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Human Rights
信仰の自由に関する国際報告書(2022年版)-日本に関する部分
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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

米国国務省
国際信仰の自由室

2023年5月15日発表

エグゼクティブ・サマリー

日本国憲法は、信仰(信教)の自由を規定し、宗教団体がいかなる政治上の権力であろうともこれを行使すること、あるいは国からの特権を受けることを禁止している。文化庁によると、政府の税制優遇を受ける法人格を有する宗教団体は約18万ある。

7月8日の安倍晋三元首相の暗殺事件により、統一教会として知られる世界平和統一家庭連合に対して、また同教会の実践に対する政府による対応策への要求などに対してもメディアの大きな注目が集まった。安倍元首相の暗殺者は、母親が統一教会に自らの意志で入信したことで家族が破産したとされ、元首相が同教会と関係があったことから安倍氏を狙ったと述べた。岸田文雄首相は10月、政府相談窓口に1700件の苦情が寄せられたことを挙げ、宗教法人法に規定されている質問権に基づき、同教会への調査を開始すると発表した。11月および12月、政府は調査の一環として統一教会に質問状を送付した。同教会は一切の不正行為を否定した。国会は12月、寄付の「不当」な勧誘を禁止し、そのような寄付金の返還を寄付者が受けられる期間を延長する法律を2本可決した。入手可能な最新の統計によると、法務省は2021年には信教の自由の侵害が5件あったと報告し(2020年は4件)、法的拘束力のない支援をさまざまな形で提供した。日本ウイグル協会によると、中国とつながりのある複数の人物が、日本国内の同協会員に接触し、中国国内に住む家族への脅迫を示唆する、あるいは日本にあるウイグル人イスラム教徒の関連団体に対して影響力を行使しようと企むことで、日本国内に住む同協会員への威嚇を続けた。日本ウイグル協会は、政府は日本に住むウイグル人イスラム教徒の保護に対しておおむね意欲を見せ、2022年には1人も中国に退去させなかったと述べた。非政府組織(NGO)は、難民認定率が引き続き低い状態にある原因となった政府による国連の難民の地位に関する条約およびその議定書の解釈に関して、引き続き懸念を表明した。入手可能な情報によると、法務省は2021年に、宗教を理由に迫害の恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有した11人の申請者に対して難民認定を行った。2020年は2人であった。政府は、ビルマでの民族的・宗教的迫害への恐れを根拠に入国した380人~400人のイスラム教徒ロヒンギャ人の大多数と日本で生まれた者に対して、人道的な理由による特別在留許可を引き続き与えた。

統一教会は、安倍元首相の暗殺以降、信者が攻撃や暴力、殺害の脅迫を受けたと述べた。報道機関は、西日本の一部地域が近隣のイスラム教墓地設置に引き続き難色を示していた中で、大分県のある地域が墓地を受け入れたと報じた。

米国大使館および国務省職員は、政府機関や国会議員との面談を通じて、中国やその他の信仰の自由を制限する国から来たイスラム教徒を保護するため、米国と引き続き協力するよう政府に促した。日本宗教連盟をはじめ、宗教団体、少数派宗教団体の指導者、信仰の自由の擁護者との対話や会合にて、大使館職員は米国が信仰の自由の尊重を優先事項としている点を強調し、このような団体が直面する問題について議論し、いくつかの団体に対しては日本政府へ働きかける取り組みについて助言を行った。

第1節 宗教統計

米国政府は、日本の総人口を1億2420万人と推計している(2022年中ごろの推計)。文化庁の報告によると、各宗教団体の信者数は、2020年12月31日時点で合計1億8100万人であった。この数字は日本の総人口よりも大幅に多く、日本国民の多くが複数の宗教を信仰していることを反映している。例えば、仏教徒が神道など他の宗教の宗教的儀式や行事に参加するのは一般的なことであり、逆もまた同様である。文化庁によると、信者の定義および信者数の算出方法は宗教団体ごとに異なる。宗教的帰属で見ると、神道の信者数が8790万人(48.5%)、仏教が8390万人(46.3%)、キリスト教が190万人(1%)、その他の宗教団体の信者730万人(4%)である。「その他」の宗教および未登録の宗教団体には、イスラム教、バハーイー教、ヒンズー教、およびユダヤ教が含まれる。報道によると、統一教会の信者数は約60万人となっている(人口の約0.5%)。

外国人労働者と緊密に接触するNGOによると、ほとんどの移住者や外国人労働者は、仏教または神道以外の宗教を実践している。ムスリム・コミュニティーに関する専門家である早稲田大学の店田廣文名誉教授の推計によると、2020年時点で日本にいるイスラム教徒の数は約23万人で、この中には約4万7000人の日本人が含まれている。在日ビルマロヒンギャ協会のゾーミントゥ会長によると、日本のイスラム教徒ロヒンギャ人の人口は380人~400人で、ほとんどが東京都の北に位置する群馬県に住んでおり、一部は埼玉県、千葉県、東京都、名古屋市に居住する。ウイグル文化センターのイリハム・マハムティ理事長は、日本にいる約2000人のウイグル人イスラム教徒のほとんどが、引き続き東京あるいは東京近郊の千葉、埼玉、神奈川県に居住していると述べた。また、2000人近くのウイグル人イスラム教徒の約760人が日本に帰化したと推計している。米国ユダヤ人協会の代表によると、ユダヤ教徒の総数は2000人~4000人である。

第2節 政府による信仰の自由の尊重の現状

法的枠組み

日本国憲法は、信教の自由を規定し、国に宗教教育やその他いかなる宗教的活動もしてはならないと義務付け、いかなる宗教的行事にも人を強制して参加させてはいけないとしている。宗教団体が政治上の権力を行使することも、国からの特権を受けることも許していない。政府の解釈によると、憲法は、個人とその個人が属する宗教団体が法的に別個の存在であり、かつ個人が公職にある期間に宗教の代表者として活動しなければ、宗教団体が支援する政治団体に属する個人が国政に関わる公職に就くことを認めている。宗教団体はまた、政治家への働きかけや運動、また公の場で政治的意見を表明することが認められている。憲法は、国民は憲法が保障する国民の権利を濫用してはならず、これらの国民の権利を公共の福祉のために利用する責任を負うと定めている。

政府は宗教団体の登録または認証申請を義務付けてはいないが、法律は政府から法人格の認証を受けた宗教団体から、非営利団体同様に、団体の運営維持費の一部に利用される寄付金および喜捨金にかかる所得税納付を免除している。政府は、法人格を申請する宗教団体に対し、当該団体が物理的な礼拝施設を備えており、教義を広め、宗教的儀式行事を行い、信者を教化育成することが主たる目的であると証明することを義務付けている。申請者は、宗教団体としての3年間の活動記録、信者と宗教教師の一覧表、宗教団体の規則、財産管理についての意思決定方法に関する情報、過去3年間の収支計算書、そして財産目録を、書面により提出しなければならない。法により、法人格を申請する宗教団体の所轄庁はそれぞれが所在する都道府県の知事であり、宗教団体は都道府県庁に対して登録を行わなければならない、と規定されている。例外として、複数の都道府県に事務所を持つ団体は文部科学省に対して登録を行う。申請者が法人格の認証を受ける宗教団体としての法的定義を満たしていると文部科学大臣あるいは都道府県知事が確認した後、申請者はその目的、主要人員、財務状況に関する管理規則を作成することが法で義務付けられている。申請者が宗教法人になるのは、文部科学大臣または知事が法人格の申請を認可し、申請者がその後登録手続きを行った場合のみである。

法により、認証された宗教法人には、資産、収入、支出を政府に開示することが義務付けられている。法はまた、営利活動に関する規定に違反している疑いがある場合に調査を行う権限を政府に与えている。宗教法人がこうした規定に違反した場合、当局は当該法人の営利活動を最長1年間停止する権限を持つ。

宗教法人法に規定されている「質問権」に基づき、政府は、違法行為あるいは公共の福祉を明らかに害すると見られる行為を行ったと疑われる宗教法人を調査することができる。裁判所は、宗教法人がこのような行為を行ったと発見した場合、宗教法人に対して解散命令を出すことができる。法は解散後に宗教団体が法人格のない団体として宗教活動を継続することを妨げていない。

法により、刑事収容施設において被収容者が1人あるいは集団で行う礼拝および宗教的儀式は、禁止されてはならないと規定されている。法務省は、法律と憲法に定められた信仰の自由の権利を支えるため、受刑者が刑務所内でさまざまな宗教のボランティア教誨師と面会できるようにしている。

法により、国および地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育やその他宗教的活動をしてはならないと規定されている。私立学校は特定の宗教を教えることが許されている。また、宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養および宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならないと定められている。公立および私立学校は、文部科学省の基準に沿って教育課程を編成しなければならない。こうした基準は、中学生および高校生に対して一般的な宗教教育を行う場合、学校は慎重に配慮すべきと定める法に基づいている。

労働組合法は、何人も宗教によって労働組合員の資格を奪われないと定めている。

日本は、市民的および政治的権利に関する国際規約の締約国である。

政府による実践

7月8日、安倍晋三元首相は、報道によると統一教会への憎しみが動機と主張する男性によって暗殺された。この暗殺により、日本国内では同教会への注目が高まった。同教会の元信者から入手した内部資料を引用したTBSの8月の報道番組によると、同教会は1999年から2011年までに信者から年間約600億円(4億5500万ドル)の金を集めていた。報道機関は、統一教会は信者に対して高額の寄付金と物品購入を要求していたと報じた。母親が自らの意志で統一教会に入信したことで家族が破産したと伝えられている安倍元首相の暗殺者は、元首相が同教会の創始者が設立したNGO「天宙平和連合(UPF)」が主催した催しで挨拶・講演するなど教会と関係があったことから、元首相を狙ったと述べた。報道機関の調査によると、国会議員712人中100人超が統一教会と何らかの関係があった。このような関係には、同教会の催しでの挨拶・講演や、同教会信者による自民党議員の選挙運動応援などが含まれていた。岸田文雄首相は10月24日、同教会主催の複数の催しへの出席を当初公表しなかった山際大志郎経済再生担当相を更迭した。

岸田首相は10月、統一教会が寄付金を強要していた、もしくは高額の寄付金を集めていたという報告を受け、宗教法人法に規定されている質問権を史上初めて行使し、統一教会の運営と管理の実態について調査を開始した。同教会は、同法律に基づく法人格を持った宗教団体として登録されている。質問に対する公式声明で同教会は、安倍元首相の家族に哀悼の意を表し、同教会は「当局からのあらゆる問い合わせに対して全面的に協力し、報道機関に関連情報を必要に応じて提供する」と述べた。11月および12月、文部科学省は統一教会に対して、寄付金の集金に関する民事裁判の判決と、会計慣行および組織運営に関する質問状を送付した。同教会はこれらの質問状に回答した。岸田首相は、政府が設置した統一教会に関する相談窓口には、金銭および精神的被害を訴える1700件を超える苦情が寄せられたと述べた。同教会は一切の不正行為を否定した。9月および10月、パリに拠点を置くNGO「良心の自由のための団体と個人の連携(CAP-Freedom of Conscience)」は、国連人権委員会に対して一連の声明を提出し、統一教会は安倍元首相の暗殺以降、日本で「不寛容、差別、迫害運動」の被害者となったと述べた。同教会は、報道機関による否定的な注目の結果、信者たちが攻撃や暴力、殺害の脅迫を受けたと述べた。

国会は12月10日、団体(宗教団体またはその他の団体)が寄付を「不当」に募ること、そして、寄付金の資金を確保するために不動産やその他の資産を抵当に入れるよう寄付者に要求することを防止し、また、そのような団体によって金銭的被害を受けた個人やその家族に対して、寄付金の返還や契約の取り消しを認めることで被害者を救済することを意図したと政府が説明する新法および改正法を可決した。この法律は、団体が行動の自由を制限したり、家族や外部の者と相談することを妨害したりするなど、「不当な」手段を用いて寄付を募ることを禁じている。違反が繰り返された場合、1年以下の懲役もしくは100万円(7590ドル)以下の罰金、あるいはその両方を科すことを求めている。また、この法律により、個人とその家族が寄付金の返還を受ける、あるいは不当と見られる契約を取り消すことができる期間も5年から10年に延長された。統一教会は、これらの法律は信教の自由を侵害し、契約に関する法に違反していることから、同法律を即刻廃止すべきだと述べた。

一部の国会議員、宗教指導者、宗教学者、弁護士は、統一教会に関する論争は、信教の自由に関する問題ではないと述べ、高額寄付による家庭の破産などの精神的かつ金銭的苦痛などの、同教会が信者と社会に課してきたさまざまな危害の形態を挙げた。例えば、日本弁護士連合会は、9月と10月に同連合会が設置した無料相談窓口に寄せられた統一教会に対する苦情は計309件だったと述べた。苦情の80%は金銭的苦痛に関するもので、最高被害額は1億円(75万9000ドル)を超えた。同教会への寄付により多額の借金を背負い、担保に入れていた家や土地を失ったと報告した者もいた。一人は同教会から選挙運動のため働くことを強制され、労働搾取を受けたと報告した。

統一教会およびエホバの証人の一部信者の子どもたちは、11月に国会で行われた聞き取りにおいて、未成年の信者(子どもや10代の者)に行事への参加を強要したことにより、統一教会とエホバの証人は信教の自由を侵害したと述べた。これらの団体の元信者たちは、警察や福祉事務所などの行政は、宗教的な問題への関わりを避けようとし、長年にわたり統一教会やエホバの証人の信者の支援に難色を示してきたと述べた。統一教会の代理人は、同教会の信者は自発的に行動し寄付を行っており、元信者からの同教会に対する批判は現信者に精神的損害を与えていると述べた。エホバの証人の職員は、同教会信者は子どもたちに対して信仰を強制しておらず、不満を持った一部の元信者が不正確で歪曲された主張をしていると述べた。

統一教会を巡る論争を踏まえ、岸田首相は8月、日本国憲法にある政教分離の原則は、宗教団体による政治的活動を排除する趣旨ではないと述べた。連立政権を組む公明党の山口那津男代表は8月、「宗教団体の政治的活動は憲法上保障されている」と述べた。公明党は、宗教団体である創価学会によって結成された。1970年に公明党は、一般的に認識されていたとされる政教分離を巡る憲法上の懸念により、創価学会から正式に分離した。公明党は創価学会を、「政党の政策や活動に影響を与えない主要な支持母体」と公式に説明している。公明党は、不当な寄付を制限する法律に賛成票を投じた。

厚生労働省は12月、児童虐待防止法の同省による解釈に基づき、児童虐待にあたり得る宗教教義の概要を示した新たな指針を地方自治体向けに公表した。指針は、宗教教義を強制するための体罰は身体的虐待にあたり得るとしている。また、宗教を理由とした子どもに対する心理的虐待には、「地獄に落ちる」と言うなどの言葉による脅し、布教など宗教活動への参加の強制、教育や職業の自由選択の阻害、婚姻や交友の自由の制限、年齢に見合った娯楽に触れることの禁止などが含まれ得るとも定めている。指針によると、法令で定められている児童虐待には、子どもが医療を受けることを禁止することや、子どもの年齢に見合わない性的なコンテンツを見せることなどが含まれている。

ウイグル人イスラム教徒は、中国は中国国内の政府職員を派遣し、中国に住む家族の安全性の危険を示唆することで、日本に住むウイグル人イスラム教徒を威嚇する活動を維持していたと引き続き報告した。ウイグル文化センターのイリハム・マハムティ理事長は、中国による威嚇により、監視と安全性の危険への恐れから、日本に住むウイグル人イスラム教徒は新疆に住む家族との連絡を減らしたと述べた。同理事長は、日本政府は引き続き、日本に住むウイグル人イスラム教徒の保護に対しておおむね意欲を見せ、中国に国外退去させたウイグル人イスラム教徒は過去1年いなかったと述べた。また、中国の反対があっても、政府はウイグル人による抗議デモを許可したとも同理事長は述べた。

日本法輪大法学会会長によると、在京中国大使館は法輪功を誹謗する資料を同大使館のウェブサイトに引き続き掲載した。学長は、日本の当局は、日本法輪大法学会が東京(4月および7月)と横浜(5月および10月)で行った中国政府による法輪功への抑圧に反対するデモ行進を引き続き許可したと述べた。

9月および10月、いくつかの法曹団体と宗教団体は、9月27日の安倍晋三元首相の国葬で中央政府省庁が弔意を表明するとした岸田首相の決定に抗議した。同団体は、国旗の掲揚と黙とうは日本の宗教的教義に基づいた服喪のやり方だと述べた。また、首相による政府省庁へのこのような要請は弔意の強要であるとし、よって憲法で定められた信教の自由の侵害だとした。首相は、公式な弔意表明に関する政府の決定は、国葬において弔意の表明を一般市民に強制するものではないと述べた。

法務省人権擁護局は昨年、引き続き外国語人権相談ダイヤルを、英語、中国語、韓国語、タガログ語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、インドネシア語、タイ語の10外国語で運用した。法務省は5月、同省の人権機関は2021年(入手可能な最新の統計)に、5件を信仰の自由が侵犯された可能性が極めて高いものと確認したと報告した。2020年は4件であった。同省は、5件全てについて、当事者間の仲裁を行う、人権侵害者と思われる対象に素行を改めるよう要求する、あるいは人権侵害の申立人が法的助言を得られるよう所管当局へ紹介するなど、潜在的被害者に対する支援を行なった。しかし、同省によるこれらの措置には法的拘束力はなかった。

文化庁によると、最新の統計が入手可能な2020年末時点で、国および都道府県は18万544団体を、法人格を持つ宗教団体として認証した。2019年末時点では、18万828団体であった。その数の多さには、宗教団体の地方組織が個別に登録していることが反映されていた。政府は要件を満たした宗教団体に対しておおむね法人格を認定した。

NGOは、低い難民申請認定率につながった国連の難民の地位に関する条約とその議定書の政府の解釈について、引き続き懸念を表明した。政府は、最新の統計が入手可能な2021年に、過去最多の74人の難民認定を行った。2020年は47人であった。認定を受けた74人中、32人はビルマ出身者であった。法務大臣は4月、政府はビルマ人の申請審査を迅速に進め、2021年の軍事クーデター後におけるビルマ国内の政情不安を考慮したと述べた。政府は、74人のうち数人に関しては難民認定の理由を公表し、宗教を理由に迫害の恐れがあるという十分に理由のある恐怖により11人を難民として認定したと述べた。2021年の難民認定申請者数は2413人で、2020年の3936人から39%減少した。

政府は、ビルマでの民族的・宗教的迫害を根拠に入国、あるいは日本で生まれた約400人のイスラム教徒ロヒンギャ人のほとんどに、人道的な理由に基づいた難民特別在留許可、あるいは別の形の許可を引き続き与えた。これらイスラム教徒の大半は、日本に10年超、中には20年超居住している者もいた。こういった人々には就労が認められており、地方出入国在留管理官署でその地位を定期的に更新することが義務付けられていた。在日ビルマロヒンギャ協会のゾーミントゥ会長によると、政府はこの1年で、8人のイスラム教徒ロヒンギャ人を難民として認定し、難民認定を受けた数は計26人となった。同会長はまた、公式の再定住プログラムに参加していない難民認定申請中の10人のイスラム教徒ロヒンギャ人が、就労を禁じられ、医療を受けられないなどの困難に直面していると述べた。政府は、それぞれの在留資格に関係なく、日本で生まれた者を含む日本に住むイスラム教徒ロヒンギャ人を無国籍と見なした。法的地位を有するイスラム教徒ロヒンギャ人の子どもは、他の住民と同じ公教育、その他の社会サービスを受けている。

ウイグル文化センター理事長によると、政府は過去数年、たいていの場合は留学や就労を当初の目的として中国から来日した約1240人のウイグル人イスラム教徒に在留許可を与え、さらに約760人のウイグル人イスラム教徒には、帰化による市民権を付与した。

2022年夏、名古屋出入国在留管理局に収容された男性は、ハラル食の提供を申し入れた。市民社会情報筋は、入管施設がこの要請に対応しなかったため、男性は体重が約10キロ減少したと報告した。報道機関は8月、入管施設はハラル食の提供についてまだ検討しており、施設の食事はイスラム教徒の食材に準拠していると述べたと報じた。

市民社会グループは、申請者が難民として認められるまでに平均3年かかり、複数の申立を伴う場合には10年に及ぶこともあると報告した。

第3節 社会による信仰の自由の尊重の現状

安倍元首相の暗殺後、統一教会職員は、全国で数百件の嫌がらせ事案を記録した。暗殺直後、統一教会本部と複数の地方支部は、数多くの殺害脅迫や、日本から出て行けという要求があったと報告した。同教会によると、嫌がらせ電話や破壊行為はその後数カ月間も続いた。同教会は、心理的手段や身体的暴力などによって家族から脱会を迫られた多数の事案を報告した。また、同教会職員は、信者による公的施設の利用や地域ボランティア活動への参加が拒否された事例も報告した。

イスラム教徒のコミュニティーは、日本社会をイスラム教に対しておおむね寛容な場所と見なしていると述べた。報道機関は、遺体を埋葬するというイスラム教の伝統が土壌や水を汚染するのではないかという地元住民の懸念を挙げ(日本では99%が火葬)、近隣にイスラム教の墓地ができることに難色を示している地域が特に西日本にいくつかあると引き続き主張した。イスラム教の埋葬を受け入れている7カ所の墓地のほとんどは東日本にある。テレビ大分は、日出町の地元住民と別府ムスリム協会がイスラム教墓地の設置で合意し、協定書への正式な署名を2023年2月末に予定していると報じた。

米国ユダヤ人協会の代表は、日本はユダヤ教の受け入れ度が非常に高いと述べた。

第4節 米国政府の政策および関与

米国大使館職員および他の米国政府職員は、政府職員および国会議員との面談や省庁間会合を通じて、中国および他地域出身のイスラム教徒や、その他集団の信仰の自由を害する悪意ある中国の活動に抵抗するため、米国と引き続き協力するよう政府に促した。

米国大使館は、統一教会に関する諸問題に注視し、国会議員、政府規制当局、同教会の活動により影響を受ける者、そして同教会代表者との連絡を維持し、あらゆる事案において信仰の自由の重要性を強調した。

日本宗教連盟をはじめ、宗教団体指導者やイスラム教徒のロヒンギャ人やウイグル人、ユダヤ教および法輪功など少数派宗教団体の指導者および信仰の自由の擁護者との対話や会合において、大使館職員は米国が信仰の自由の尊重を優先事項としている点を強調し、このような団体が直面する問題について議論し、いくつかの団体に対しては、日本政府および地方自治体へ働きかける取り組みについて助言を行った。