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2021年人身取引報告書(日本に関する部分)
2 MINUTE READ
July 29, 2021

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

国務省人身取引監視対策部
2021年7月1日

日本(第2階層)

日本政府は、人身取引撲滅のための最低基準を十分には満たしていないが、満たすべく相当の取り組みを実施している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による政府の人身取引対応力への影響を考慮すると、政府は前年の報告書対象期間と比較して、全体的に取り組みを強化していることを示した。ゆえに、日本は引き続き第2階層となった。こうした取り組みの中には、人身取引犯の捜査、訴追、有罪判決、人身取引被害者の認知、社会認識を高める運動の継続的な実施が含まれていた。しかし、政府はいくつかの重要な分野で最低基準を満たしていなかった。当局は引き続き、軽微な刑を科す法律とほぼ全ての事件において刑務所に収容せず執行猶予を与える法律に基づいて、人身取引犯を訴追し、有罪判決を下した。その一方で、罰金刑のみを受けた人身取引犯もいた。有罪判決が下された人身取引犯へのこのような刑は、犯罪を抑止する上で十分に厳しいものではなかった。大多数の人身取引犯を刑務所に収容しなかったことは、抑止力を著しく弱め、人身取引犯に責任を課す取り組みを阻害し、犯罪の性質に対する十分な対応ではなかった。法執行職員を含む政府職員は、性的搾取を目的とする児童の人身取引に対して体系的には対応せず、人身取引犯を罰することなく活動させた。外国を拠点とした人身取引犯や国内の人身取引犯は、外国人労働者を搾取するために政府が運営する技能実習制度を引き続き悪用した。技能実習制度の下での日本国内の移住労働者の強制労働が依然として報告されたにもかかわらず、またもや当局は、技能実習制度における人身取引事案や被害者を積極的には1件も認知しなかった。技能実習制度において、政府と送り出し国との協力覚書は、借金を理由に技能実習生を強要する主な要因の1つである外国に拠点を持つ労働者募集機関による過剰な金銭徴収を防止する上で効果を発揮しておらず、募集を行う者と雇用主に対して政府は、虐待的な労働慣行と強制労働犯罪の責任を課さなかった。関係府省庁の従事者たちは、あらゆる形態の人身取引を網羅していない統一性のない非効果的な認知・照会手順に依然として頼り、その結果、当局は人身取引の被害を受けやすい人たちを適切に審査し、あらゆる形態の人身取引被害者を保護することができなかった。法執行機関は引き続き、商業的性産業において搾取を受けた何百人もの児童を、公式に人身取引被害者として認知することのないまま特定し、ほとんどの場合、保護支援サービスや損害賠償請求権の利用を妨げた。不十分な被害者認知の慣行に加え、あらゆる形態の被害者に特化した特定のサービスを政府は提供しなかった。あらゆる形態の人身取引犯罪に対応し、特に、強制労働および性的搾取目的の児童や成人といった人身取引被害者を認知や保護する政治的意思が継続的に欠けていたことが、政府の全体的な進展不足を助長することになった。

優先すべき勧告

・性的および労働搾取目的の人身取引事案を精力的に捜査、訴追し、有罪判決が下された人身取引犯に重い刑を科して責任を課す。・実刑の代替として罰金刑を認める量刑規定を削除し、最長で4年の実刑を含め、人身取引犯罪に対する処罰を強化するため、人身取引対策関連法を改正する。・技能実習制度やその他のビザ付与制度の下で日本にいる人たちや入国者収容施設に収容されている人たちなど、移住労働者の中で強制労働の被害者である人たちの認知、保護支援サービスへの照会など、関係府省庁の標準的な手順を策定し体系化して実施する。・第三者のあっせんを介すことなく商業的な性的搾取を受けた児童、技能実習制度の下での移住労働者、特定技能ビザを含む新たなビザ制度で日本に入国する移住労働者などの被害者が、適切に認知され、かつ支援サービスを受けられるようにし、また人身取引犯に強要されて犯した違法行為によって、拘束または強制送還されることがないよう、被害者の審査を強化する。・性的搾取目的の人身取引の男性被害者や強制労働を認知する取り組みを高める。・人身取引被害者専用シェルターなど、人身取引の被害者に専門のケアと支援を提供する資源を拡充し、これらの支援サービスが外国人被害者と男性被害者の双方にも利用できるようにする。・外国人技能実習機構および出入国在留管理庁の職員を対象とした被害者認知の研修、外国人技能実習機構と非政府組織(NGO)との連携の向上、技能実習計画認定前の全ての契約の審査、雇用主に対する調査の増加、労働者が支払う過剰な手数料やその他金銭を課す外国の募集機関との契約解除などにより、技能実習制度改革法の監督および執行措置の実施を強化する。・要望があれば、全ての外国人労働者が雇用主や産業を変更できる公式な仕組みを確立する。・雇用主が外国人労働者全てのパスポートやその他の個人文書を保持することを禁止する法律を制定する。・全ての労働者に支払いが課される募集費用およびサービス料を廃止するための関連政策を改定することにより、移住労働者が借金による強制の被害に陥りやすい状況を減らす。・強制労働の一因となる組織や雇用主による「処罰」合意、パスポートの取り上げ、その他の行為の禁止の実施を強化する。・海外児童買春旅行に参加する日本人の捜査、訴追、有罪判決、処罰を積極的に行う。

訴追

政府の法執行の取り組みは、依然として不十分なままであった。日本には、国際的な法律に沿った定義を含む、包括的な人身取引対策法がなかった。日本は、成人および児童の売買春、児童福祉、入国管理、雇用基準に関する異なる刑法を通して、性的搾取目的および労働搾取目的の人身取引を犯罪とした。売春防止法第7条は、人に売春させることを犯罪としており、詐欺的または威圧的な手段を用いた場合には最長3年の懲役、もしくは最高10万円(970ドル)の罰金を規定しており、暴行または脅迫が用いられた場合には最長3年の懲役および最高10万円(970ドル)の罰金に処した。同法第8条は、被告が第7条に規定された犯罪の対償を収受し、もしくは収受する契約を結び、または同対償を要求した場合には、最長5年の懲役および最高20万円(1940ドル)の罰金を科して処罰を強化した。「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」は、児童を商業的に性的搾取する行為、周旋、および勧誘を犯罪とし、最長5年の懲役もしくは罰金、またはその両方の処罰を規定していた。同法はまた、買春や児童ポルノ製造による児童の搾取を目的とした児童の売買を犯罪とし、最長10年の懲役を規定した。政府はまた、児童福祉法を用いて人身取引関連犯罪を訴追した。同法は、児童にわいせつもしくは有害な行為をさせる目的での児童の移送、または隠匿を幅広く犯罪とし、最長10年の懲役もしくは最高300万円(2万9100ドル)の罰金、またはその両方の処罰を規定していた。職業安定法および労働基準法はいずれも、強制労働を犯罪とし、最長10年の懲役もしくは300万円(2万9100ドル)以下の罰金を規定していた。しかし、厚生労働省は、労働基準法における「強制労働」の定義は国際法の人身取引の定義よりも狭く、実際のところ、労働基準法の「強制労働」の罪とされた稀な事案は、人身取引犯罪としては処理されなかったと報告した。国際法における人身取引の定義と矛盾して、労働基準法は搾取を犯罪の必須要素として含んでいなかった。前年の報告書対象期間中と同様に、報告によると、相対的に厳しい処分を下すと控訴を引き起こす可能性が高まり、それが全体的な有罪率の低下につながり、検察官の職業的地位に悪影響を及ぼすという認識のため、多くの検察官が職業安定法と労働基準法の適用を避けた。性的搾取を目的とした人身取引に対し、懲役に代わる処罰として罰金刑を認める場合、当該罰金刑は強姦のような他の重罪に規定される処罰と同等ではなかった。市民社会団体は、こうした重複する法律に頼っていることが、人身取引犯罪、特に、心理的威圧の要素を持つ強制労働を伴う事案を認知や訴追する上での政府の能力を引き続き妨げていると報告した。

政府には、雇用主、募集を行う者、労働あっせん業者による日本人あるいは外国人労働者のパスポート、渡航書類または身分証明書の取り上げを禁じる法律がなかった。技能実習生のパスポートおよび在留カードの取り上げは禁じられていた。しかし、本報告書対象期間中に、この法律を執行したかどうか、あるいは技能実習生の書類を取り上げた雇用主や業者を処罰したかどうかの報告は政府からなかった。2017年に成立した日本の法律は、証人の買収を犯罪とする規定を含んでいた。同法により当局は、司法妨害罪で一定の人身取引犯を被疑者として立件するための新たな根拠を得た。しかし、3年連続で政府からは、政府が人身取引事案で同法律をどの程度適用したかという報告はなかった。

2020年1月から2020年12月まで政府は、48人の被疑者を含む40件の性的搾取目的の人身取引事案と、10人の被疑者を含む15件の労働搾取目的の人身取引事案を捜査した。計58人の被疑者のうち、警察は57人を逮捕し、児童である残り1名の被疑者を送検、家裁送致した。2019年と比較すると、政府は同年、人身取引の容疑で39人の被疑者を捜査、逮捕した。2020年、裁判所は、性的搾取目的で42人、労働搾取目的で8人の計50人の人身取引被疑者の訴追に着手した。50人の加害者のうち、本報告書の対象期間末時点で15人は公判係属中であった。2人は家庭裁判所に送られた。政府は本報告書の対象期間中に、先年の報告書対象期間中に着手した事案を含む50人の加害者に有罪判決を下した。有罪判決を受けた50人のうち、裁判所は36人の人身取引犯に8カ月から13年の懲役刑を言い渡した。しかし、これらの判決のうち26件については刑の執行を猶予した結果、実刑を受けた人身取引犯はいなかった。10人の人身取引犯は懲役刑の判決を受けた。裁判所は50人の人身取引犯のうち14人に罰金刑のみを課し、課せられた罰金は5万円(485ドル)から80万円(7760ドル)であった。50人の加害者は、成人および児童の売買春、児童福祉、入国管理、雇用基準に関するさまざまな法律により有罪となり、適用された法律には、児童福祉法や「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」が含まれるが、それだけに限定されない。それに対し、2019年には、裁判所は32人の人身取引犯被疑者を訴追し、さまざまな法律の下に22人の有罪判決を確保した。そのうち3人だけが、10カ月から2年6カ月の懲役刑を受けた。人身取引犯罪に加担した政府職員を捜査、訴追、あるいは有罪判決を下したという政府の報告はなかった。

技能実習制度の下で強制労働の兆候が広くみられることが知られていたにもかかわらず、政府は、技能実習生の強制労働に関与したいかなる者に対しても捜査、訴追、あるいは有罪判決を下さなかった。政府がこの制度内での人身取引犯被疑者の特定に消極的であったことにより、搾取的な雇用主は罰せられることなく事業を続けた。厚生労働省労働基準局は、2020年に8124カ所(2019年は9454カ所)の実習の事業場を調査し、5766人の技能実習生の雇用主を労働基準法令に違反したとして捜査したと報告した。その結果、労働基準局は2020年、36件を捜査のため送検した。これと比較し、2019年は33件を送検した。しかし、送検事案の中に労働搾取目的の人身取引犯罪があったかどうかについては政府からの報告がなかった。支援サービスを提供するNGOは、再三にわたり技能実習制度の実習の事業場内で起きている具体的な強制労働の申し立てに注意を喚起したと報告したが、政府はこれらの申し立てのほとんどを潜在的な人身取引犯罪としては積極的に捜査せず、技能実習制度内での強制労働を1件も特定しなかった。政府は、数は不明だが、複数の実習実施機関が提出した実習計画を、技能実習生への虐待や暴行の申し立てに対する行政処分として、無効にしたと報告した。しかし、政府は人身取引容疑のあるこれらの事案への刑事捜査に着手しなかった。日本の法律では技能実習生のパスポートおよび渡航書類の取り上げが禁じられているにもかかわらず、政府は法律に違反した疑いのある雇用主の捜査に全く着手しなかった。NGOは、外国人被害者を巻き込んだ強制労働の事案に対して、裁判所が、心理的威圧を裏付ける証拠ではなく虐待の物理的兆候に過度に依存するなど、極端に高い証拠基準を設定しているため、適切な法執行措置を妨げていると報告した。

当局は実際には、商業的性行為が第三者によりあっせんされたのでない限り、商業的性的搾取を受ける児童を性的搾取目的の人身取引被害者として正式に認知しなかったため、政府は人身取引の法律の下では商業的性的搾取を受ける児童に関する事案を捜査、訴追しなかったと報告した。政府は500人を超える加害者が関与する「児童買春」を600件超報告したものの、これらの事案を、第三者であるあっせん者の関与の有無にかかわらず、潜在的な人身取引犯罪としては捜査しなかった。また、これらの事案に関係する379人の児童の大多数を人身取引被害者としては認知しなかった。当局はここ数年でも、こうした商業的性的搾取を受ける児童に関する何百件もの事案(2019年は784件、2018年は700件超、2017年は956件)を、正式に人身取引犯罪とは認定せずに処理した。専門家は、性的搾取目的の児童の人身取引を適切に扱う法執行の努力不足が許容され、犯罪が引き続き発生することを永続化したと指摘した。政府は引き続き犯罪の横行を抑えた。その結果、人身取引犯に責任を課し被害者を保護する取り組みが、もしあったとしても、弱いものとなった。

3年連続で政府は、未成年の女子高生と成人との出会いをあっせんする「JK」ビジネスや、ポルノ出演強要における性的搾取目的の児童の人身取引に対する法執行措置を報告しなかった。8つの主要都道府県は、「JK」ビジネスを禁止し、18歳未満の少女が「援助交際」業で働くことを禁じるか、または「JK」ビジネスの営業者に対し、各地の公安委員会に従業員名簿を登録することを義務付ける条例を維持した。

前年の報告書対象期間と同様に、当局から、同条例反で認知した営業所の数や閉鎖となった営業所の報告はなかった(2019年は報告なし。2018年に認知した営業所は137カ所、閉鎖した営業所はなし)。また当局から、「JK」ビジネスを取り巻く犯罪行為に関与した疑いのある者を1人でも逮捕したという報告もなかった(2019年は報告なし。2018年は69人の被逮捕者)。報告によれば、当局の中には、犯罪に気づかなかった、あるいは訴追の方法に確信がなかったという所もあり、多くの場合、極端に高い証拠基準を理由に挙げた。

警察庁は2020年4月、全国の都道府県警に通達を出し、人身取引事案の特定と他の関係政府機関と連携を指示した。しかし、通達は警察が人身取引事案を特定する手助けとなる追加的な指針や手順を提供していなかった。本報告書対象期間中、政府は、外国人技能実習機構や外務省を含むさまざまな省庁に対して、人身取引対策の研修を行った。政府は、国際機関による研修を含む、いくつかの研修を延期、または中止した。関係筋は、主要な法執行機関職員と司法関係従事者内での認識不足に対応するために、一層の研修を行う重大な必要性があると引き続き報告した。

保護

被害者を保護する政府の取り組みは依然不十分なままであり、政府は、技能実習制度および商業的性的搾取を受ける児童の中から、人身取引被害者を公式に認知することをまたもや怠った。標準化された指針の不足、省庁間の不十分な連携、性的および労働搾取目的の人身取引犯罪に対する全関係省庁間での認識の違いは、被害者を認知し保護する政府の取り組みが不十分であったことの要因となった。政府には、公務員が被害者を認知する全国的な標準運用手順や指針がなく、犯罪を自ら通報した被害者向けのものもなかった。その結果、被害者が支援のケアを利用する妨げとなった。関係府省庁の従事者は、統一性のない不十分な被害者認知手順に従った。同手順は、あらゆる形態の人身取引、特に、性的搾取を目的とした児童の人身取引や移住労働者の労働搾取を目的とした人身取引は網羅されていなかった。厚生労働省や出入国在留管理庁、警察庁などの複数の省庁は、人身取引の可能性がある事案を特定できるホットラインの運用を継続したが、本報告書の対象期間中、どのホットラインも被害者の認知には至らなかった。商業的な性行為を禁止する法律の範囲が限定的なため、児童や成人の被害が、都市部の歓楽街にある、合法化されてはいるもののほぼ規制されていない「デリバリー・ヘルス・サービス」という商業的性行為の範囲内で広く起きた。

当局は2020年、25人の性的搾取目的の人身取引被害者と、13人の労働搾取目的の人身取引被害者を認知した。この中には、バーで「ホステス」として働くことを強制され、政府が労働搾取目的の人身取引被害者と認知した7人のフィリピン人被害者が含まれた。これは、「ホステス」として働くことを強制された12人の女性と少女を含む、計47人が人身取引被害者として認知された2019年に比べ減少した。人身取引の兆候という実質的証拠があるにもかかわらず、政府は、2017年の技能実習制度の開始以来、また1993年に設立された同制度の前身組織の運営期間も含め、強制労働の被害者をこれまで1人も認知していない。政府は、2020年に8000人の技能実習生が職場から失踪したと報告した。その中には、搾取的または虐待的環境のため逃げたと思われる者や人身取引被害者として未だ認知されていないと思われる者もいた。当局は、契約している機関による強制労働やその他の虐待的環境から逃れてきた技能実習生を引き続き逮捕し、強制送還した。労働契約の中には、日本で就労中、妊娠あるいは罹患した実習生を自動的に帰国させる違法な条項を含むものもあった。本報告書対象期間中、技能実習生の中には、コロナ禍による休業から失業し、そのため、送り出し機関への未払い債務の支払いのために新たな雇用主を探さなければならなくなった者もいた。しかし、当局は、違法に職を変えたとして、人身取引の審査をせずに、一部の技能実習生を逮捕した。法律は、表向きには、人身取引被害者を日本からの強制帰国から保護したが、被害を受けやすい人々に対する当局の不十分な審査のため、人身取引犯に強要されて犯した出入国管理法違反やその他の違法行為を理由として、一部の被害者が逮捕、収容された。政府は2020年、技能実習生の強制帰国に関する全国統計を報告しなかった。前年と同様に政府は、契約終了前に日本を出国する技能実習生に対して出入国在留管理当局が実施した面接審査の数に関するデータを提供しなかった。また、雇用主によって行われる不正な強制帰国への介入に成功した数に関するデータも提供しなかった。さらに、市民社会団体は、出入国在留管理当局により収容されている技能実習生を含む外国人が、人身取引の兆候を示しているかの可能性を審査する手続きが政府にはないと述べた。

2000年に採択された国連人身取引議定書の定義上の基準に反して、当局は、商業的性行為が第三者により仲介されたのでない限り、児童を性的搾取目的の人身取引被害者と認知せず、このことが、何百人もの児童が人身取引被害者として公的に認知されるのを困難にした。政府はまた、2000年に採択された国連人身取引議定書の定義上の基準に反して、性的搾取を目的とした児童の人身取引は、加害者による「被害者の支配」を要件とする理由で、児童の商業的性行為事案を、性的搾取を目的とした児童の人身取引事案として政府は扱わなかったと報告した。地方の法執行職員の中には、前年の報告書対象期間中に、13歳という異例に低い日本の性的同意年齢が、商業的性的搾取を受けた児童を、人身取引被害者として公的に認知する取り組みを一層複雑にしていると述べる者もいた。政府は、性的搾取目的の人身取引の一形態である「児童買春」として2020年に警察が報告した600件超の事案に関係する379人の児童のうち、18人のみを人身取引被害者として認知した。政府は、約200件の児童ポルノおよび「児童買春」に関わる男子被害者の事件を報告したが、性的搾取目的の男子児童の被害者を認知することはなかった。よって政府は、本報告書対象期間中、何百件もの児童の性的搾取や商業的性的搾取事件に関わったどの児童にも重要な保護支援サービスを提供しなかった。また、支援のためNGOを紹介することもなかった。警察は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィアもしくはクエスチョニング、インターセックスなど(LGBTQI+)の児童を含む、性的搾取目的の人身取引被害者となる可能性がある一部の児童を、引き続き非行少年として扱い、人身取引の確認審査も、これら児童の事案の捜査も、または専用の支援サービスへの紹介も行わず、代わりに、こうした児童に対して素行に関する助言を行った。

政府は2020年度、シェルターでの人身取引被害者の保護に対して、2019年度と同額の350万円超(約3万3950ドル)を割り当てた。ここ数年間と同様に、この資金にかかわらず政府は、日本人、外国人を含む人身取引被害者に対して、人身取引被害者に特化したシェルターや精神的・社会的ケア、法的支援などの、十分な保護支援サービスを提供しなかった。政府が運営する支援保護策は、他の犯罪被害者を中心にしており、人身取引のあらゆる形態の被害者への対応に必要な特定のサービスを関係職員が提供できるようには整っていなかった。各都道府県の担当者が人身取引事案を扱った特別な現場経験の度合いによって、被害者に提供される政府運営の支援サービスの利用度合いと質は異なった。政府は、性的搾取目的の人身取引の形態も含む性暴力被害者のための各都道府県にある「ワンストップ支援センター」を引き続き運営したが、本報告書対象期間中に、これらの施設でサービスを受けた人身取引被害者がいたかについての報告はなかった。政府はまた、人身取引被害者と家庭内暴力や他の犯罪の被害者のためにシェルターを提供することができた婦人相談所と児童相談所には引き続き資金を提供した。婦人相談所のシェルターは、被害者に食料や、その他の生活必需品(COVID-19予防のためのマスクや消毒剤を含む)、精神的ケアおよび医療費を提供し、婦人相談所職員が同行すれば被害者は自由に外出することができた。しかしNGOの中には、こうした施設の物理的状況や支援サービスは貧弱で過度に制限されており、人身取引被害者に必要な専門的なケアを提供するには不十分であると主張を続けた団体もあった。当局は、2020年に複数の婦人相談所のシェルターで支援をした人身取引被害者は8人であったと報告した。2019年の11人、2018年の16人から徐々に減少した。政府は、本報告書対象期間、18人の被害者が当局に「自己申告」したと報告したが、被害者に対する保護支援サービスの提供や、保護支援サービスの紹介ついての報告はなかった。市民社会の支援提供者は、人身取引被害者が行政の支援を求めた場合、政府が被害者を正式に人身取引被害者として認知しない限り支援をすることができないと報告した。その結果、被害者への重要なサービスの提供が著しく遅延した。さらに、国際機関およびNGOの報告によると、合法的に日本に居住する被害者であれば受けることのできるその他の政府提供の社会支援サービスについては、ほとんどの外国人人身取引被害者が利用を限定されていたか、全く利用できなかった。例えば、出入国在留管理庁は2020年、在留資格を1人の外国人人身取引被害者に、在留特別許可を7人の外国人被害者に与えたが、被害者に対して重要なケアを提供したか、あるいは紹介したかについての報告はなかった。政府は、日本で搾取された外国国籍者への保護支援サービスの提供については、駐日外国公館に依存、期待した。NGOはまた、政府が提供する言語通訳サービスの不備は、外国人被害者の保護にとって特に課題となっている事の1つであると強調した。出身国へ帰国することに伴う影響を恐れる外国人被害者は、一時的、長期的、または定住者として在留する便益を受けることが可能であったが、本報告書対象期間に、いるとすれば何人の被害者がこの便益を受けたかについて、政府からの報告はなかった。政府は国際機関を通じて、人身取引被害者にカウンセリング、一時避難、社会統合および帰国支援を提供する事業への資金拠出を継続した。政府はこの事業に1100万円(10万6715ドル)の予算を充てたが、前年の報告書対象期間の1500万円(14万5520ドル)より減少している。この事業を通して、5人の外国人被害者が帰国支援を受けた(2019人は14人、2018年は5人、2017年は7人)。

被害者は人身取引犯に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こす権利を有したが、政府から本報告書対象期間に被害者が訴訟を起こしたとの報告はなかった。また、制度を悪用して技能実習生を雇用する監理団体や子会社の経営者たちは、民事あるいは刑事責任を逃れるために破産の申し立てや経営上の変更の偽造を頻繁に行い、これにより、強制労働が技能実習の間中、罰せられることなく継続することを可能にした。雇用主の中には、技能実習生に対して行われた労働虐待への損害賠償請求の機会を減らすため、労働組合を脱退するよう実習生に圧力をかける者もいた。このため、賠償金の支払いを受けることが、実際にはほぼ不可能であった。3年連続で当局からは、本報告書対象期間中に裁判所が命じる被害者への損害賠償の事案に関する報告はなかった。過去、複数の社会市民団体は、ポルノ出演強要の被害者の中には、人身取引犯に対する訴訟への参加によって汚名を着せられ、社会統合の障害になることへの恐れを理由に、訴訟に参加しない選択をした者もいたと報告した。

防止

政府が続けた人身取引防止のための取り組みは不十分であった。その中には、被害を受ける危険の高い移住労働者を人身取引から適切に防止するための政治的意思の欠如が継続して示されたことも含まれる。政府は、全国レベルで関係府省庁の連携機関を維持していたが、一元的なリーダーシップの欠如により、人身取引対策の関係省庁間連携については効果を発揮しなかった。政府は人身取引対策について、2014年に策定した古い人身取引対策行動計画に基づいて取り組みを続けた。人身取引対策行動計画に従い、政府は2020年に2度、市民社会団体と人身取引対策の見直しを協議したが、これらの会合から具体的な成果があったかについての報告はなかった。政府は、政府による人身取引対策のための行動について第6次年次報告書を作成し、2014年人身取引対策行動計画で表明した目標に照らして、施策の取り組み状況を追跡調査した。当局は、警察庁の公式ウェブサイトを含むオンライン、ラジオ番組、ポスター、冊子を通じた情報発信と、NGO、出入国在留管理局、労働基準監督署、日本内外の外国公館へのリーフレット配布を通して、人身取引に対する啓発活動を引き続き行った。日本で働くベトナム人労働者の増加に対応し、警察庁は人身取引対策リーフレットにベトナム語の情報を追加した。警察庁はまた、航空業界向けに人身取引対策に関するオンラインプレゼンテーションを制作し、2020年12月に公表したほか、外国政府および国際機関と連携し、空港でポスターを配布し、商業的性的搾取を受けた児童や児童ポルノの制作を含む、性的搾取について啓発活動を行った。政府は、商業的性行為の需要削減に十分な努力を払わなかった。また、JKビジネスへの啓発活動の内容の多くは、需要者側を対象にしているのではなく、被害者を対象にしたものであった。政府は、海外で児童の性的搾取に関与した日本国民を訴追する域外管轄権を有したが、前年の報告書対象期間と異なり、2020年はこの域外管轄権下での児童買春旅行事案の捜査や訴追を1件も報告しなかった。

政府は、2016年成立の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習制度改革法)」の施行を継続した。技能実習制度改革法は、新規の技能実習生と雇用主が共同で作成する、生活環境、労働時間、その他の要素の概要である実習計画を、厚生労働省が認定するよう義務付けた。2020年11月から2021年1月中旬にかけて、政府は5万5754人の技能実習生の入国を認めた。しかし当局は、送り出し機関の契約と受け入れ機関の契約との一体性、あるいはこれらの契約と実習生の実習計画との一体性を確保する監督手続きを十分に実施しなかった。その結果、内容には齟齬があり、多くの実習生が強制労働を含む労働虐待を被りやすくなった。政府の暫定的なデータによると、外国人技能実習機構は、2020年に1万5318カ所の技能実習実施機関と2983カ所の監理団体の実地検査を実施した。厚生労働省認定済みの実習計画のうち、2019年に労働違反があったとして無効にしたという報告は当局からなかった(2018年は8件を無効にした)。専門家の中には、技能実習制度の雇用主と実習生の数が調査官と比較して多いために、労働計画には執行力が欠如していたと述べる者もいた。厚生労働省は2021年2月、各都道府県の労働基準監督署に対して、人身取引の可能性がある事案をさらなる審査のため同省に報告するよう指示した。本報告書対象期間末時点で、労働基準監督署からそのような事例の報告があったかについて、厚生労働省からの報告はなかった。複数の市民社会団体は、外国人技能実習機構は、特に技能実習生の数が増え続けるなか、職員数の相当な不足により、こうした大規模な事業における強制労働などの虐待の申し立てを十分に調査できていなかったと、引き続き懸念を示した。実習生の中には、外国人技能実習機構と労働基準局は雇用主による突然の契約変更や終了に関する仲裁を求めても無反応であったと報告した者もいた。出入国在留管理庁の職員は、ホットラインや連絡先情報を記載したオリエンテーション冊子を、入国する全ての技能実習生に配布した。

政府は、技能実習生送り出し国であるバングラデシュ、ブータン、ビルマ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、モンゴル、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ウズベキスタンおよびベトナムとの間で技能実習制度に関する協力覚書を維持した。協力覚書は、依然として、募集行為を規制する日本政府の主要な手段であった。しかし政府は、募集機関や送り出し機関による虐待的な労働慣行や強制労働犯罪について、送り出し国政府に責任を課すことができなかったことから、依然としてほぼ効力を発揮しないままであった。協力覚書は、技能実習生に高額の借金を負わせるような「過剰な金銭」を徴収することのない各国政府が認定する機関からのみ、実習生を受け入れることを確認した。しかし、こうした国の送り出し機関の中には、金銭の代わりに高額の「手数料」を課すことで、金銭の徴収制限を回避し、かつ自国政府の認定を受けた機関もあった。ゆえに、これらの国から来日する実習生は、一旦日本に入国すると、これまで通り借金による束縛の危険にさらされた。これは特に、技能実習生の中で最多となるベトナムの技能実習生に当てはまった。日本の技能実習制度の雇用主の中には、実習生の逃亡を防ぎ、労働力を維持する手段として、実習生に給与の一部を強制的に預金口座に振り込ませていた者もいた。法務省、外務省および厚生労働省は、送り出し国に対して、募集費用徴収違反の申し立てへの調査を要求することが可能だが、送り出し機関を処罰し、あるいはこのような行為のために送り出し機関を締め出す決定は、送り出し国の当局の裁量に委ねられた。法務省、外務省および厚生労働省は、本報告書対象期間中に、79の送り出し機関による不正行為が捜査の対象となったと送り出し国に対して報告した。

政府は、人材不足で知られている建設、造船、介護、その他10産業分野の人材の補充を5年間可能とする2018年導入の「特定技能」ビザ制度を引き続き実施し、2020年には1万5663人の外国人労働者を入国させた。2020年に同制度内での強制労働の報告はなかったが、専門家は、同制度は、技能実習制度に備わる脆弱性と同様、強制労働を含む労働者の虐待への脆弱性を高め、監督措置が同じく欠けているとの懸念を引き続き示した。報告によると、同制度は、既に技能実習生である適格者は、現在の自分ビザを新設のビザへと切り替えることができ、日本での滞在期間の延長や同産業部門内での転職を可能にした。日本の法律によりまた、営利目的の人材あっせん機関や個人が、免許要件のない「登録支援機関」となり、労働者を募集するブローカーと雇用主との間を有料で仲介することが可能となった。専門家は、このような業務料は、この制度下で入国する移住労働者に対して、借金による強要への危険性を生み出す可能性があると報告した。本制度下で政府は、悪意のあるブローカーと募集機関を一掃するため、情報共有の枠組みを提供した13カ国政府との協力覚書を維持した。

人身取引の概説

過去5年間に報告されたように、人身取引犯は、日本人および外国人の男女を強制労働および性的搾取目的の人身取引の被害にさらし、日本人児童を性的搾取目的の人身取引の被害にさらしている。人身取引犯はまた、東アジアや北米など、日本を越えた送り先で搾取する前に被害者を域内のどこからでも日本経由で輸送する。人身取引犯は、主にアジア出身の移住労働者の男女を強制労働の環境にさらすが、その場所は、日本政府が運営する技能実習制度などの事業に参加する企業なども含まれる。政府は2020年に、5名の男性被害者を特定した。その中の1件は、日常的な身体的暴力の後に、人身取引犯が男性被害者をレストランで、低賃金で長時間働かせた事例であった。日本で急速に増加する外国人留学生もまた、虐待的でしばしば詐欺的な就労・就学契約条項のため、単純労働の分野において人身取引の被害者になる危険性がある。北東アジア、東南アジア、南アジア、中南米およびアフリカからの男性、女性および児童は、雇用または偽装結婚のために来日し、性的搾取目的の人身取引の被害にさらされる。人身取引犯は、バー、クラブ、売春宿およびマッサージ店での性的搾取を目的とした人身取引のために外国人女性を日本へ入国させやすくしようと、外国人女性と日本人男性との偽装結婚を利用する。人身取引犯は、借金による強制、暴力または強制送還の脅迫、恐喝、パスポートやその他書類の没収、その他の精神的な威圧手段を用い、被害者を強制労働や強制的な商業的性行為の状態にとどめる。雇用主は、多くの移住労働者に、生活費、医療費、その他の必要経費を支払うよう要求し、労働者を債務による強制にさらしている。売春宿の運営者は、素行が悪いとして恣意的に被害者に「罰金」を科すことがあり、それにより被害者が借金を負っている期間を強制的な措置として引き延ばしている。

人身取引犯はまた、日本人と外国人、特に十代の家出した少年少女を、性的搾取を目的とした人身取引の被害にさらしている。組織犯罪とつながりがあることが多い「援助交際」やさまざまな形態の「JK」ビジネスが、性的搾取を目的とした日本人少年少女の人身取引を依然として助長している。報告によると、中国、韓国、ラオス、フィリピン、シンガポール、ベトナムからの未成年者が、こうした場所で搾取されている。COVID-19の感染拡大により、失業および家庭内暴力が急増し、それにより、特に家出した児童など、一部の日本人女性や少女が「援助交際」に従事する危険性が高まった。NGOは、この目的のためにソーシャルメディアを活用し、女性や少女に連絡をとる人身取引犯が増えていると報告した。「JK」バーの経営者は、LGBTQI+の青少年を含む一部の未成年の少年少女を、ホステスやクラブのプロモーターとして強制労働の対象にする可能性がある。高度に組織化された商業的な性のネットワークが、地下鉄、若者のたまり場、学校、インターネット上などの公共の場で、被害を受けやすい日本人女性や少女を標的として、商業的性的行為を目的とした施設、小規模音楽演奏会場、小売店舗内、リフレクソロジー店にて、多くの場合借金による強要により性的搾取を目的とした人身取引の被害者とする。多くの場合、こうした女性や少女は貧困状態で生活しているか、または認知障害がある。モデルや芸能事務所に見せかけた団体の中には、詐欺的な募集手段を用いて、日本人男性、女性、少年および少女に不明瞭な契約書に署名するよう強要し、その後、法的手段を取る、あるいは不名誉な写真を公表すると言って脅し、ポルノへの出演を強要する団体もある。トランスジェンダーの若者の中には、自身のジェンダーを肯定するケアの資金源として、規制されていない都市部の歓楽街で雇用を求め、その結果、商業的な性行為や場合によっては強制労働で搾取される者もいる。入国を仲介する日本の民間業者は、日本人とフィリピン人との間に生まれた児童とそのフィリピン人の母親が日本に移住し、日本国籍を取得することを、多額の手数料を取って支援するが、これにより母親は多額の借金を負うことが多い。日本到着直後、借金を返済するため、性的搾取目的の人身取引の被害者となる母親や児童もいる。入国仲介業者に見せかけた組織犯罪集団もまた、仕事があると偽って、このような家族を日本に誘い、女性を歓楽街で強制労働や性的搾取目的の人身取引に従事させる。日本人男性は依然として、アジアの国々における児童買春旅行への需要の源泉の一部である。

強制労働の事案は、政府が運営する技能実習制度において引き続き起きている。この制度は本来、外国人労働者の基本的な専門的技能を育成することを目的としていたが、事実上の臨時労働者事業となった。送り出し国と日本との間で過剰な金銭徴収の慣行を抑制することを目的とした二国間合意があるにもかかわらず、バングラデシュ、ブータン、ビルマ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ラオス、モンゴル、パキスタン、フィリピン、タイ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムからの技能実習生は、漁業、食品加工業、貝類養殖業、造船業、建設業、繊維生産業や、電子部品、自動車、その他の大型機械の製造業で職を得るために、数千ドルの過大な労働者負担金、保証金や不明瞭な「手数料」を母国の送り出し機関に支払っている。技能実習制度の雇用主は、明記された技能実習制度の本来の目的に反して、多くの実習生を技能の教授や育成が実施されない仕事に従事させている。事前に合意した職務と一致しない仕事に就かされている技能実習生もいる。これらの労働者の中には、移動と通信の自由を制限され、パスポートとその他個人的な法的文書を没収され、強制送還や家族への危害といった脅しを受け、身体的暴力、劣悪な生活環境、賃金差押え、強制労働を示唆するようなその他の状態に置かれた者もいた。技能実習生に「処罰合意」への署名を義務付け、労働契約を履行できない場合、何千ドルもの違約金を科す送り出し機関もあった。報告によると、契約を結んだ技能実習の仕事を辞めた実習生は、在留資格外となり、その後、性的搾取目的の人身取引や強制労働の被害者になる者もいる。元技能実習生を含む、特定技能ビザ制度下の外国人労働者の一部は、人身取引の危険性にさらされている可能性がある。あるNGOは、日本でこのビザ制度の下で働く移住労働者の90%超が、2019年以前に脆弱な産業分野で働いていた元技能実習生であったと述べた。

2021年人身取引報告書――人身取引と闘う英雄

国務省は毎年、人身取引と身を賭して闘う世界中の個人を表彰している。このような個人には、NGO職員、国会議員、政府職員、人身取引被害から逃れた者、関係市民が含まれている。中には人身取引が依然として横行する厳しい環境に身を置き、抵抗や反対、命の脅威に直面する者もいるが、これは被害者を保護し、加害者を罰し、人身取引犯が頻繁に標的にする脆弱性の原因となる根本的な要因を軽減しようとする精力的な取り組みをたたえるものである。

直近および過去の人身取引と闘う英雄たちについては、「人身取引報告書――人身取引と闘う英雄グローバルネットワーク」を参照。

指宿昭一(日本)

指宿昭一氏は、外国人労働者の権利保護を訴える不屈の擁護者であり、外国人技能実習生のため、強制労働の被害者支援と政府の技能実習制度下での虐待防止に向けて、長年にわたり精力的に取り組んできた。外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表および外国人労働者弁護団代表を務め、外国人労働問題における著名な法専門家である。指宿氏の弁護活動は、労働搾取に苦しむ外国人労働者を支援し人権を保護するための、揺るがない、そして賞賛に値する献身とともに、このような問題を表面化させ、国内外で注目度を高めることになった。

元雇用主に対して労働法違反の訴訟を起こしている人たちの法定代理人を務めることで、数多くの外国人労働者に代わって正義を求めてきた。人身取引被害者――その多くが技能実習制度の参加者である――の代理人を務めてきただけでなく、同制度内に強制労働が存在していることを歯に衣着せぬ物言いで訴えてきた。このような勇気ある取り組みは、こうした個人を人身取引被害者として認知するよう政府に迫るきっかけとなった。また、政府に対して、雇用主による外国人労働者のパスポート保持の禁止と、送り出し国のブローカーと仲介業者による搾取と人権侵害への取り締まりのさらなる厳格化を訴えてきた。このような措置は、特に強制労働といった労働虐待や労働搾取を防ぐ上で重要な役割を果たすと期待されている。