2017年大西洋評議会・韓国国際交流財団フォーラムでのティラーソン国務長官の講演

Secretary of State Rex Tillerson speaks at the 2017 Atlantic Council-Korea Foundation Forum in Washington, Tuesday, Dec. 12, 2017. (AP Photo/Susan Walsh)

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

2017年12月12日

スティーブン(・ハドリー副理事長)、温かい歓迎の言葉をありがとうございます。私たちは知り合って長いのですが、かつては私が世界各地で見たことについて考え方を共有し、私が道を間違えていないか助言を求めました。その助言は常に適切で、ありがたいものでした。どうもありがとう。

趙(潤済)駐米韓国大使にも紹介と歓迎の言葉をいただき、感謝申し上げます。このたび、2017年大西洋評議会・韓国国際交流財団フォーラムでお話しする機会を頂戴しありがたく思います。この機会を利用して、過去11カ月間を振り返りたいと思います。この1年間をざっと説明します。多くの問題、いくつかの地域に触れます。そうするなかで、外交分野における大統領の優先事項を説明し、これらの政策に多くの共通点があることもお分かりいただきたいと思います。先ほどハドリー副理事長が述べたように、世界は相互に密接に結びついているため、どの地域も孤立したり、外交問題を区分して考えることはできません。なぜなら、全ての問題はある時点で相互に関連してくるからです。

ですから、驚かれる方もいるかもしれませんが、いえ、本来は驚くべきではないのですが、我々の全ての政策、戦略、戦術を支えているのは、全ての外交政策分野で活用できる米国の強みの1つが、多くの同盟国を持つという点であるとはっきりと認識している、ということです。共通の犠牲と価値観から多くの同盟国が生まれましたが、韓国はその最たる例でしょう。朝鮮半島で払った共通の犠牲、そして共通の価値観を通じて、今日の活力ある、豊かな韓国が生まれました。トランプ大統領が先日のアジア歴訪の際に、ソウルの国会での演説で強調したように、非武装地帯に行き、その数マイル先を見渡すと、韓国の価値観、韓国国民の生活の質、また、世界の人々の生活の質の向上に対する貢献が、北朝鮮が選択してきたものとは全く異なるということが分かるでしょう。

多くの同盟国を持つということは、米国の外交政策の強みであり、敵対関係にあるどの国もまねできません。敵国の中で、そのような強みを持つ国はないのです。ではこれから、時間がかかるので「歩く」ようにのんびりと説明はしませんが、世界の情勢について少し「ジョギング」するように概説してみましょう。北朝鮮情勢や米中関係について触れるのはもちろんですが、ISISを倒す取り組み、特にイラクとシリアにおける取り組み、中東で実行している広範に及ぶ対テロ政策に触れます。この政策の多くは、大統領が出席したリヤドでの歴史的な首脳会合でまとまったものです。またアフリカのサヘル地域やリビアなど、世界の他の地域ではどのようにテロ対策が行われているのかにも触れます。フィリピンやミンダナオなど、アジアにおけるテロ対策についてもお話しします。

南アジアや、アフガニスタン、パキスタン、インドに関する大統領の政策、欧州連合(EU)・北大西洋条約機構(NATO)との関係、ロシア、そしてロシアとの関係修復のための米国の取り組みにも触れます。そして西半球で対応している問題についても簡単に取り上げます。しかし、大西洋評議会が米韓の連携に関するイベントを主催した皮肉が、私にはよく理解できます。目的ははっきりしていると思います。私の考えでは、これは完全に道理にかなうのです。なぜなら、皆さんもお分かりのように、核武装する北朝鮮の可能性に対応するには、太平洋と大西洋にまたがる結束と深い連携が必要なのです。

トランプ大統領は、就任初日から国務省にこの政策をまず策定・実行するよう指示しました。また、この脅威を真剣に受け止め、何らかの対策を取り、現状を認めないという認識も明らかにしました。現在も、そして過去も、北朝鮮はわが国にとって最も差し迫った脅威であり、我々は戦略的忍耐の時代に終止符を打ち、戦略的責任の時代を始めるのです。この脅威はあまりにも大きく、もはや見逃すことはできません。

北朝鮮に関する米国の政策は極めてはっきりしています。それは、完全かつ検証可能な朝鮮半島の非核化です。この政策は、この地域の他の国々も共有しています。実際、これは中国の政策でもあるのです。そしてロシアもこれは自国の政策であると表明しています。しかし、政策は共有されていますが、この政策を実施する戦術は、この地域の関係国の間で異なるかもしれません。ご存知のように、米国は、北朝鮮政権にさらに厳しい罰則を課し、圧力を強化することにより、現在の核兵器および核兵器運搬手段の開発をやめさせ、別の道を歩ませる手法を取っています。

我々は、2つの非常に包括的な、国連安全保障理事会(安保理)決議を通じ、過去何カ月もにわたり、最も包括的な経済制裁を実施してきました。これには、特に中国とロシアの支援を受けており、両国がいかにこの脅威を深刻にとらえているかが分かります。

これらの制裁により、北朝鮮からの石炭輸出が全面的に禁止されています。繊維製品の輸出も止め、強制労働の輸出を制限し、また将来的には終わらせることになります。また、燃料の輸入も制限し、全ての輸入を縮小させました。それぞれの措置が北朝鮮への圧力を強めているのです。

こうした制裁が北朝鮮に影響を与えていることは明らかです。北朝鮮国民の燃料費が当初90%も上昇したことを見れば分かります。現在は50%増の水準に戻っています。燃料の不足が次第に明らかになっています。また、以前は輸出されていた製品が北朝鮮の店頭に並ぶようになっており、国内で消費しなくてはなりません。

こうした制裁と並行して外交的制裁も課しており、世界中の国々に国連安保理経済制裁の確実な実施だけでなく、各国に良識と意志がある場合には、自国大使を召還し、大使館を閉鎖し、挑発的な実験を行うたびに孤立を深めるだけだということを北朝鮮に分からせることにより、北朝鮮政権をさらに孤立させるよう求めています。

22カ国以上が北朝鮮外交官を追放しました。一部の国にとってはさほど重要と思われないかもしれませんが、経済的影響力があまりない小さな国にとっては、重要なメッセージとなります。ペルー、スペイン、イタリア、ポルトガルなどの国々は(北朝鮮との)国交も断絶しました。北朝鮮政権は、自国の大使が帰国してくれば、自国を代表することはできないのですから、自身が孤立を深めていることに気付くでしょう。

これらは全て、挑発行為を行うごとに孤立を深め、自国の安全を高めるのではなく、安全を低下させることになると、北朝鮮政権に再確認させるために非常に重要な措置です。その成功のために重要なのは、米国、韓国、日本の非常に強固な3カ国関係です。それが地域の安全保障体制の基礎であり、軍事的対応が必要になったときの準備を整えておくため、我々は引き続きこれを維持し、共に活用していきます。

こうした制裁の実施は、直接的な(北朝鮮関連)団体以外にも対象を広げており、北朝鮮による制裁違反を助長する個人や中国などにある銀行を含む他の団体にも制裁を課しています。ですから、北朝鮮が制裁を逃れようと抜け穴を探したり、別の手段を利用しようとすれば、こうした道もふさぎます。

時間は経過し、北朝鮮は実験するたびに開発の成果を見せ付けます。直近の大陸間弾道ミサイル発射実験は、彼らが確かに開発計画を進める能力を持っていることを示しました。統合核兵器システムのその他の要素においても同じことが言えるでしょう。ですから、北朝鮮を交渉のテーブルに就かせなくてはなりません。彼らが望めば我々はいつでも応じます。しかし、彼らは、別の選択をするという考えで交渉に臨まなければなりません。

一方で、我々の軍備は強固です。大統領は状況を踏まえて、軍事計画の立案担当者にあらゆる不測の事態に備えるよう命じ、既に準備ができています。何度も申し上げましたが、私は最初の爆弾が落ちるまで外交努力を続けます。我々は成功すると確信していますし、マティス長官の出番になっても成功すると確信しています。

中国に関しては、我々新政権が中国と関与した最初の問題が北朝鮮でした。私の(国務長官としての)初めての外遊は日本、韓国、中国訪問で、北朝鮮の核開発計画に関する政策、つまり戦略的忍耐の時代の終了について初めて明らかにしました。多くの点で、これは思いがけないことだったと思います。これで、我々の政権が中国との最初の関与で、中国と協力できることが見つかったからです。両国の政策と目的が同じであることが分かり、最初から建設的に関与する機会が生まれました。

ご存知の通り、米中関係は、ニクソン大統領の訪中による両国関係の歴史的な始まり以来、明確に定義されてきました。それが米国、中国、そして世界の目的にかなっていました。しかし時代は変わりました。中国は経済力を付けました。北京オリンピックの成功は、恐らく中国にとって新たな自信と将来への意識を伴った世界デビューとなったでしょう。

米国も中国も、次の50年間の米中関係の定義を探しています。「1つの中国」政策と3つの共同宣言によって定義された関係は、全ての人々の目的にかなってきたからです。中国は世界の経済大国となりました。中国には貧困から抜け出す必要のある国民が何億人もいるため、これからも自らを途上国であると言い続けたいとしていますが、従来の意味では、中国はもはや途上国ではありません。その経済は巨大で、世界の市場に影響を及ぼします。しかし中国が台頭するにつれ、中国と米国、また中国とその他の国との貿易関係で、是正すべき多くの不均衡が生じました。

そういった訳で、中国との関与において、フロリダ州のマール・ア・ラーゴを訪れた習近平国家主席との最初の首脳会談で、我々は、これまでより大幅に高いレベルで意見交換を始める道を見出すため、中国側と協力しました。ここにいる多くの方がご存知のように、過去数年間、中国との間で多くの対話メカニズムが存在しました。私が国務長官に就任した時点で、さまざまなレベルで26もの異なる対話が行われていました。我々の考えでは、こうした対話を、両国のそれぞれの政府内のさらに高いレベルに引き上げ、最終的な意思決定者に近づける必要がありました。

そこで我々は、トランプ大統領と習主席に非常に近い代表を、米中両サイドからそれぞれ選んだ4つの重要なハイレベルの対話メカニズムを創設しました。この4つの対話メカニズムは、米中双方とも閣僚級の高官が率いています。この外交・戦略対話は、マティス国防長官と私が議長となり、我々が協力できる分野、米中両国の立場が相違する分野を真剣に検討するためのものであり、この検討プロセスにおいて、いずれは我々の新しい関係を定義できるような結果をもたらすことを目的としています。他にも、経済・貿易対話、法執行・サイバーセキュリティー対話、そして人的交流に関する社会・文化対話があります。過去1年を通じ、4つの対話全ての会合が開かれました。これらの対話は結果を重視しており、結果はトランプ大統領が公式訪問で北京を訪れた際の米中首脳会談で報告されました。

中国との関係に関しては、我々は非常に活発なメカニズムを持ち、複雑な問題を協議することができます。中国の南シナ海における施設建設とその軍事化、それが地域における自由で開かれた貿易という点で我々の同盟国に与える影響など、中国との間には相違点もあります。我々がこれまで中国に伝えてきたように、この特定の行動を止める方法を見つけられればといいと思います。これを止めることができるかどうかは、まだ分かりません。しかし、これらの島々が今後も開発されることは、我々にとって受け入れられることではありません。ましてや軍事目的では受け入れられません。

東南アジアでは、最近、自由で開かれたインド太平洋地域という政策を発表しました。この政策は、中国の一帯一路構想に対する我々の見解を背景につくられたものです。中国の一帯一路構想は、我々の理解するところでは、中国が経済発展を継続するための政策であり、我々の政策は中国の経済発展を封じ込めることを目的としていません。しかし我々の見解では、中国の経済発展は、国際ルールと規範に則って行われるべきであり、一帯一路は独自のルールと規範を定めることを意図しているように思えます。一帯一路に関するマティス国防長官のコメントを引用したいと思います。中国について長官は次のように述べました。「米国と世界には多くの帯と路があり、いかなる国も一国だけでそれを定義することはできません。つまり自由で開かれたインド太平洋地域の意味は、この地域の全ての国々が、それぞれの経済発展を継続でき、自由に貿易できるということです」

自由で開かれたインド太平洋地域の一環として、我々はインドとの関与を深めてきました。インド太平洋地域においては、長きにわたり日本、オーストラリア、米国で3カ国関係を維持してきましたが、現在はインドを含めた4国関係に向け取り組んでいます。というのも、成長するインド経済の重要性と、同国と安全保障に対する懸念を共有していると考えるからです。

イラクとシリアでのISIS打倒作戦に急いで話を移しますが、トランプ大統領は就任にあたり、イラクとシリアでの打倒ISISの戦いに関し大幅に政策転換し、新たな攻撃的戦略を命じました。また戦場で勝利するために戦闘地域で地上軍の指揮官が決定を下せるよう、彼らの権限を強化しました。米軍は、国防総省の「他者による、他者と共に行う、他者を通じた」(by, with, and through others)戦略を十分に活用した後、大統領から権限を付与されて、実際大きな進展を見せ始めています。今日誰もが知っているように、イラクのアバディ首相は先ごろ、イラクでISISが打倒されたことを宣言しました。シリアではまだISISと戦っていますが、(戦況は)大きな進展を見せています。

軍事的な勝利の結果、国務省は、軍事的成功と歩調を合わせるために、ISISに勝利した後の外交計画の策定を急がなければなりませんでした。そしてその大半を、68カ国、ならびに北大西洋条約機構(NATO)、国際刑事警察機構(INTERPOL)、ヨーロッパ連合(EU)などの機関を含む74のメンバーが参加するISISを倒すための連合を通して成し遂げました。

今やイラクとシリアでは、750万の人々がISISの支配から解放されました。以前はISISのカリフに支配されていた土地の95%が解放されました。現在我々は、ISISが再び出現しないよう、またさまざまなグループ間で再び地域紛争が発生しないよう、解放後の地域の安定に取り組んでいます。

我々の仕事は、国防省と協力して、戦闘地域における衝突を回避し、地域を安定させることです。シリアでは、内戦の再発を防ぐため緊張緩和地帯を設けるためにヨルダンやロシアと協力し、成功しています。これらは全て、シリアにおける協議をジュネーブ・プロセスの下で行うようにし、国連安保理決議第2254号の完全履行を目指したものです。この決議は、シリアの新憲法制定と、国連監視下で国外に逃れた全てのシリア人が投票する選挙を求めています。このなかには、内戦か、その後のISISの出現によるものかにかかわらず、戦闘のために国外に追われたシリア難民による投票が含まれます。

ベトナムのダナンで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の際、トランプ大統領とプーチン大統領は非常に重要な共同声明を発表しました。この声明で両首脳は、完全で民主的かつ自由な統一シリアを確実に実現する方法として、このプロセスに取り組むことを確認しました。新たな反体制派の代表が参加して、ジュネーブで協議が再開しています。我々は、政権側の代表を参加させるようロシアに働きかけており、政権側も協議に参加しています。現在、我々は全ての関係者を交渉の席にとどめておく必要があります。そして協力できる部分でロシアとの連携を継続し、シリアとも協力して、暴力の沈静化、地域の安定、ジュネーブ・プロセスの成果となる決議を実現できるよう努力を続けていきます。

現在イラクでは、全ての地域の解放が完了し、2つの作戦で、カリフの首都であったイラクのモスルとシリアのラッカを奪還しました。私は、イラクにおいて近隣のアラブ諸国が早期に関与したことが、民主的な政府を維持する、統一国家としてのイラクの将来にとって重要であったと思います。サウジアラビアは、アラブ諸国がイラクとの関係を絶ってから30年以上が経過した後の歴史的な訪問とともに、ISIS打倒の戦いの初期にアラブ諸国を関与させ、イラクに関与した最初の国となり、経済協議と諮問委員会を設立しました。サウジアラビアは、2カ所でイラクとの国境を再開し、バグダッドとリヤド間で航空便の運航を再開し、イラク人はアラブ人であり、アラブ世界と再び関係を持ち融合するようにという重要なメッセージをイラク国民に送っています。

サウジアラビアとイラクの間に諮問会議が設立され、1月にはクウェートが主催して2回目の復興会議が開催されます。全ては、イラクの南に同国の復興と再建を支援する友人がいることをイラク政府と国民に理解してもらうためです。

重要なことに、米国の政策は常にイラク統一を目指していました。ご存知の通り、クルド自治政府が数カ月前に実施した独立のための国民投票は、統一を阻害するものでした。現在我々は、バクダッドとアルビールの間のプロセスを通じて、両者の統一を維持するために努力しています。我々は衝突回避を支援し、一度も完全に実施されたことのないイラク憲法に基づく両者の関係再開を支援しています。我々はイラク憲法の完全実施に向けクルド人を支援し、またそのように発言してきました。イラク憲法が完全に実施されれば、クルド人のこれまでの不満が解消されることになり、イラク統一に資すると期待しています。

より広い意味でのテロ対策に関して、トランプ大統領が出席した、サウジアラビアのリヤドでの歴史的な首脳会合の話に戻ります。そこで大統領は68カ国のイスラム諸国の指導者と会合し、暴力的過激主義の考えは、彼らだけが解決できる問題であると主張しました。米国はこの問題を解決できません。解決を支援することはできますが、この問題は世界中のイスラム諸国の指導者が取り組まなければならないものです。

この首脳会合で2つの重要な約束がなされました。1つはサウジアラビアに暴力的過激主義と戦う拠点とテロ資金ネットワークを撲滅する拠点を設立することです。いずれもこれまでに設立され、戦場でのテロ撲滅だけでなく、サイバー上でのテロ対策にも取り組んでいます。暴力的過激主義対策の拠点では、多くの人員がソーシャルメディアを監視して有害なメッセージを遮断し、また暴力主義的なメッセージに対抗するメッセージを発信しています。

もう1つ重要なことは、我々はサウジアラビアの関係者とこの話をしたのですが、これらのメッセージをモスク、イスラム教の高等教育施設、学校の教材に浸透させなければならないということです。サウジアラビアは今新たな教材を出版し、古い教材を回収しています。暴力的過激主義のメッセージに打ち勝つため、取り組まなければならないことがたくさんあります。

テロ資金ネットワーク対策の拠点は、財務省を支援する重要な機関です。また世界各地の他の情報源と連携し、テロ活動を支援する資金が世界中でどのように流れているか追跡することができます。もう一度言いますが、我々は戦場で勝利することができますが、サイバー上で勝利し、テロリストを再興するネットワーク上の能力を絶つことができなければ、リビア、ミンダナオ、そしてサヘルで見たように、テロリストが他の場所に出現するでしょう。

ISISを打倒する世界的な取り組み、テロを撲滅する世界的な取り組みは、トランプ大統領の最優先課題の1つであり、それは米国の対南アジア、アフガニスタン、パキスタンおよびインド政策に関係していきます。この政策はまさに地域的な取り組みです。トランプ大統領は決断を下し、米国がアフガニスタンに残り、タリバン打倒の戦いへの関与を続け、それにかける時間と労力は状況次第という政策を発表しました。大統領は無制限の関与ではなく、また永遠に続くものでもないと述べました。ですからアフガニスタン政府は、改革努力を続け、国内の全ての民族が共存できる環境づくりを継続しなければならないと理解する必要があると述べました。こうした環境には、タリバンがテロを放棄し、戦いをやめて交渉の席につく準備ができたときには、合法的な政府のなかにタリバンが参加できる場所をつくることも含まれます。

この状況次第の取り組みは、タリバンが決して戦場で勝利することはなく、(彼らにとって)前に進む道とは、和解のプロセスに関与し、究極的にはアフガニスタン政府に参加することだと、彼らに理解させるものです。

この地域的取り組みで重要となるのは、パキスタンとの関係です。米国とパキスタンは長年にわたり良好な関係にありましたが、この10年でパキスタンとの関係は実に悪化しました。だからこそ、我々は、米国がパキスタンに期待していることを明確にし、我々の真の懸念はパキスタンの安定であるということを分かってもらうため、パキスタンとの対話に従事しています。パキスタンは自国の領土内において、数多くのテロ組織に安全な避難先を提供しており、これらの組織の規模および影響力は拡大しています。私はパキスタン指導部に対して、パキスタンが標的となるかもしれない、テロリストの関心がカブールからイスラマバードに移り、イスラマバードを新たな標的にしたほうがよいと考えるかもしれないと、伝えたことがあります。

我々は、パキスタン国内でのテロ撲滅のためにも、パキスタンとの連携を求めています。しかし、まずパキスタンは、ハッカーニ・ネットワークやその他テロ集団との関係を見直す作業に着手しなければなりません。この関係は、恐らく10年前にはもっともであった理由から生まれたものと理解していますが、今となってはこの関係は改めなければなりません。油断すれば、パキスタンは自国統制力を失うことになるからです。我々は、パキスタンと前向きに連携したいのです。パキスタンと情報を共有する用意もありますし、パキスタンの繁栄を望んでいます。しかし、我々は、パキスタン国内にテロ組織の安全な避難場所があるという現状を継続させることはできません。

少し足早になりますが、米国の対NATO・ヨーロッパ関係、およびトランプ大統領が就任後まもなく行なった外遊についても、お話しいたします。重要なのは、どのように評され、書かれているかにかかわらず、NATOとの同盟関係はかつてないほど強固であるということです。私は、1週間のヨーロッパ訪問から戻ってきたばかりです。ブリュッセルでは、2日間の滞在中、NATO関係会合に出席し、EU加盟国と会談を持ちました。ウィーンでは、欧州安全保障協力機構(OSCE)の会合に参加しました。そして、パリには丸1日滞在しました。ヨーロッパの全てのパートナー国・同盟国と米国の間には、今でも強い絆があります。この1週間、私は行った先々、参加した全ての会合で、この絆を感じました。米国とヨーロッパは、安全保障、経済、貿易といった、双方にとって重要な問題で固く結束しています。

我々には取り組まなければならない課題がたくさんあります。トランプ大統領は、ヨーロッパの同盟諸国に対して、「米国は皆さんを助けるためにおり、今後もそうあり続ける」というメッセージを発信しています。特にNATOにおいては、我々は第5条の義務を順守していくつもりです。しかし、NATOのパートナー国および加盟国の皆さんに申し上げたいのは、皆さんの国民の安全に関して、皆さんが気にかける以上に、米国民に気にかけてほしいと求めることはできないということです。

だからこそ、トランプ大統領は負担の分担を強く求めてきました。米国民が今後も、この不公平な負担を担い続けることはできません。皆が進んで相応の負担をする必要があります。NATOの全加盟国は、国内総生産(GDP)の2%分を防衛費として支出するという合意をしています。大統領は、各国に対して、この合意を履行するよう強く求めています。

多くの国が負担を増やし、NATOの今年の収支額は8%ほど伸びました。一方、防衛費を増額する約束をし、計画を立てた国もあります。この動きは、ヨーロッパがISISにより発生した移民流入の最大の影響を受けることから、我々が重視するよう求めている地域である南からの脅威やテロ対策、ならびに、東、つまりロシアからの脅威に対抗する上で、NATOの防衛態勢を強化することになります。では、ロシアの話題に移ります。

トランプ大統領は、米ロの実務的な関係構築を非常に重要と位置づけており、この点をかなり明確にしています。しかし、現在の米ロはそのような関係にはありません。米ロの協力分野でシリアについて言及しましたが、我々は、ロシアのウクライナ侵略を容認することはできません。先週のヨーロッパ訪問で各国に伝えましたが、紛争では国家はどちらかの味方につきます。ロシアは、バッシャール・アル・アサドの味方につくことを選びました。米国は、そうしないことを選びました。しかし、第三国の侵略・占領という行為については、我々は何もせず見過ごすことはできません。このことが、侵略の結果、米国とヨーロッパがロシアに非常に厳しい制裁体制を課した根拠となっています。この制裁体制は、ロシアのウクライナ侵略が解決され、ウクライナが完全な領土を取り戻すまで、変わることはありません。

我々は、ミンスク合意の履行を目指し、ウクライナ東部での行き詰まりを打破する試みに関与しています。トランプ大統領就任時、この協議は凍結されていました。プーチン大統領との初会談で、私はプーチン大統領から、この協議、あるいはなんらかの動きを再開するため、彼自身、つまりロシア政府と直接やりとりできる人物を任命することが可能かと聞かれました。私は、この任務を担う人物として、カート・ボルカー元NATO大使を任命しました。我々が喫緊に取り組み、重視している課題は、主にウクライナ東部の問題です。というのも、ウクライナ東部では暴動が続いているからです。しかし、2017年の民間人の犠牲者は2016年より増加し、停戦違反も60%増加しています。我々は、ウクライナ東部の暴動を沈静化しなければなりません。我々の優先課題は、暴動を収拾し、ウクライナ東部で起きている殺害に終止符を打つことです。我々はロシアと共に、この暴動を終わらせる国連平和維持軍の委任に関して何らかの合意ができないか検討しています。そうすれば、履行が必要な他の要素にも目を向けることができます。

ウクライナ政府には、改革を継続し、ミンスク合意の義務を履行するため、やるべきことがたくさんあります。ロシアは、ウクライナ東部で支援している反政府軍への影響力を行使し、この暴動を終わらせ、我々がミンスク合意の下、前進できるよう舵を戻さなければなりません。将来的には、クリミア問題に戻るつもりです。プーチン大統領は、この問題は議論の対象でないことを明確にしています。これは将来のどこかの時点で議論されることになります。しかし、我々が今求めているのは、ウクライナ東部での暴動を終わらせることです。この問題が解決できるか、しばらく状況を見ていきます。

ロシアと連携できる他の分野として、我々は米ロが共に関心を持つテロ対策で協力の可能性を模索しています。我々が、ロシアのハイブリッド戦争に引き続き対応していかなければならないことは承知しています。これを感じたのは選挙のときで、今では、多くのヨーロッパ諸国が同様の影響を受けているという報告があります。なぜロシアは自由かつ公正な他国の選挙を妨害することが自国の利益になると考えるのか、私には理解できません。ロシアは何を成し遂げようとしているのか、皆目見当がつきません。今のところ、私のこの疑問に答えてくれる人は誰もいません。しかし、はっきり申し上げますが、我々はそのような行為を目にしており、それは終わらせ、止めさせる必要があります。そしてそれは、米ロ関係を再び正常化する妨げとなっていることです。

我々は、ロシア側と、軍事面および外交面において、非常に積極的かつ力強い対話を維持しており、今後もこのような対話を続けていきます。しかし、ロシア側に伝えたように、我々にはよいニュースが必要です。2国間関係に何か良いことが起きる必要があります。現時点で、挙げることができる事例はありません。待ち続けている状態です。

最後に、西半球において我々が懸念しているのは、言うまでもなく、中米、メキシコからの移民、国際犯罪組織、特に人身取引を助長する薬物取引の問題です。しかし、中南米との間には、多くの機会もあります。メキシコとの間では、国際犯罪組織について、影響力のある対話の場を設けています。今週、閣僚級の会合を開催する予定です。今年、マイアミで、中米の安全保障と繁栄に関する会議を共同で開催しました。我々は共に、米州機構(OAS)およびリマ・グループを通じて、ベネズエラの情勢に取り組んでいます。

キューバやその他の地域について触れることもできますが、本日は、あまり時間を割きません。これらの地域については、後ほど質問を受け、お答えいたします。アフリカに関して、我々がとりわけ注力している分野は2つあります。アフリカでの潜在的なテロ組織の出現に対処すること、同時に、我々がスーダンおよびアフリカの他の地域で直面している人道危機に取り組むことです。

今年は実に忙しい年となりました。個人的に面白いと感じたのは、国務省で何も起きていないと思いたい人たちがどうやらいることです。というのも、この人気のない建物を歩いていると、廊下に響く自分の足音しか聞こえないからです。今朝、国務省にて、全職員と素晴らしい対話集会を持ちました。今年1年を振り返り、国務省の「再設計」について話し合いました。多くのポストが空席のままです。既に指名された候補者もいます。この方たちに、ぜひ職に就いて欲しいと思います。そうすれば状況は好転すると思います。

しかし、皆さんにお伝えしたいのは、国務省のキャリア職員および職員一人ひとりの質の高さです。キャリア外交官、大使職を務めてきた人たちは皆、職務に献身的で、それぞれの役割を果たすため自らを高めています。彼らの役割は代理的なものかもしれません。彼らはその役割を自分のものにし、ここに挙げた問題に正面から立ち向かっています。彼らは、大統領の政策をいちずに支えてきましたが、それには方向転換も必要でした。前政権の下で政策を遂行してきた大多数の職員にとって、これは簡単なことではありません。我々は今、違う方向に進んでいます。しかし、ここで私が言いたいのは、国務省の職員は皆、大統領の目的、優先課題をすばやく理解し、支えていく能力と機敏さを持っており、その使命を懸命に実現していることです。国務省の誰もが大統領の目的や優先事項を理解し、このことについて、今朝大いに語り合いました。彼らの偉業を実に誇りに思います。私が本日言及し、皆さんと一緒に振り返った全ての問題について、今年1年、国務省内の部局が、大統領の政策を再定義し、それらを遂行してきました。私は、国務省の現チームに多大なる信頼を寄せています。このチームは、新たにメンバーが加わることで、一層強くなるでしょう。

しかし、ここで話を終わりにし、私の古い友人であるスティーブン・ハドリーと一緒に、彼が話したい事柄について話したいと思います。これこそ、皆さん方が話したかったことかもしれません。しかし、私が重要だと思うことは、私が足早に振りかえった問題を2つ、3つホワイトボード上に取り上げてみると、どれもが互いに関連している点です。面白いことに、特定の分野で実施していることについて話をすると、ほとんど人が区分化を挙げます。しかし、今の社会は、もはや区分化することができない世界です。多くのことが相互に関連し合い、交差しています。今お話ししたような問題を解決し、きっぱりとけりをつけるなら、このことを認識することが重要となります。

これには時間がかかります。一筋縄ではいきません。しかし、私たちが住む、この複雑に絡み合った、多くの紛争が起きている世界では、これが今日の外交の姿です。我々の人生の使命は、このような紛争のいくつかを沈静化し、終わらせることにあります。国務省職員や他の人にも言ったことがありますが、私が毎朝起床して自分に最初に問いかける質問は「今日、どのようにして人の命を救ったらよいだろうか」です。なぜなら、余りにも多くの紛争が起き、あまりにも多い人命が失われているからです。ありがとうございました。