ティラーソン国務長官と岸田外務大臣の共同記者会見

*下記のティラーソン長官の発言および英語での質問は、英語のトランスクリプトを翻訳したものであり、正文は英文です。岸田大臣の発言および日本語での質問は、日本語のトランスクリプトをそのまま掲載しました。

2017年3月16日、東京・外務省飯倉公館

岸田外務大臣:今回、ティラーソン国務長官を外務省賓客として、初めて日本にお迎えすることができました。あらためて歓迎を申し上げたいと思います。今回の訪日がアジア太平洋地域で最初の訪問となったことは、ティラーソン長官がこの地域、そして日米関係を重視していることの表れであると考えます。

先般の日米首脳会談においては、安倍総理とトランプ大統領によって、日米両国がよって立つ基本的な認識と、日米が共に取り組むべき課題について方向性が示されました。これを受けて、先ほどの外相会談においては、今後の具体的な協力のあり方について議論を行いました。

まず日米安全保障については、首脳間の共同声明で、米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は地域と国際社会の平和と安定の確保のため、より大きな役割と責任を果たすことを強調し、日米同盟強化の方途を具体化するため2+2を開催することといたしました。外相会談におきましては、第1回の2+2閣僚会合の議題を議論し、早期に開催すべく、タイミングについて調整を加速していくことで一致をいたしました。

沖縄については、私から目に見える形で沖縄の負担を軽減していくことが必要であることを強調し、この点で日米双方が協力していくことで一致をいたしました。また普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であることをあらためて確認をいたしました。

次に朝鮮半島や中国等の地域情勢について意見交換を行いました。北朝鮮問題については、北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できないとの認識を共有しつつ、日米韓で連携して北朝鮮に対して挑発行動の自制、そして安保理決議等の順守を強く求めていくことを確認し、中国の役割の重要性について議論をいたしました。また安全保障面を含め、日米および日米韓の協力を進めていくことの重要性を確認いたしました。

さらに、米国が対北朝鮮政策の見直しを進めているなか、日本としての考えを伝え、しっかりと政策のすり合わせを行うことができました。今後とも連携を深め、日米が一致した立場を形成していくことを確認いたしました。

また私から、拉致問題はわが国の主権および国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり、安倍政権の最重要課題である旨述べ、日米で引き続き連携していくことを確認いたしました。

さらに私から、中国との関係改善に向けた日本の基本的立場を説明し、同時に米国の尖閣諸島に対する力強いコミットメントを評価する旨述べました。首脳間の共同声明で、日米両国が東シナ海の平和と安定を確保するための協力を深めることを確認したことを踏まえて、ティラーソン長官との間で協力のあり方について議論を行いました。また南シナ海の情勢について懸念を共有し、引き続き連携していくことを確認いたしました。

会談におきましては、率直でかみ合った議論ができたと感じています。首脳同士で合意した日米関係強化の方向性を具体化するためには、私とティラーソン長官との緊密な連携が重要となります。夕刻のワーキングディナーでは引き続き、経済的側面等を含む地域情勢などについて議論を深めたいと考えています。私からは以上です。

ティラーソン国務長官: 岸田外務大臣、ありがとうございます。皆さん、こんにちは。国務長官として初のアジア諸国訪問で、まず日本を訪れることができうれしく思います。この訪問は日米関係の重要性を重視したものです。岸田大臣とは、既にドイツのボン、およびワシントンで二度お会いし、有意義な会談をさせていただきました。この後の安倍首相と会談を楽しみにしています。

これまでの協議で、日米友好関係は強固かつ永続的なものであり、トランプ政権下でも継続していくことを確認しました。経済面での日米の結びつきは非常に深く、我々は今後も両国にとって公平な関係の維持および強化で連携していきます。米国は、日米同盟における安全保障協力の強化、ルールに基づいた海洋統治の確認、および北朝鮮が危険かつ違法な核および弾道ミサイル計画を進める中での日米韓3カ国協力の深化といった、地域および世界の共通の目標で日本と連携していきます。

長期にわたる日米同盟は、アジア太平洋地域の平和、繁栄および自由を献身的に支えています。この地域を巡る安全保障環境が厳しくなりうる中、米国は自らの役割を強化していく所存です。また、日本が、日米同盟において、より大きな役割と責任を果たすことを歓迎します。我々は、1960年発効の日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認しました。我々は、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとする、いかなる一方的な行動に反対いたします。

トランプ大統領と安倍首相が2月10日の日米共同声明で表明したように、日米の優先課題は韓国との3カ国協力を拡大することです。3カ国協力により、日米韓は、地域および世界の主要な問題で連携し、北朝鮮の脅威により効果的に対処することができます。我々は、北朝鮮に対して、運用可能な核およびミサイル開発能力を阻止するため、強力かつ包括的な制裁を加えた、国連安全保障理事会決議第2270号と第2231号の履行に関して、今後も協調していく所存です。北朝鮮とその国民は、同国と平和に暮らすことだけを求める米国や地域の近隣諸国を恐れる必要はありません。このことを念頭に、米国は、北朝鮮が核および弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発行動をやめるよう求めます。米国はあらゆる種類の軍事力をもって日本および他の同盟国を防衛する所存であり、この決意に揺るぎはありません。

日本を訪問できましたこと、改めて光栄に思います。米国は、長期にわたる日本国民の皆さんとのパートナーシップを今後も継続してまいります。ありがとうございました。

司会:それでは質問をお受けいたします。指名された方は、スタンドマイクの前に進み出て所属と氏名を名乗って、誰に対する質問かを明らかにした上で質問をお願いいたします。また質問は簡潔にお願いいたします。まずは日本側の記者の方を代表して質問をいただきます。どうぞ。

問:NHKの滝川と申します。岸田大臣とティラーソン長官にお聞きいたします。現在トランプ政権が進めている北朝鮮政策の見直しについてですけれども、今回の会談で見直しの進捗状況、それから一部で軍事力の行使を選択肢にしていると伝えられていますけれども、その政策見直しの方向性について、今回の会談でアメリカ側からどういった考え方が示されたのか、また日本側の立場はどういったものなのか、加えて北朝鮮のテロ支援国家再指定について両政府のお考えをお聞かせください。

岸田大臣:私の方から先に答えさせていただきます。米国が対北朝鮮政策の見直しを相当程度進めているなか、本日、日本としての考え方を伝えさせていただき、しっかりと政策のすり合わせを行うことができたこと、これは非常によいタイミングだったと思いますし、意義あることであったと考えています。ただ事柄の性質上、具体的なやり取りについては申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。

そして、テロ支援国家の再指定についてご質問がありました。この問題については、優れて米国の国内の法令の解釈、適用の問題です。最終的には米国政府が判断する事柄であると考えますが、ティラーソン国務長官との間においては、ぜひ連絡を密にしていきたいと考えています。私からは以上です。

司会:ありがとうございました。ティラーソン長官、お願いいたします。

ティラーソン長官:この問題で重要なことは、過去20年間に実施した外交、その他の取り組みが北朝鮮の非核化に失敗したと認識することだと思います。この20年間の取り組みは失敗しました。この間には、米国が北朝鮮に別の道を歩ませようと同国への援助として13億5000万ドルを拠出した時期もありました。こうした働きかけは、(北朝鮮の)さらなる核能力の開発、そして先ごろ2月11日と3月5日に行われたものを含む、さらなるミサイル発射という結果に終わりました。こうした、とどまることなく増大する脅威を前に、これまでとは異なる手法が必要であるのは明らかです。今回のアジア歴訪の目的の1つは、新たな手法についての意見交換です。

岸田外務大臣と私は、新たな手法について胸襟を開いて非常に率直に協議しました。安倍首相とも協議する予定です。さらに韓国、最後に中国とも協議します。

司会:ありがとうございました。次に米側記者の方の質問をいたしたいと思います。質問のある方、どうぞ挙手願います。

どうぞ。

問:ティラーソン長官、ホワイトハウスは本日、国務省予算の大幅な削減を含む連邦政府予算案を公表しています。現時点で、外交と開発予算をこれほど大幅に削減しようとする試みを、長官は支持しますか。あまり余裕がなくなった状況で、今後も米国の国益を代表していく自信がありますか。

岸田外務大臣には北朝鮮について伺います。北朝鮮が日本に及ぼす脅威は、どれほど差し迫っているのでしょうか。北朝鮮は核兵器で日本を攻撃する能力を備えているとお考えですか。ありがとうございます。

司会:それではティラーソン長官、お願いいたします。

ティラーソン長官:トランプ大統領が発表した予算案については、国務省の観点から重要なのは、背景として、国務省は2017年度に史上最高レベルに達した高額な予算と決別しようとしていると認識することです。これ(このような高額予算)は、1つには、米国がこれまで世界各地で関与してきた紛争の程度や災害支援要請を受けて、ここ数年間に下されてきた数々の政策決定を反映するものです。

国務省がこれまで、そしてとりわけ過去1年間に費やしてきた支出のレベルを維持することは、どうしてもできません。この先、トランプ大統領が国務省に求めていることは、2つの期待を反映していると考えます。1つは、時間の経過とともに、米国が直接関与する軍事紛争が減少するだろうということ。2つ目は、米国の援助計画がより効果的になれば、他の国々、同盟諸国、その他からも開発援助や災害支援に貢献するための資金を引き出すことができるということです。

国務省の任務遂行能力を考えれば、私には大いに自信があります。国務省職員の目的は1つです。職員は栄光を求めているわけではありません。また明らかにお金が目的でもありません。彼らは国務省の任務遂行に全力を尽くしており、米国の国家安全保障と経済の安全保障の確保に打ち込んでいます。我々は、国務省の計画実施状況と組織の構造を包括的に精査します。そして職員から意見を集めることにより、国務省をより効果的かつ効率的で、少ない予算で多くのことを達成する組織にする方法を見つけることができると確信しています。

これは困難な道のりですが、我々はその課題を理解しています。我々は、国務省職員一人ひとりから支援が得られれば、将来的に米国民にとってより好ましい成果をもたらすことができるという大きな期待を持って、トランプ大統領から与えられた課題に積極的に立ち向かいます。

司会:ありがとうございました。岸田大臣、お願いいたします。

岸田大臣:私に対しましては北朝鮮の脅威に対する認識についてご質問がありました。まず北朝鮮の累次にわたる挑発行動、これは日米を含む地域あるいは国際社会に対する明らかな挑戦であり、これは断じて容認することはできません。そして昨年北朝鮮は、2回核実験を行いました。20発以上の弾道ミサイルを発射しました。また、さまざまな技術的な進歩が指摘されています。

これらの北朝鮮の挑発行動は、明らかに新しい段階の脅威になっているという認識をわが国としては持っています。ぜひこれからも、引き続き米国あるいは関係国としっかり連携をしながら、北朝鮮に対して挑発行動の自制、あるいは安保理決議等の順守をしっかり働きかけていかなければならないと思いますし、そしてわが国自身、国民の命や生活を守るべく、高度な警戒監視活動を維持して、あらゆる事態に対応できるよう万全の態勢を取っていかなければならない、このように考えます。以上です。

司会:ありがとうございました。それでは再度日本側記者の方の質問といたします。どうぞ。

問:産経新聞の杉本と申します。岸田大臣、ティラーソン長官、双方にお伺いいたします。聞きたいのは、一昨年末に日本と韓国の間で合意された慰安婦問題に関する合意であります。お二方おっしゃったように、日米韓での連携の重要性が高まっているなかで、慰安婦問題を原因として日本と韓国の間の関係は必ずしも良好ではないと言えると思います。まず岸田大臣にお伺いしたいのですが、日韓合意についてどのようにアメリカ側の理解を求めたのでしょうか。日韓関係を今後どのように発展させていく考えでしょうか。

ティラーソン長官にお伺いしたいのは、アメリカの前政権、オバマ政権は日韓合意を支持してきておりました。トランプ政権の日韓合意に対するスタンスというものはいかがなものでございましょうか。

さらにまたティラーソン長官はこの後、韓国に行かれて米韓外相会談を行うと思うのですけれども、日韓合意の履行に向けてアメリカが積極的な役割を果たすというお考えはございますでしょうか。よろしくお願いします。

岸田大臣:それでは私の方からお答えさせていただきます。まず先ほどの外相会談において、私からは地域の厳しい安全保障環境等を考えますときに、日米間の連携は不可欠であり、そして日韓、そして日米韓の協力の土台であります日韓合意、この実施は重要である旨強調させていただきました。これに対しまして、ティラーソン長官からも日韓合意を支持している旨の確認がありました。

そして国際社会からも高く評価されている日韓合意を、日韓それぞれが責任を持って実施をしていく、このことが重要であると考えています。合意の実施、これは日韓双方にとって国際社会に対する責務でもあると考えます。

韓国の現政権、さらには大統領選後の、大統領選挙がこれから行われるわけですが、その後の新政権に対しましても、引き続き粘り強く合意の実施を働きかけていきたい、このように考えます。以上です。

司会:ありがとうございました。ティラーソン長官、お願いいたします。

ティラーソン長官:このような歴史的な問題への対処は、両国にとって非常に困難であると思います。しかし米国は、この問題解決に向けた日韓両国の合意を支持します。我々は、両国が、問題の終息に向けて、この合意に真摯(しんし)に、そして誠実に取り組んでいただきたいと考えます。特に北朝鮮の脅威に対処するに当たっては、日米韓の間に隙間がないような強力な同盟を維持することが、米国、日本、韓国の3カ国関係にとって重要です。したがって、米国は日韓合意を支持し、合意に関して両国が早期に結論を出すことを希望します。

司会:ありがとうございました。最後に米側記者の方の質問といたします。

問:CBSニュースのアドリアナ・ディアズです。ティラーソン長官、北朝鮮の脅威を取り除くに当たり、中国に米国と同じ考えを持たせるにはどうすればよいとお考えですか。具体的には、北朝鮮に方針を変えさせるために、新たにどのような方策を取るおつもりですか。

岸田外務大臣、大きな影響力を持つ日本の政治家が、日本は先制攻撃能力を持つべきだと要求しています。この点について日本政府は検討していますか。

ティラーソン長官:北朝鮮を説得して核計画を放棄させるに当たっての中国の支援については、中国は非常に大きな役割を担っていると考えます。中国は、貿易および経済活動において北朝鮮の主要相手国です。中国は長年にわたり、北朝鮮の非核化を望むと述べてきました。中国は、国連安全保障理事会決議2230と2221に賛成票を投じたましたから、我々は、中国がその義務を果たし、この国連決議で求められている制裁を実施するかを注視しています。核兵器に対する将来的な必要性に関して、北朝鮮がその姿勢を改める一助とするために、中国が検討する可能性があるさらなる行動について、中国と協議します。

問:(聞き取り不能)については?

司会:ありがとうございました。それでは岸田大臣。

岸田大臣:質問の最後がちょっと聞き取れなかったのですが、中国に関して言うならば、対北朝鮮問題を解決するに当たって、中国の役割は大変重要であるとわが国も認識をしています。6カ国協議の議長国であり、安全保障理事会の常任理事国であり、また北朝鮮との貿易の9割を占める中国の存在、この問題解決において大変重要であるという認識は日本も持っています。ぜひ米国と共に、中国に建設的な役割を働きかけていかなければならない、このように考えています。

ちょっと後半の質問が聞き取れなかったので、とりあえず中国の問題だけお答えさせていただきます。

司会:どうもありがとうございました。以上をもちまして共同記者会見を終了させていただきます。岸田大臣とティラーソン長官が退場するまでは、記者の方はそのままお待ちください。ご協力いただき、ありがとうございました。