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国際的な親による子の奪取

日本とアメリカは、1980年の「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」において、日本が2014年に加盟国になって以来、条約締結国としての協力関係を築いています。

もしあなたの子供がアメリカから日本に連れ去られたら、米国国務省の担当官にご相談下さい。国務省の日本に関する情報についてのウェブサイトはこちらをクリックして下さい。

国務省の2020年度の国際的な子の奪取の年間報告書が、4月29日に議会に提示されました。報告書をご覧になる方は、こちらをクリックして下さい。


<背景>

まず、日本とアメリカでは、法体系が異なります。日本はシビル・ロー(制定法主義)に基づき、アメリカはコモン・ロー(判例法主義)に基づきます。日本の法律は6つの法分野に分けられています。家事事件は民法に含まれており、アメリカと違い、民事の分野の訴訟は、刑事の訴訟としては扱われにくくなっています。

日本の民法第819条においては、離婚した場合の親権は、どちらか一方の親に定めなければならない、とされています。

このような事が、親権を持たないもう一方の親による子供への面会の妨げとなる場合があります。また、日本の法廷は、親権を決める際に、一方の親による養育が長期に渡った場合、特段の事情が無い限り子の環境を継続させる「継続性の原則」を取り入れる傾向があり、長期に渡って子から離れていた親に対して不利に働く事があります。

2014年に日本でハーグ条約が発効した事は、国際的な子の連れ去りがあった場合の親権の決定は、連れ去りが始まる直前に子どもが住んでいた国(常居所地国)で行われるべきであり、必ずしも現在居住している国で行われるべきものでは無いという事を認識する上で、画期的な事でありました。

日本国内での実施法は、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」と呼ばれています。

関連情報
日本における離婚について (アメリカ大使館のウェブサイト
日本の家庭裁判所について (最高裁が作成した英語の冊子 “Guide to the Family Court of Japan”
日本の家族法制について(法務省の英語のウェブサイト
日本の国情報ページ(米国国務省のウェブサイト

 

<子の奪取とは何か>
もしも子供が、もう片方の親の同意なく片方の親によって他国に連れ去られた場合、それは誘拐であり、国境を越える犯罪です。2014年からアメリカと日本は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約パートナー国です。

 


<ハーグ条約の目的>
ハーグ条約の目的は、子供を元の居住国に返還する事と、親子の面会交流の機会を確保する事です。留意点としては、子供が連れ去られてから一年以内に返還の申請をしなければならないという事、また、ハーグ条約の返還請求は、子供の親権を決めるというものでは無く、子供の親権や面会交流を決めるために元の居住国に返す事を目的にしています。
詳細は外務省のハーグ条約室のページをご覧下さい。

 


<もし子供が連れ去られたら?>
ハーグ条約締約国の「中央当局」が子供を連れ去られた親に対する情報提供や返還申請窓口となります。

日本においては、東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所がハーグの返還案件を取り扱います。迅速な進行が想定されており、ほとんどの場合6週間以内で返還の可否の決定がなされています。ハーグ条約及び実施法についての詳細や申請方法は、裁判所のサイトのQ&Aをご覧下さい。日本語の動画での説明は外務省のこちらのページをご覧下さい。

 


<アメリカ大使館の役割>
アメリカ政府の海外の出先機関として、アメリカ大使館は在外米国人の安全、とりわけ未成年者の安全と福祉を重要視しています。

出来る事

〇 子の返還、または面会交流に関する情報の提供

〇 弁護士やその他専門家等のリストの提供

〇 領事面会の実施:ただし、米国国務省の領事局児童問題担当を通しての要請と監護親の同意に基づく。面会は子の福祉にのみ焦点を当てます。

〇 米国の国務省領事局児童問題担当と日本の外務省ハーグ条約室との連携

〇 日本やアメリカに関する情報の提供

出来ない事

✖ 法的な手続きに関するアドバイスや代理となる事
✖ 子の返還や面会の保証
✖ 仲介人となる事
✖ いかなる費用負担
✖ 子を匿う事
✖ 捜査や法執行的な活動


<ハーグ条約の返還の条件に該当しない場合>

取りうる選択肢

  • 両親の話し合いによる任意の返還を追求する、あるいは家庭裁判所へ調停の申請をする。詳細は弁護士にご相談下さい。法テラスによる支援が受けられる場合もあります。
  • ハーグ条約の中央当局を通して面会交流の申請をする。

日本がハーグ条約に正式加盟する2014年以前にお子様が連れ去られた場合でも面会交流の申請は可能です。詳細は以下外務省のホームページでご確認下さい。

ハーグ条約の中央当局を通しての面会交流の申請をするメリットとしては、子の所在の確認の試み、ADR(裁判外紛争解決手続き)機関の紹介、「ウェブ見まもり面会交流」などの面会交流支援機関の紹介、また一部費用負担などが挙げられます。
いかなる場合においても、ハーグ案件に通じた弁護士に相談する事は重要です。そして少しでも柔軟に話し合う気持ちを持ち、辛抱強く面会交流を続ける事が、子供との信頼関係を築く土台となっていきます。

 

専門家リスト

大正大学カウンセリング研究所
心理社会学部 臨床心理学科
青木聡教授
〒170-8470 東京都豊島区西巣鴨3-20-1
a_aoki@mail.tais.ac.jp

にじいろ法律事務所
小田切紀子教授 (臨床心理士・公認心理士)

<Legal resources>

日英の用語集は、こちらをクリック下さい。

 


<国際的な親による子の奪取の防止>

もしあなたがアメリカか日本にいて、国際間の子の連れ去りに関して、早急に誰かと相談したい場合には、米国国務省領事局の児童問題防止チームの電話 1-888-407-4747 (アメリカ・カナダからかける場合)、+1-202-501-4444 (海外からかける場合)、またはEmail: PreventAbduction1@state.govまでご連絡下さい。防止に関する詳細は米国国務省児童問題防止のページをご覧ください。

また、国務省の「子供のパスポート発行警報プログラム」への登録を推奨いたします。この登録があった場合、子のパスポートの申請があった時に双方の親の同意があるのかどうか照会がなされます。詳細はこちらをご覧ください。

 


<FAQ ~良くある質問~>
過去に親による国境を越えた連れ去りや親権問題の対象者だった青年や成年の方はこちらをご覧下さい。

Q. 私の配偶者(元配偶者)が私の知らない間に子どもを国外に連れ出してしまうのではないかと心配しています。どうしたら防止出来ますか?
A. あなたが米国国務省の「子供のパスポート発行警告プログラム(CPIAP)」に登録することで、あなたの子どもがパスポートを申請(新規、更新、再発行)した際に国務省からあなたに通知されます。登録の方法は、以下国務省のサイトをご覧ください。
https://travel.state.gov/content/travel/en/International-Parental-Child-Abduction/prevention/passport-issuance-alert-program.html

 

Q.領事面会とは何ですか?
A. アメリカ大使館/領事館は在外米国市民の安全、とりわけ未成年者の安全と福祉を重要視しています。領事面会とは、国際的な子の連れ去りの対象の未成年者を含め、懸念される立場にある米国市民の安否確認をするために行うものです。領事面会は、細心の配慮を持って行われ、こうした領事業務は国務省と米国議会にとって優先順位の高いものとなっています。

 

Q.大使館や領事館はなぜ領事面会を依頼するのですか?A.大使館や領事館は、米国国務省領事局児童問題担当の要請によって領事面会を依頼しています。国務省は、在外米国市民の安全、とりわけ未成年者の安全と福祉を重要視しています。

 

Q.領事面会における大使館や領事館の役割とはどのようなものですか?
A.大使館や領事館は、中立的な第三者の立場として、未成年者の健康、安全と福祉に注視します。大使館は、米国市民の身柄を保護したり、法的な事柄を仲介する事は禁じられています。子どもの健康、安全、そして福祉が第一の関心事項です。

 

Q.領事面会とは、どこで行われるのですか?
A.領事面会は、子どもの監護親・保護者の方と領事が話し合って決めたどの場所でも行う事が出来ます。カフェ等の、公共の場所で行う事も出来ます。

 

Q.領事面会では実際何が行われますか?
A.領事と職員が、事前に相談の上調整した場所で監護親・保護者とお子様にお会いします。監護親・保護者の方は、オブザーバーとして、親戚や弁護士などに同席をお願いする事が出来ます。面会自体は、堅苦しくない会話で進められ、子どもの健康や日常生活の話が中心となります。稀に、領事がお子様に何かお持ちする事もありますが、事前にお伝えしますので、保護者の方は受け取りを辞退する事が出来ます。また、領事がお子様の写真を撮っても良いかお伺いする事があります。これも保護者の方は辞退する事が出来ます。

 

Q.領事面会が終了した後はどうなるのですか?
A.領事が国務省領事局児童問題担当に報告をします。内容は、子どもの様子や興味関心など、子どもの健康と福祉にのみ焦点が当てられ、子どもと離れて暮らす親にとっては現在を知る一端を担っています。特定の場所や日にち、個人を特定するために使われる可能性がある情報は含まれません。この報告書は、要請があれば、両方の親に提供できるものです。

 

Q.領事面会を断ったらどうなりますか?
A.監護親は理由にかかわらず、領事面会を断る権利があります。アメリカ大使館や領事館は、強制的に面会を進めるものではありませんし、断っても罰則はありません。

 

Q.領事面会を昨年断りましたが、アメリカ大使館・領事館はなぜまた新たな依頼をするのですか?
A.国務省による在外米国市民への支援・保護は継続して行われており、アメリカ大使館は国務省の要請によって新たな依頼をする事があります。

 

Q.(連れ去りの対象の)子どもが16歳になったらどうなりますか?
A.ハーグ条約の解釈では16歳になると、ケースは終了します。その際、大使館や領事館は、パスポートの申請方法についてご本人に通知します。便りには、米国大使館の領事業務の説明や社会福祉のサービスなどについても書かれています。
手紙が受け取られるという保証はいたしかねます。また、ハーグ条約の対象外の案件については、子どもが18歳になるまで国務省児童問題担当のケースとして扱います。

 

Q.ハーグ条約の制度を通して返還の申請をするメリットは何ですか?一般的な家庭裁判所での手続きと異なるのですか?費用が高くなりますか?
A.ハーグ条約のもとでの子どもの返還決定手続きは、迅速な手続きが求められており、基本的には申し立てがなされてから6週間の中での返還決定が想定されています。また、日本の中央当局での手続きを通して一部費用負担のメリットを受けられる事があります。通常の裁判手続きにおいては、期間の制限は無く、監護の「継続性の原則」が優位に働く事があります。*

 

Q.「継続性の原則」とは何ですか?
A.子どもに対して、長期に渡って同じ環境にいる場合は現状維持が最善であるとする考え方。日本の法廷は、親権を決める際に、一方の親による養育が長期に渡った場合、特段の事情が無い限り子どもの環境を継続させる「継続性の原則」を取り入れる傾向があります。*

 

Q.ハーグ条約のもとでの手続きは、どのように私たちの親権問題を解決しますか?
A.誤解されがちな点ですが、ハーグ条約の返還手続きは、親権の判定をするものではありません。連れ去りが行われる前に子どもが住んでいた常居所地国を決定し、その国の裁判で親権を定められるように帰す事を目的にしています。子どもの常居所地国(またはその国内の法制度のもと)で親権や面会交流の決定を行う事が望ましいという考えに基づいています。*

Q.子どもの国籍は関係ありますか?
A.ハーグ条約の返還事案には子どもの国籍は関係ありません。ハーグ条約のもとでの返還手続きの焦点は、子どもの常居所地国を決定する事にあります。

 

Q.子どもが渡米するとどうなりますか?連れ去られた後に米国で発行された裁判所からの命令は影響ありますか?
A.子どもが未成年の場合は、米国の裁判所の命令は効力がある可能性があります。米国の弁護士に相談する事をお勧めいたします。*(18歳以上ですとこの限りではありません)

 

Q.私に逮捕令状が出ているか分かりますか?
A.領事は警察機関ではないので、逮捕令状に関する情報はありません。米国の弁護士に相談する事をお勧めいたします。*

 

Q.私の子どもが、一定の年齢になって日本国籍を選択した時、米国国籍は自動的に喪失しますか?
A.米国国籍は自動的には喪失しません。米国国籍は、ご本人が領事の目前で公式に離脱しなければ喪失する事はありません。


*上記は、法的な助言ではありません。詳細は、法律の専門家にご相談下さい。