会議事堂や、ヒトラーの地下壕の爆破、戦争が我々の親の世代にもたらした結末を目の当たりにしてきました。私自身兵役で(ベトナム)戦争に行き、この目で戦争を見てきました。

私がここで得たものは、広島で現実に起こったこと、特に核兵器がどのような破壊をもたらすのかを直接感じとることができたことです。私は米海軍在籍時、核・化学・生物兵器戦学校に通い、善かれあしかれ、核兵器の投射重量や放射線障害などさまざまなことを学び、核兵器による破壊については知っていました。したがって私にとって今日という日は、この地と、日本の人々の感情と、あの日の凄惨な出来事に、極めて個人的かつ特別な形でつながりを感じた瞬間であったということです。もちろん戦争における悲惨な出来事の直接的な結果を目の当たりにしたときには、誰もがそれを回避しなければならない理由をあらためて実感すると思います。

さて、北朝鮮の核開発を阻止するための十分な対応ができていると確信するのか、それともより厳しいアプローチをとる必要があるのかという質問についてですが、我々はすでにより厳しい措置を取っています。我々はほんの数週間前にいくつかの友好国や同盟国とともに、より厳しい国連安全保障理事会決議に中国の支持を取り付けるべく全力を注ぎ、結果として現在北朝鮮に対し、より厳しい制裁を科しています。これに加え、防衛的な性格を持つ戦域高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)の配備の可能性について、そして我々が北朝鮮に対して取っているその他の措置についても協議を行っています。

このように北朝鮮がより脅威の大きな行動をとり、これまでの措置に従わないことを受け、我々は着実に厳しい姿勢をとる方向で進んでいます。我々はすでに(制裁)実施に向けた初期段階にあるわけですが、中国も実施する時期が来たと判断したのではないのでしょうか。そして、このことが北朝鮮に対してより大きな影響をもたらすと考えます。

我々はこのほかにもできることについて話し合っています。しかし私は、北朝鮮以外の6者協議参加国は断固として圧力をかけ続けるべきであるという決意で一致していると理解しています。ただしそのやり方は危険性を高めるような形ではなく、できれば交渉のテーブルにつかせるという形で行うものです。

このように我々は軌道に乗りつつあると思いますが、北朝鮮の行動によっては今後おそらく数カ月のうちに、国連決議には採用されなかったいくつかの措置が実施されることもあると思います。ですから、北朝鮮の行動次第で圧力をさらに強化する可能性はあります。我々には交渉に戻る用意もあります。朝鮮半島における平和条約交渉を開始する用意があることも明確にしてきました。不可侵協定について交渉する用意もあります。経済協力を行い、北朝鮮を国際社会に受け入れる用意があります。我々は支援を提供し、関係国とともに北朝鮮の開発と長期的な将来に向けて協力する用意があります。また、朝鮮半島統一を希望するのであれば、それについては韓国とともに協議する用意もあります。しかしすべては、中国、米国、日本、韓国、ロシアが合意している非核化という政策について北朝鮮が交渉に応じると決断するかどうかにかかっています。我々は、本当の意味での協議を行う機会を待っています。

核の脅威全体について、つまり現在の北朝鮮情勢を踏まえると核なき世界という目標が遠のいているのではないかという質問ですが、そうではありません。全くそうは思いません。ロシアとの戦略兵器削減条約(START)の批准は終えていますが、核兵器のさらなる削減について交渉する用意があります。私は上院議員時代、この条約の批准に主導的な役割を果たしました。現在の核弾頭数はおよそ1500発前後のレベルで、この水準はレーガンおよびゴルバチョフ大統領時代に、相手国に照準を向けた5万発の核弾頭をそれぞれが保有していた時代には全く考えられなかったものです。このように5万発から1500発まで削減したのです。我々はさらに削減する用意があります。また核兵器のない世界という構想も打ち出しています。我々は交渉の結果、検証可能かつ透明性のある形でイランに核兵器の開発をあきらめさせる合意を勝ち取りました。国際原子力機関(IAEA)が日々、毎週、この合意の全期間にわたり検証に関わります。そしてそのほかにも多くの国々が、おそらく13カ国ぐらいだと思いますが、核分裂性物質の保有を断念しました。濃縮核物質が身の回りに存在するという状況下にある人々の数を減らすことができました。より多くの国が核の脅威を削減するプロセスに参加し、医療用放射性物質などをより幅広く、改善された方法で管理していくことに前向きになっています。

現在、非常に多くのことが進行しています。核不拡散政策の中では北朝鮮は大きな懸案事項です。すでに述べたように北朝鮮については制裁を厳しく強化しており、この取り組みにあたってのまさに最優先事項です。

このように北朝鮮の問題はあっても、我々は正しい方向に向かっています。中国は北朝鮮との間に重要な関係を維持しています。トラック、飛行機、自動車用の燃料すべてを供給し、食料を供給し、また金融面で北朝鮮を国際社会とつなぐ仲介者ともなっています。ですから、中国は北朝鮮にメッセージを送り影響力を行使できる大きな力を持っています。中国が北朝鮮とその経済に影響を与える措置を我々とともに実行することになったことを嬉しく思います。段階的に進展を図り、前に進みながらさらなる進展を積み上げる。こうしたアプローチを取っていきます。

カービー報道官:最後の質問者は、共同通信社の太田昌克記者です。

質問者:ケリー長官、ありがとうございます。貴重な時間をいただき感謝します。この特別な場所を訪問していただいたことにも感謝します。

私からの質問は、長官の広島訪問に関するもので、先ほどの2人の日本人記者の質問と重なるところがあるかもしれませんがお伺いします。これまでも、また今後も続く核の脅威の下で生きる人類の歴史から見て、今回の長官の広島訪問の根源的な意義とは何でしょうか。

また、今回の経験を踏まえ、核軍縮の機運をどのように高めていくのでしょうか。核軍縮はオバマ大統領が2013年6月にベルリンで核兵器削減について具体的提案をして以降、停滞しているように(音声不明瞭)思われます。米国政府の優先事項は何でしょうか。今回の広島訪問を踏まえて何が核軍縮における優先事項になっていくのでしょうか。よろしくお願いします。

ケリー長官:ありがとう。大変素晴らしい質問です。喜んでお答えしたいと思います。

意義に関してですが、少し内容についてご説明したいと思います。すでにお話した心情面や明らかに個人的な側面とは別に、私が現時点で広島に来ることに特に重要性を見出した理由は、岸田外相と私がともに協力しあう友人であり、ここが岸田外相の故郷であり、G7会合が開催されたからということだけではありません。それと同時に、日米がともに核兵器の脅威を削減する取り組みに関与しているからであり、さらには和解の力、つまりかつて敵として戦った人々が和解し、共通の立場を見出し、強固な民主主義を築き、同盟を組み、世界の人々に良い影響を与える有意義なことができるようになったという両国民の力を伝えるための大切な努力をしているからなのです。

それこそが我々がここで示していることなのです。我々はこの友好関係と同盟関係の強さ、そして資料館の写真が示すような原爆投下後の惨状から見事に復興し、数々の重要な地球的課題を先導するまでになったということが示す重要なメッセージを伝えているのです。

日本は国際的なリーダーです。日本は米国とともにエボラ出血熱の問題に対応しました。日本の緊急財政支援のおかげで、住民に防護用具や必要とされる隔離施設の提供が可能となりました。日本はアフガニスタンにおいても、人道支援、復興、開発の面で我々を支援しています。日本はシリアでも難民問題の対応に当たっています。

我々は戦争の灰じんと惨禍を経て、世界の人々に対して模範となりうる比類なき強固な関係をつくり上げました。金正恩のような人物がこのことを目の当たりにして、誠意があれば人はともに歩み、良いことを成し遂げることができるということに気付いてもらいたいと思います。これは重要なメッセージだと考えます。

さらに、オバマ大統領がワシントンでの第4回かつ最後となる核セキュリティ・サミットで示したとおり、大統領が核安全保障の重要性に強くコミットしていることも、私が広島を訪問した理由です。我々は核物質の保護・管理を徹底し、それらがテロリスト組織の手に渡り、完全な核爆弾ではないまでも、放射性物質を搭載し多くの人々の殺害が可能な「汚い爆弾」を製造することを阻止しなければなりません。それこそがここを訪れたもうひとつの理由です。なぜなら我々には、人々の安全と安心を脅かす暴力的過激主義の問題に協力して対応するという差し迫った課題があるからです。

最後に太田記者が言及された「停滞しているのでは」という質問ですが、ある特定の会合が暗礁に乗り上げているからといって、世界が停滞していることにはなりません。その会合が暗礁に乗り上げたのは、全会一致をして前進を図るという意思決定が必要だということに一部の当事者が同意できなかったからであり、結局そのような意思決定について全会一致できませんでした。これこそが、物事の進め方について我々が特に懸念していた理由です。一部の国は明日にでもすぐに、すべての核兵器を禁止したいと考えており、その感情も理由も理解できます。しかしながら、やるべきすべてのことを行うことなく核兵器を禁止しても、世界がより安全になるわけではありません。核兵器は禁止されなければなりませんし、我々はそのことに賛同はしますが、それは抑止力を低下させることで世界がより危険になるようなやり方ではなく、より安全になると認めうる形で進められなければなりません。

我々が取る措置、優先事項は何かという質問に答えるなら、ひとつには(包括的)核実験禁止条約の批准です。我々は批准したいと考えています。オバマ大統領も批准を希望しています。しかしこれはまだ上院を通過していません。現在の技術では実際に核分裂を起こし爆発させなくても核抑止力の強度を判断することが可能になってきたことを、もっと多くの人が学ぶべきです。我々には核実験を行う意思はなく、1992年以降は行っていません。現在の技術により、核物質の物理的特性については、備蓄された核兵器と核抑止力の健全性や安全性を確認しながら実験することが可能になっており、このことは非常に重要です。

しかし同時に、我々は核分裂性物質もなくしたいと考えています。核分裂性物質の禁止が可能となれば、有益なことです。そして最後に、オバマ大統領がワシントンでの核セキュリティ・サミットで示した核の安全構想についても、そのすべてが最優先事項です。

こうした明白な優先事項が一つ一つ達成されることで、我々が直面する紛争、兵器そして危険について人々の考え方が変わり始める第一歩となります。

このように多くの優先事項があります。世界は正しい方向へ進んでいると考えています。200を超える国家がありますが、振る舞いの悪い国はほんの少数でしかありません。それ以外の国々はまとまって彼らに対峙しています。現在、非国家主体の問題にも直面していますが、その問題への対応は複雑で、時間がかかる取り組みであることが分かってきています。しかし、我々はこの課題に向けても立ち上がっており、最終的には勝利すると確信しています。

カービー報道官:皆さん、ありがとうございました。これで記者会見を終わります。

ケリー長官:どうもありがとうございました。