2018年人身取引報告書(日本に関する部分)

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

国務省人身取引監視対策部

2018年6月28日

日本(第1階層)

日本政府は、人身取引撲滅のための最低基準を十分に満たしている。政府は、本報告書の対象期間中、こうした基準を満たす重要な成果を上げた。ゆえに、日本は第1階層への昇格となった。こうした成果の中には、大人の男性に未成年少女を引き合わせるデート業である「JK」ビジネス(JKとは女子高生を指す)やポルノビデオ出演強要における性的搾取目的の児童の人身取引対策を目的とした新たな関係府省対策会議の設置、技能実習制度に対する規制および新たな監督体制の運用、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約および2000年に採択された国連人身取引議定書の締結、が含まれた。政府は最低基準を満たしてはいるが、当局は引き続き、より軽微な刑の法律に基づき人身取引犯を訴追し、裁判所は多くの場合刑務所に収容せずに刑の執行を猶予した。性的搾取目的の児童の人身取引や強制労働が疑われる事案の多くは、刑事捜査や刑事訴訟を通じてというよりも、行政処分や営業許可の取り消しにより処分された。技能実習生を借金で束縛する主な要因の1つとなっているのが外国に拠点のある募集機関による過剰な金銭徴収であるが、その徴収の阻止を目指した「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習制度改革法)の規定を政府は十分に執行できていなかった。当局は、契約機関での搾取的な環境から逃れてきた技能実習生が被害者であるかどうかの確認審査を行い、保護支援サービスへとつなげるのではなく、拘束、告発、場合によっては強制送還した。

日本への勧告

性的および労働搾取目的の人身取引事案を精力的に捜査、訴追し、有罪判決が下された人身取引犯に重い刑を科して責任を課す。実刑の代替として罰金刑を認める量刑規定を削除し、最長で4年もの実刑を含め、人身取引犯罪に適用される処罰を強化するため、人身取引対策関連法を改正する。人身取引被害者専用シェルターなど、人身取引の被害者に専門のケアと支援を提供する資源を拡充し、これらの支援サービスが外国人被害者と男性被害者の双方にも利用できるようにする。雇用主に対する調査を増加し、過剰な手数料やその他金銭を課す外国の募集機関との契約解除などにより、技能実習制度改革法の監督および執行措置を引き続き実施する。強制労働の一因となる、組織や雇用主による「処罰」の合意、パスポートの取り上げ、その他の行為の、禁止の実施を強化する。技能実習制度の下での移住労働者や児童を含む被害者が、適切に認知され、かつ支援サービスを受けられるようにし、人身取引の被害に直接起因する違法行為を犯したことで拘束または強制送還されることがないよう、被害者の審査を強化する。海外で児童買春旅行に参加する日本人の捜査、訴追、有罪判決、処罰を積極的に行う。

訴追

政府は、法執行の取り組みを一定部分強化した。日本には、国際的な基準に沿った定義を含む、包括的な人身取引対策法がなかった。しかし、日本は、成人および児童の売買春、児童福祉、入国管理、雇用基準に関する異なる法律を通して、性的および労働搾取目的の人身取引を犯罪とした。売春防止法第7条は、人に売春させることを犯罪としており、詐欺的または威圧的な手段を用いた場合には最長3年の懲役、もしくは最高10万円(890ドル)の罰金を規定しており、暴行または脅迫が用いられた場合には最長3年の懲役および最高10万円(890ドル)の罰金に処した。同法第8条は、被告が第7条に規定された犯罪の対償を収受し、もしくは収受する契約を結び、または同対償を要求した場合には、最長5年の懲役および最高20万円(1780ドル)の罰金を科して処罰を強化した。「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」は、児童を商業的に性的搾取する行為、周旋、および勧誘を犯罪とし、最長5年の懲役もしくは罰金、またはその両方の処罰を規定していた。同法はまた、買春や児童ポルノ製造による児童の搾取を目的とした児童の売買を犯罪とし、最長10年の懲役を規定した。報告によると、政府はまた、児童福祉法を用いて人身取引関連犯罪を訴追した。同法は、児童にわいせつもしくは有害な行為をさせる目的での児童の移送、または隠匿を幅広く犯罪とし、最長10年の懲役もしくは最高100万円(8880ドル)の罰金、またはその両方の処罰を規定していた。職業安定法および労働基準法はいずれも、強制労働を犯罪とし、最長10年の懲役もしくは300万円(26650ドル)以下の罰金を規定していた。性的搾取目的の人身取引に対して規定されている刑罰が懲役刑の代わりに罰金を認めたとき、強姦等のその他の重罪に対する処罰と同等とはならなかった。しかし、政府は、本報告書の対象期間末に、人身取引事案において懲役刑の代替として罰金刑を求刑しないよう検察官を導く、量刑に関する指針を示した。人身取引犯罪に対して規定されている処罰は、十分に厳格であった。前述した罰金刑に係る量刑の指針に照らし、性的搾取目的の人身取引に対する処罰も、強姦等その他の重罪に対して規定されている処罰と同等であった。複数の市民社会団体は、こうした一連の重複する法律に頼っていることが、人身取引犯罪、特に、心理的威圧の要素を持つ強制労働を伴う事案を認知や訴追する上での政府の能力を引き続き妨げていると報告した。

2017年7月、日本は、証人の買収を犯罪とする規定を含む法律を可決した。本法律により、当局は、司法妨害罪で一定の人身取引犯を容疑者として立件するための新たな根拠を得る。しかし、政府からは、本報告書の対象期間中に政府この法律をどの程度適用したかという報告はなかった。政府より、2017年に着手した人身取引関連犯罪の捜査件数の報告はなかった(2016年は44件)が、26人(2016年は43人)を訴追し、裁判所は23人(2016年は37人)に有罪判決を下した。有罪判決を受けた23人の人身取引犯のうち、6人は罰金刑のみを受けた。当局は、残り17人の人身取引犯を2年から4年の懲役刑に処したが、刑務所に収容したのはこのうち5人のみだった。残りの12人は執行猶予の判決を受け、刑期を免れた。技能実習生の強制労働に関与した者に有罪判決を下したという政府報告は何もなかった。しかし、実習実施機関への立入調査の結果、労働基準監督署と各地の入国管理当局は、34件の「重大な」労働者虐待事案を、その後の刑事捜査のために検察庁に送検した(2016年に送検されたのは、より軽微な違反事案の40件であった)。政府から、これらの事案に強制労働の兆候が含まれていたか否か、また最終的に訴追されたか否かの報告はなかった。非政府組織(NGO)は、外国人被害者を巻き込んだ強制労働の事案に対して、裁判所が極端に高い証拠基準を設定しているため、適切な法執行措置を妨げていると主張した。政府はまた、性的搾取目的の人身取引の一形態である「児童買春」を956件認知し、捜査に着手したと報告した。2016年では809件だった。当局は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の「児童買春」規定に基づき、3人に有罪判決を下したと報告したが、この数字は、政府が人身取引として公式に認知した「児童買春」事案の有罪判決のみを含んだ。つまり、「児童買春」規定に基づく有罪判決の全体の数は大幅に多いものとみられる。当局は、「JK」ビジネスやポルノビデオ出演強要における児童の性的搾取に対する法執行措置を強化した。警察は、複数の女性および少女を勧誘して営利目的で淫行させた疑いで、芸能事務所の代表とポルノビデオ制作会社の運営者を逮捕した。このように刑法の淫行勧誘罪が適用されたのは80余年ぶりのことであった。しかし、検察庁は被疑者達を起訴しなかった。また、警察は、未成年1人を含む複数の女性にポルノビデオへの出演を強要したとして、名の知られていたDVD販売サイト業者を逮捕した。この業者は、当初は執行猶予付きの有罪判決を下されたが、検察側が控訴審で勝訴し、結果、懲役2年6月および罰金30万円(2670ドル)の判決が改めて下された。児童の商業的性的搾取対策の取り組みとして、2017年7月、東京都議会は、18歳未満の少女が報酬を伴うデート業で働くことを禁じ、「JK」ビジネスの営業者に対し、都公安委員会に従業員名簿を登録することを義務付ける条例を施行した。2017年に当局が全国で認知したこうした営業所の数は114カ所であり、そのうち14カ所を条例違反で営業停止とした。その後、裁判所は、労働基準法に基づき、3人の未成年の少女を性的搾取目的の人身取引の被害に遭わせたとして、そうした営業所のうち1カ所の営業者につき公訴を提起した。本件は、本報告書の対象期間末時点で係属中であった。政府は、警察官、検察官、裁判官、入国管理局職員を対象に、捜査方法と被害者認知に関する研修を引き続き行った。

保護

政府は、被害者を保護する取り組みを一定部分強化した。当局は、956人の商業的性的搾取の被害児童に加えて、46人の人身取引被害者を認知した。2016年の人身取引被害者は50人だった。政府は、「JK」ビジネスの中で労働や性的搾取目的の人身取引の被害にさらされている少女など、被害を受けやすい人々の中に、被害者がいるかどうかの確認審査を行い、被害者を認知し、被害者に適切な保護支援サービスを提供する取り組みを強化した。政府が認知した46人の被害者のうち、性的搾取目的の人身取引の女性被害者は31人(2016年は37人)、労働搾取目的の人身取引被害者は3人(2016年は4人)、さらには、強制労働の被害者であり、かつ性的搾取の人身取引の被害を受けていたともみられる被害者は12人(2016年は9人)だった。警察庁は、被害者を認知し、利用可能な保護支援サービスを紹介するため、国際移住機関(IOM)作成のハンドブック、および人身取引対策関係省庁連絡会議の手引書を引き続き利用した。警察庁はまた、潜在的な被害者向けに、緊急連絡先情報を10カ国語で記載したリーフレットを配布した。2017年に認知された男性の被害者は1人のみだった。人身取引の兆候という実質的証拠があるにもかかわらず、政府は技能実習制度における強制労働の被害者をこれまで1人も認知していない。当局は、契約している機関での強制労働やその他の虐待的環境から逃れてきた技能実習生、特にベトナムからの実習生を引き続き逮捕し、強制送還した。商業的性的搾取の被害者として956人の児童を認知したにもかかわらず、本報告書の対象期間中、警察が性的搾取目的の人身取引被害者として公式に認知した児童は6人(2016年は10人)のみであった。当局は、自らが固執している定義上の相違に基づいて、商業的性的搾取と性的搾取目的の人身取引という2つの統計を引き続き切り離したが、このことにより、支援の提供や適切な法執行措置に影響を及ぼした可能性があった。警察は、性的搾取目的の人身取引被害者であるかもしれない児童の一部を引き続き非行少年として扱い、被害者かどうかの確認審査、これらの事案の捜査、専用の支援サービスへの紹介を行わず、代わりに、こうした児童に対して素行に関するカウンセリングを行った。当局は、児童が置かれていた人身取引の状況との関連で、一部の被害児童を逮捕し、当初は立件した。しかし、複数のNGOの報告によれば、2017年、当局は、その後こうした事案の立件を全て止めた。

ここ何年間と同様、政府は、人身取引被害者に特化したシェルターのために資金提供を行わなかったが、婦人相談所が運営するシェルターや配偶者による暴力の被害者のためのシェルターには引き続き資金を提供した。これらのシェルターは、2017年に認知された46人の人身取引被害者のうち16人(2016年は15人)を支援したと報告しており、そのうち少なくとも1人は18歳未満だった。数は不明だが、NGOのシェルターで支援サービスを受けた被害者もさらにいた。NGOのシェルターでは、政府が助成する医療を利用することは可能であった。婦人相談所のシェルターは、 被害者に食料、その他の生活必需品、精神的ケアおよび医療費を提供し、婦人相談所職員が同行すれば被害者は自由に外出することができた。政府は、シェルターでの男性の人身取引被害者の保護に対して350万円以上(3万1100ドル)を充当したが、2017年に認知された唯一の男性被害者が政府の支援サービスを直接受けたか否かは不明だった。各都道府県の担当者が人身取引事案を扱った経験の度合いによって、被害者が利用できる支援サービスとその質は異なった。

厚生労働省は、NGOが運営する外国人労働者向けの一般的な相談ホットラインに、引き続き一部資金を提供した。しかし、このホットラインは人身取引に特化したものではなかった。入国管理局は、同様のホットラインを運営し、このホットラインを通じて本報告書の対象期間中に2人の人身取引被害者が認知された。警察もまた民間団体を通して一般的なホットラインを運営し、2017年は2万件以上の苦情を処理したが、そのうち182件は人身取引関連であった。このホットラインは日本語のみでの利用が可能であり、寄せられた電話の中で確実な被害者認知につながったものはなかった。政府は、国際機関を通じて、人身取引被害者にカウンセリング、一時避難、社会統合および帰国支援を提供する事業への資金拠出を継続した。この事業を通して、7人(2016年は23人)の外国人被害者が帰国支援を受け、過去何年かの間に帰国支援を受けた別の8人が社会統合支援の便益を受けた。こうした支援サービスが存在するにもかかわらず、国際機関およびNGOの報告によると、合法的に日本に居住する被害者であれば受けることのできるその他の政府提供の社会支援サービスについては、ほとんどの外国人人身取引被害者が利用を限定されていた、あるいは全く利用できなかった。NGOは、言語通訳サービスの不備は、外国人被害者の保護にとって特に課題となっている事の一つであると強調した。

法律は、表向きには、人身取引被害者を日本への入国拒否や日本からの強制送還から保護した。しかし、報告によると、被害を受けやすい人々に対する審査が不十分であったために、人身取引被害に起因して犯した出入国管理法違反やその他の罪を理由として、一部の被害者が逮捕され、強制送還された。NGOの指摘によれば、在留資格認定証明書を得て日本へ入国する日本人とフィリピン人の間に生まれた子どもが被害者でないかどうかの確認審査を厳格化すべく、外務省と法務省との協力が強化された。しかし、当局より、こうした協力強化が確実な被害者認知につながった否かの報告はなかった。出身国へ帰国することに伴う影響を恐れる外国人被害者は、一時的、長期的、または定住者として在留する便益を受けることが可能であった。2017年、政府は、このような状況に置かれた被害者2人に長期在留資格を、16人に短期の在留許可または資格を付与したと報告した(2016年に長期の在留資格を付与された者はおらず、短期在留許可または資格を付与されたのは24人であった)。2017年に認知された被害者の中には、被害者として認知された時にはすでに在留資格を受けていた者もいた。被害者は人身取引犯に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こす権利を有した。2017年には、人身取引被害者として未認知の可能性のある者を含む一部の外国人労働者、および性的搾取目的の人身取引被害者は、賃金不払いに対して民事訴訟を起こした。しかし、賠償金の支払いを命じられた会社は破産申し立てをすることが多かったため、賠償金の支払いをほぼ不可能とした。複数の社会市民団体は、ポルノビデオ出演強要の被害者の中には、人身取引犯に対する訴訟への参加によって汚名を着せられ、社会統合や社会復帰の障害になることを恐れて、訴訟に参加しない選択をした被害者もいたと報告した。

防止

政府は人身取引を防止する取り組みを強化した。政府は、人身取引対策に関する政府の取組について3回目となる年次報告書を作成し、人身取引対策行動計画で表明した目標に照らして、施策の取り組み状況を追跡調査した。当局は、特定の労働者虐待に対する刑罰の制定、技能実習制度での監督と責務の強化、技能実習生が自らの意思で雇用主を変更する自由の拡大、その他の改善を目指した2016年成立の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習制度改革法)の施行を開始した。この法律の下、政府は、外国人技能実習機構を設立し、実習実施者および監理団体双方の現場調査を強化し、1300人を超える参加者に多言語相談サービスを提供した。また、本法律は、この制度の新たな参加者と雇用主が共同で作成する、生活環境、労働時間、その他の要素の概要である実習計画を、厚生労働省に承認するよう義務付けた。当局は、同法の施行から5カ月間で、3万件以上の実習計画を承認したと報告した。現場調査が増えた結果、多岐にわたる行政および法執行措置が取られるようになった。にもかかわらず、NGOの報告によると、外国人技能実習機構は、職員数の不足により、技能実習生の数が引き続き増えるなか、こうした大規模な技能実習制度における虐待の申し立てを十分に調査できていなかった。専門家は、ほとんどの技能実習生には、いったん日本に入国すると雇用主を変更する権利を未だ持たないことを、引き続き懸念した。報告によれば、技能実習生の中には、契約した職場での虐待的環境から逃れたことにより、在留資格に違反することになり、失業中の身で人身取引の被害を受けやすくなった者もいた。

技能実習生が母国の送り出し国で多額の借金を負うことを防ぐために、政府は、ベトナム、カンボジア、インド、ラオス、モンゴル、フィリピンとの間で協力覚書を交わし、技能実習生から過剰な金銭を徴収しない各国政府が認定する機関からのみ、実習生を受け入れることを確認した。しかし、こうした国の送り出し機関の中には、金銭の徴収制限を回避し、金銭の代わりに高額の「手数料」を課すことで、各国政府の認定を受けることができた機関もあった。よって、これらの国からの実習生は、いったん日本に入国するとこれまで通り借金による束縛の危険にさらされることになった。労働基準監督署は、技能実習制度の雇用主による不正行為の疑惑に関し、299件の立入調査を行い、そのうち213機関が「是正勧告」を受け、少なくとも4件の「重大な虐待」に対する継続中の刑事捜査につながった。また、法務省は、2017年に、企業3社、27の監理団体、183の実習実施機関に対し技能実習生の受け入れを禁止した。2016年に受け入れが禁止されたのは、それぞれ2社、25の監理団体、202の実習実施機関であった。

当局は、引き続き、多言語対応の緊急時連絡ホットラインの電話番号を、各地の警察や入国管理事務所において公示し、また、NGOを通してや送り出し国政府との協議の中でも告知した。政府は、インターネット、ラジオ番組、ポスター、冊子を通じた情報発信と、NGO、入国管理事務所、労働基準監督署、日本内外の外国公館へのリーフレット配布を通して、人身取引に対する啓発活動を行った。政府は引き続き、交通拠点などでポスターや冊子を配るとともに、海外での児童買春旅行への参加が疑われる場合、日本国民は訴追される可能性があることを旅行者に警告した。政府は、海外で児童の性的搾取に関与した日本国民を訴追する域外管轄権を有するが、当局より、そのような管轄権の行使の報告はなかった。NGOは、ポルノビデオ出演強要や「JK」ビジネスを通して行われた児童への暴力に対処するために、政府が内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)を議長、政府高官を構成員とする関係府省連絡会議を発足させたことを称賛した。7月、日本は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を承認する法律を可決し、2000年に採択された国連人身取引議定書の締約国となった。

人身取引の概説

過去5年間に報告されたように、日本は、強制労働および性的搾取目的の人身取引被害者である男女、ならびに性的搾取目的の人身取引被害者である児童が送られる国であり、被害者の供給・通過国である。主にアジアからとなる移住労働者は男女共に、日本政府による運営事業も含め、強制労働の環境にさらされる。北東アジア、東南アジア、南アジア、南米およびアフリカからの男性、女性および児童は、雇用または偽装結婚のために来日し、性的搾取目的の人身取引の被害にさらされる。日本で急速に増加する外国人留学生もまた、単純労働の分野において人身取引の被害者になる危険にさらされている。人身取引犯は、バー、クラブ、売春宿およびマッサージ店での強制売春のために外国人女性を日本へ入国させやすくしようと、外国人女性と日本人男性との偽装結婚を利用する。人身取引犯は、借金による束縛、暴力または強制送還の脅迫、恐喝、パスポートの取り上げ、その他の精神的な威圧手段を用い、被害者を強制労働や強制売春の状態にとどめる。大半の被害者は、生活費、医療費、その他の必要経費を雇用主に支払うよう要求され、債務奴隷とされやすい。売春宿の運営者は、被害者が借金を負っている期間を引き延ばす1つの手段として、素行が悪いとして恣意的に被害者に「罰金」を科すことがある。報告によると、人身取引の被害者は、東アジアや北米等、日本を越えた送り先で搾取される前に、日本を経由する。

日本人、特に、家出した十代の少女もまた、性的搾取目的の人身取引の被害にさらされる。「援助交際」やさまざまな形態の「JK」ビジネスが、性的搾取を目的とした日本人児童の人身取引を依然として助長している。高度に組織化された売春ネットワークが、地下鉄、若者のたまり場、学校、インターネット上などの公共の場で、被害を受けやすい日本人女性や少女を標的として、性的搾取目的の人身取引の被害者とする。こうした女性や少女は貧困状態で生活しているか、または認知障害がある場合が多い。モデルや芸能事務所に見せかけた団体の中には、詐欺的な募集手段を用いて、日本人男性、女性および未成年の少女に不明瞭な契約書に署名するよう強要し、その後、法的手段を取る、あるいは不名誉な写真を公表すると言って脅し、ポルノ映画への出演を強要する団体もある。入国を仲介する日本の民間業者は、日本人とフィリピン人との間に生まれた児童とそのフィリピン人の母親が日本に移住し、日本国籍を取得することを、多額の手数料を取って支援するが、これにより母親は多額の借金を負うことが多い。日本到着直後、借金を返済するため、性的搾取目的の人身取引の被害者となる母親や児童もいる。入国仲介業者に見せかけた組織犯罪集団もまた、仕事があると偽って、このような家族を日本に誘い、女性を歓楽街で強制労働に従事させる。日本人男性は依然として、タイやその他のアジアの国々における児童買春旅行への需要の源泉の一部である。

強制労働の事案は、政府が運営する技能実習制度において発生している。この制度は本来、外国人労働者の基本的な専門的技能を育成することを目的としていたが、事実上の臨時労働者事業となった。過剰な金銭徴収の慣行を抑制することを目指した新たな国際合意にもかかわらず、ビルマ、中国、カンボジア、ベトナムからの技能実習生は、漁業、建設業、製造業で職を得るために、最高で1万ドルという過剰な金銭、保証金または不明瞭な「手数料」を母国の送り出し機関に支払っている。多くの技能実習生は、技能実習制度の本来の目的に反して、技能の教授や育成が実施されない仕事に従事させられている。事前に合意した職務と一致しない仕事に就かされている技能実習生もいる。これらの労働者の中には、移動の自由を制限され、パスポートを没収され、強制送還の脅しを受け、その他の強制労働の状態に置かれた者もいた。技能実習生に「処罰合意」への署名を義務付け、労働契約を履行できない場合、何千ドルもの違約金を科す送り出し機関もあった。報告によると、契約を結んだ技能実習の仕事から逃れた実習生の中には、性的搾取目的の人身取引の被害者になる者もいる。